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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
旅籠編

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998.相棒を傷つけられた怒り

※加筆修正を行いました。

 キネツグが結界に何者かが入り込んだ事を訝しんでいる頃、煌鴟梟(こうしきょう)のアジトの中庭でも動きがあった。


「何だ? まだ終わってなかったのか」


 スキンヘッドの男が『煌鴟梟(こうしきょう)』の施設の中から出て来ると、開口一番にそう告げるのであった。


 ヌー達を取り囲んでいた煌鴟梟(こうしきょう)の組員達は、そのスキンヘッドの男が顔を見せると同時に全員が軽く頭を下げた。


「ああ? 何だてめぇは……。てめぇがこの組織のボスとかいう野郎か?」


 ヌーは首を鳴らして再び『金色』を纏いながら出てきた男を睨む。


「それをお前に教える義務はないな。そんな事より後ろに居るお前は『予備群(よびぐん)』で間違いないな?」


 スキンヘッドの男『ヒロキ』はヌーなど眼中にないのか、最初の一言以外は視線も合わせさえもせずに、アジトの敷地の入り口に居たコウゾウにそう告げた。


 スキンヘッドの男に視線を合わせられたコウゾウは、ここまで一度も抜いていない刀を引き抜くと、構えながら口を開いた。


「どうやら隠しても仕方がないようだ。既に知られているようだが、俺はお前達の組織が行っている悪行から旅籠町を守る護衛を仰せつかっている『予備群(よびぐん)』の『コウゾウ』だ」


 この施設で一番最初に暴れて見せたヌーを無視して、明確にコウゾウに視線を合わせて声を掛けてきたスキンヘッドの男に、隠しても意味は無いだろうと判断し、所属と目的を口にするコウゾウであった。


「コウゾウ? コウゾウ……か」


 スキンヘッドの男は何やら自己紹介を行ったコウゾウの名前を言葉に出しながら、何かを思い出そうとしている様子であった。


「まさかお前『粛清の剣聖(しゅくせいけんせい)』か?」


「……」


「ははは! まさか『妖魔退魔師(ようまたいまし)』になり損ねて『予備群(よびぐん)』にされた剣聖様がこの場に現れるなんて思いもしなかったぞ!」


 どうやらヒロキはコウゾウの顔ではなく、名前で覚えていたようで『予備群(よびぐん)』としてのコウゾウの()()()を出すのであった。


 そしてその二つ名で呼ばれたコウゾウは、少しだけ顔を引き締めた様子を見せる。やがてコウゾウが口を開こうとしたその時であった。


「おい屑野郎。俺を無視して勝手に話を進めてるんじゃねぇよ。テアを襲わせたボスはお前かって、こっちは聞いてんだ。サッサと質問に答えろやゴミクソ」


 青筋を立てながらヌーはスキンヘッドのヒロキに声を荒げながら告げる。そこでようやくコウゾウに興味を注いでいたヒロキは、視線をコウゾウからヌーへと戻した。


「騒がしい野郎だな、何なんだお前は……」


「テメェが『煌鴟梟(こうしきょう)』とかいう組織のボスかって聞いてんだよこっちは。サッサと答えろやハゲ野郎」


「あ?」


 ヌーにハゲと罵られたスキンヘッドの男は、そこでようやくヌーに対して明確な殺意を向けるのだった。


「!」


 ヌーはヒロキに視線を向けられた瞬間、ソフィと相対していた時と同じ種類の重さの()()をその身に感じ取って身体が硬直する。


 そして身体がが固くなっているところに一瞬でヒロキは、ヌーの間合いに入り込んでくるのだった。


 ヌーの間合いに入ったヒロキは左足を軸にして、思いきり身体を捻りながら右拳をヌーの鳩尾目掛けて下から突き上げた。


「うぐっ!?」


 ヌーはドテッ腹を思いきり殴り上げられた後、そのまま返しのフック気味の左拳を横っ面に思いきり振り切られて、その場に立っていられずに、殴り飛ばされていった。


「――!!」(ヌーッ!!)


 ヌーが殴り飛ばされた瞬間、誰よりも早くテアは反応を見せた。

 そしてヌーに攻撃を加えたヒロキに対して恐ろしい形相を浮かべながら、テアは大きな鎌を具現化し始める。


「――!!」(テメェ、ぶち殺してやる!!)


 どうやらテアはヌーが殴られた事で怒りを抑えきれなかったのだろう。彼女の視界にはヒロキ以外入らなくなった様子で瞳孔が開き切り、二度、三度と足元でステップを踏むようにして彼女は、攻撃のステップとタイミングを測りながら両手で持つ大鎌を構えた後、右足で地面を思いきり蹴り飛ばしてヒロキに向かって突進していった。


 結界を壊した時以上にテアは持つ大鎌に力を込めて、そのままヒロキの胴体を真っ二つにしようと、大鎌を振り切った。


「怒りで我を忘れていては、当たる物も当たらんぞ?」


 テアの攻撃を紙一重で避けた後、そのテアの横っ面を思いきり右拳で殴り、彼女の二つに結んだツインテールの片方を強引に掴んで引き寄せた後に、彼女の耳傍でそう告げながら先程ヌーが池に落とした男にしたように、前蹴りを彼女の腹にぶち込んで吹き飛ばした。


「――!!」(ぐぁぁっ!!)


 ヌーが吹っ飛ばされた場所の近くに、テアもまたヒロキに殴り飛ばされた。


 しかしテアはヌーのように壁にぶち当たる事は無く、壁付近に立っていたヌーに優しくその身体を受け止められた。


「テア! 大丈夫か……よ……っ!?」


「――?」(う……。すまねぇ、助かっ……た、よ?)


 テアは壁にぶつかると理解していた為、衝撃に備えて痛みを我慢をしようとしていたが、ヌーによって助けられた為にそのヌーに感謝をして言葉を掛けたのだが、その時にヌーの顔を見て凍り付いた。


「……許せねぇ」


 ヌーは両手でしっかりと支えていたテアの身体を離した後、ぽつりと一言告げて顔を豹変させた。


 ヌーはテアが壁にぶつけられるところを庇ったが、その後に無事を確認しようとしてテアの顔を見たのだが、テアは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 そして次の瞬間、怒りを露にしながらヌーはオーラを纏い始めた。

 しかしそのオーラの色はいつもの『金色』ではなく『青』と『紅』の『()()()()()』のオーラであった。

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