3ー1 「残血の行方不明事件」
5月 5日 6時
出久はいつもどおり起床した。
布団をどけると、まずは伸びをする。
そして立ち上がり、隣で静かに寝ている姉を見る。
「……………。」
和泉は、あれから3ヶ月以上経った今でも起きない。
出久はカーテンからこぼれる朝日を見て、カーテンを開けた。
「お、今日は晴れたみたいだぞ、和泉?」
彼は起きない彼女に語りかける様にいった。
「昨日は、1日中雨だったからな。晴れて当然か…………。」
そのまま高校の制服に着替え、阿嘉音の待つ、下の階に降りた。
居間のドアを開ける。
いつもの様に阿嘉音は、机でパソコンや書類をどっさり置いて、調べ物をしていた。
「阿嘉音。」
阿嘉音は出久に気づいていなかった様だ。
「ああ、起きたか。で、今日も………」
「まだあいつは起きてないよ。」
和泉の事だ。
「……そうか………。ところで、やっと新しい情報を見つけたぞ。」
と、阿嘉音は言って、書類を出久に渡した。
出久はどれどれと、書類を眺める。
「行方不明事件か………。」
「で、3週間前にお前が倒した奴と違う所は………、ここだ。」
阿嘉音は書類を覗き込み、1行の文に指をさす。
「血だけが残る…………?」
「そうだ。ここから少し離れた、古い橋の前で3回。この前の奴は、殺した人の死体を残したが、今回はそう、血だけだ。」
「血だけ?ということは………」
「そう、死体は見つかってない。警察はその残された血の鑑定をして捜査をしてったら、その3人は行方知らずになっていた3人と一致したらしい。血の量から、行方不明者は全員多量出血で死んでいると予測されている……………。どうだ、これは【奴ら】で間違い無いだろう?」
「いや、そうとは限らないぜ?」
「まあな。…………んじゃあ、早速だが今日の夜、その橋に行ってきてくれ。」
それに、出久は面倒くさそうな顔をして、「はぁ」とため息をついた。
「………分かった。相手がなんにせよ、その「犯人」を見つければ良いんだな?」
出久はバッグを持って、椅子から立ち上がり、玄関にいった。
「そういう事だ。依頼は受けてないから金にならない仕事だが…………よろしく頼むぞ出久?」
「はいはい。」
そうして、出久は家を出た。
筆者です。
報告ですが、もう1つの作品をこの作品より早く終わらせようと思っています。なので、双藍の箱は少し休止するかもしれません。ご理解の程、よろしくお願いします。
誤字・脱字がありましたら教えてください。よろしくお願いします。