序章Ⅰ
この世界が狭いんだと理解したのはいつだっただろう。
これは俺たちがこの世界の真実を知り、本当の自由を手に入れるまでの物語だ。
そして、俺の自由を求める戦いはあの日から始まった、、、
西暦994年8月19日
俺の朝は早い。(たまに)
何故なら、母さんが俺が小さい頃に病気で亡くなったから、家の家事などは父さんとやりくりしなくていけないからだ。
かと言って俺は、新しい母さんが欲しいというわけでもなく、今の父さんとの生活が一番幸せだ。
けど今日の家事は俺の担当じゃないから、、、
「ボン」
突然固い何かにたたかれた。
その衝撃で目覚めた俺はあることに気付く、時計の針が9時を回ろうとしていたのだ。
俺が作った遅延発動本落とし目覚ましが何故こんな時間に発動したのだろうか、
けど今はそんなことどうでもいい。
「やべー遅刻だーー!」
俺は急いで学校の支度をする。
今から全速力で学校に行っても遅刻すると考えるのが妥当だろう。
だがその常識をぶっ壊すのが俺だ。(ドヤ)
俺は食事などを済まし、外に出て、
玄関の前に立ち俺は周りに人がいないか周囲を見渡した。
「オペレーションシステム発動ー!対象は俺、Level3」
これが俺の能力 Teleportation だ。
正確には瞬間移動しているんじゃなくて
自分の時間を引き延ばしているいる感じで、大げさに言えば1秒間を1時間に延長しているようなものだ。能力名はカッコイイからこの名前にしている。
「よーし、今日は半径50メートル以内に人がいないし、本気出しちゃいますか」
すると、周囲がスローモーションX2になり、俺は学校まで全速力で走った。
俺の能力はlevel別の段階で分かれていて、今の俺にはLevel3が限界だ。
使用した能力のlevelによっては移動した周囲に竜巻が起こるから能力使用の場所は考えろと父さんにくぎを刺されている。
最近分かったことなんだが、俺の能力は他人にも効果を与えられるらしいが、効果が切れるまで自分は能力が使えないらしい。まだ実戦では使ったことがないぜ。(ニヤリ)
「はっあ、、はっあ、はっあ、、」
家を出てから2分後に学校の校門に着いた 。
学校までは数キロちょっとだったからもう少し早く着けたと思う。
「やっぱ、level3使うと体力が持たねーな」
絶対しないであろう体力トレーニングをしようかなと思った俺だった。
何とか間に合ったけど、能力酷使しすぎたから少し遅めで歩こう。
すると、教室に向かおうとした俺の肩を不意に誰かにたたかれた。
青春に縁がなかった俺にも遂に、、
そんなバカなことを思った俺だった。
「やあ、ヒロ!」
後ろのほうからなんか聞こえたけど無視しよう。
俺のこの気持ちを返せ!
「ヒローーーー」
聞こえない、聞こえない
俺は女の子とのドキドキした会話がしたいんだよ
「ヒロの父さんにさっきlevel3まで使ってたよって言っちゃおうかなー」
かわいそうだし構ってあげようか。うん。そうしよう。
「なんかよう俺の青春の1ページを奪ったアルマ君?」
アルマは俺の小学校からの親友で、背丈は俺より一回り小さい小柄なほうだ。
この世界では珍しい黒目で黒髪だから俺は羨ましいが、アルマにとってはコンプレックスだそうだ。
「朝からいきなりなんだよヒローー。 そういえば明日は、、」
「キーーンコーーンカーーンコーーン キーーンコーーンカーーンコー―ン」
学校の授業が始まるチャイムが鳴り響いた。
その音と同時に俺たちはダッシュで走り始めた。