2ー0 「災いの配送車」
2092年 12.18 東京
1台のトラックがとある住宅街を走る。
凸凹な坂を上り下りしながら、トラックは目的の輸送先まで向かった。
現在、夜の東京には雨が降っている。
雨で濡れたトラックは、【西行】という立て札が付いた家の前で停車した。
どこにでもありそうな一軒家は、どこか怪しげな雰囲気を出しており、街の人間は用が無い限り、この一軒家周辺には立ち寄らない。
立て札の下には【西行探偵事務所】と書いた札も掛けてある。
配達員は玄関のイヤホンを押す。
「すいません、宅配です。」
近隣住民の事を配慮した静かな声で言った。
しばらくするとドアが開く。
顔を出したのは、歳30ぐらいの女の人だった。
「すいません、中まで運んで貰えますか?」
彼女は落ち着いた声で配達員に言う。
2人の配達員は重そうな細長い2つの木箱を玄関に運び終えると、礼をしてトラックに乗り、またエンジンをかけて走り出した。
女の人は、さらに木箱を家の地下室に運んだ。そして手術台のような台の上に乗せ、木箱を開ける。開けると、【中の物】はさらにチャックの付いた布に包まれていた。
チャックを開ける。開けた瞬間、もわっと軽く冷気が噴き出した。
「確かに受け取った………。」
女の人は呟いた。
その2つの木箱の中に入っていた物は、冷たく目を閉じる、少年と少女だった。
筆者です。
登場人物紹介は・・・まだ早いですよね・・・?
誤字・脱字がありましたら教えてください。よろしくお願いします!