表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
旅籠編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1033/2239

1018.消極的な作戦

※加筆修正を行いました。

 ソフィ達がまだチアキの『式』である『英鬼(えいき)』と戦う前、キネツグとエイジもまた戦闘態勢に入っていた。


 当初はエイジに対してキネツグが煽るような口ぶりをしていたが、エイジが『青い目(ブルー・アイ)』を発動させた辺りからキネツグも余所見を止めて、真剣に戦闘に集中し始めていた。


 キネツグは相当前に組織を抜けたエイジに対して、現役の頃よりに比べれば如何にエイジであっても、衰えを見せている筈だと思っていたのだが、実際にこうして対峙してみるとなんら現役の頃と変わってはいなかった。


 アテが外れたキネツグは二つ用意していた作戦の内、自分一人で勝負に勝つという作戦の方は早々に諦めるのであった。


 そしてもう一つの用意していた作戦、ランク『3.5』相当の妖魔二体と、切り札であるランク『4.5』相当の妖魔一体、これらの『式』を利用して時間を稼ぎながらチアキ達を待つ作戦を決行する事にしたキネツグであった。


 しかし時間を稼ぐ作戦を決めたはいいモノの『式』を使役するにあたり『縛呪(ばくじゅ)(ぎょう)』を使う事が前提となる。


 既に戦闘態勢に入り『青い目(ブルー・アイ)』を常時使って様子を見ているエイジでは、ランク『4.5』の鬼人は別にしてもランク『3.5』の妖魔達では、使役した瞬間にあっさりとやられ兼ねないのである。


 それ程までに『エイジ』という『妖魔召士(ようましょうし)』は恐ろしい力を有している。

 『魔瞳(まどう)』である『青い目(ブルー・アイ)』一つとってもキネツグは、エイジの『魔瞳(まどう)』を自身に対して掛けられて何とか相殺するのがやっとであるが、エイジにとっては、こちらが使役した『式』とキネツグ自身、両方に対して『魔瞳(まどう)』で動きを封じる事も容易くやってのけるだろう。


 キネツグ自身はエイジの『魔瞳(まどう)』を相殺出来るだろうが、自分自身を守っている内に他の者達はやられてしまうだろう。


 同じ『妖魔召士(ようましょうし)』であっても、キネツグとエイジの間には現状、それだけの埋められない差があるのである。


 その上エイジはあの『サイヨウ』様仕込みの『捉術(そくじゅつ)』があり、そちらでも間違い無くキネツグを上回るであろう。真っ向勝負で挑めばキネツグの勝率は、二割以下であるといえる。


 つまりキネツグがエイジに勝利する条件は、上手く相手のタイミングを外す立ち回りを行い、頭を使って『式』の順番や相手の裏を掻く戦術を用いて、チアキがあちら側の者達を片付けるのを待つしかない。


 キネツグはこの消極的な作戦を考えた時、天下の『妖魔召士(ようましょうし)』である筈の自分が何と情けない作戦を画策しているのだろうかと自分に対しての自己嫌悪から、意気消沈をしてしまうのであった。


(よし、まずは俺が単身で戦う素振りを見せながら上手く結界を張って、相手が対策をとる間に一体目の『式』を展開する。そしてその一体目に術を施しながら戦力値を高めさせて更にその一体目を囮にしている間に、もう二枚の式札をエイジ殿の視界に入れて、切り札となる鬼人『卓鬼(たくき)』を先に出す。そうする事でエイジ殿に()()()()()()()()()()()()()()()()と思わせておき『卓鬼(たくき)』にも『縛呪(ばくじゅ)(ぎょう)』を施して一気に襲わせる。そしてあと一枚の式札はあえて使わない。そうする事でエイジ殿には、考えさせるだけ考えさせて精神的に楽をさせずに疲弊させてやる!)


 あくまでキネツグにしてはだが、普段の戦闘時では、考えられない程に戦略を練っている。

 それ程までにキネツグは前時代の『妖魔召士(ようましょうし)』の組織の中で、天才と呼ばれた妖魔召士エイジを高く評価しているという事だろう。


 対するエイジだが、キネツグに対しては作戦というものはほとんど考えておらず、相手の行動を見てから動こうと考えていた。これまでエイジを含めて、前時代で生きてきた『妖魔召士(ようましょうし)』達は、同じ『妖魔召士(ようましょうし)』同士で戦う経験はほぼ無いに等しいといえた。


 ケイノトの町でイバキ達を相手に起こしたような、小競り合いを組織内で起こす事はあっても()()()()()()()()()()()()()()はご法度とされてきたからである。


 しかしそれでもエイジは『妖魔召士(ようましょうし)』として長く生きてきて、これまで数えきれない程にあらゆる種族、あらゆるタイプの妖魔と戦い続けて来た。


 そんなエイジはキネツグを『妖魔召士(ようましょうし)』として認めている上で、そのキネツグと対峙していても毛ほども焦りや不安を感じていないのであった。


「どうした? 牽制(けんせい)の『魔瞳(まどう)』を封じたくらいでいい気になっているだけでは、小生には一生勝てぬぞ?」


 何かしらの企みを考えているであろうキネツグだが、エイジは彼に色々と行動をさせてその企みを明るみに出させようと口に出して煽り始めるのであった。

『ブックマークの登録』や『いいね』また、ページの一番下から『評価点』を付けていただけると作者のモチベーションが上がります。宜しければお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ