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双藍の箱  作者: ジニー
第三章 「憎悪の裁断」
12/16

3ー4 「裁断器具」

やはり、ここに来といて正解だったと出久は思う。現場に坂田がいた事は想定外だったが。

「…………じゃ、…………ま…………。」

「出久、前っ!!」

女はハサミを開くと、出久目掛けて投げた。

カキンッ!

出久は右手に持っていたカッターで、ハサミを斬り飛ばした。

坂田は何故か、その飛ばされたハサミに目がいった。取っ手が緑色のゴムで出来たハサミを。

どこかで見覚えのある………

「おい、坂田。」

「……………。」

「おい!」

「…………え!?」

「ほら、早く逃げろ!」

「分かってる、分かってる!」

坂田は立ち上がろうとするが、足が震えて動かなかった。

「くそ!足が…………っ!」

「何してんだ、早く!」

「そんな事言ったって………!」

「……………っ!」

出久は坂田の方を向いていた内に、女は出久のすぐ後ろまで来ていた。再びハサミを持ち、出久目がけて振り下ろされる。

「お、前…………じゃ…………ま。」

振り返るが躱しきれる間合いではなかったため、出久はカッターでハサミの刃を防ごうとする。しかし、

パキンッ!

カッターの刃が割れてしまった。そしてハサミは、前に出した出久の右腕に食い込み、あろう事か、骨をも簡単に寸断し、右腕が彼の体から離れた。

切り裂いた感触が伝わり、女はニヤリと笑みを浮かべた。

「ちっ!!」

だが出久は痛がったりも動揺する事もなく、地面に落ちる前に右腕を左手で掴み、跳躍した。

「……な……………!?」

「お前が驚いてどうするんだよっ!」

出久はそのまま女の顔に回し蹴りを放った。

「がぁ…………っ!!」

命中し、女は15メートルくらいまで蹴り飛ばされ、体を地面に打ち付けた。

出久は、倒れている女を見て、目を集中させた。すると、出久の瞳が半月のように変わる。出久は、女に流れている魔力の流れを観察した。そしてその中に、線の流れが異常で、その線は一箇所へと集まり、球体の様に腫れ上がっていた。ブラッドオーブである。

「ブラッドオーブ…………ってことは、お前もやっぱり【死徒】か?」

「……………………っ!」

女は、焦りの表情を浮かべると、いきなり身体を透明にさせ、地面の中へと消えていった。

「逃げた…………?ま、いいか。」

出久は左手に持つ自分の腕を、自分の切断部分に合わせて、ゆっくり目を閉じた。

「………おい、いず……………」

「ちょっと静かにしてくれ。」

出久は深呼吸した。すると、右腕がミチミチと、奇怪な音をあげた。そして音が鳴り終わると、右腕を支えていた左手を離し、右手をゆっくり動かした。

最初は指が痙攣していたが、すぐにいつも通りに動かせた。

「本当にいけるんだな。初めてだったから、ちょっと驚いた…………。」

出久は右肩をブンブンと回し、違和感がない事を確認すると、倒れている坂田の方に振り返った。

「ひとまず安心だ。立てるか?」

出久が尻餅をついている坂田に手を差し出した。

「……………。」

坂田は口を開けて唖然としていた。

「おい、大丈夫か?」

出久はそれを心配そうに見つめる。気付けば、目は通常の瞳の色と形に戻っていた。

「………いや、それよりもお前は大丈夫か?」

「俺?ああ。右腕もこの通り動く。」

「そ、そう………なのか?」

坂田は出久の手を取り、体を起こして立ち上がると、出久は、戦闘中に落としたカッターを拾う。

「やっぱこんなんじゃ駄目だな。」

突き出た刃をしまい、ポケットに入れた。

「坂田、今日はとりあえず家に帰るな。」

「え?なんでだよ?」

「あいつが復讐に来るかもしれないからだ。ちょっとついて来い。」

「ついて来いって、どこにだ?」

「俺の「下宿場所」。ほら、行くぞ。」

出久は元来た道を振り返って歩き出す。未だに状況が理解出来ない坂田だったが、とにかく今いる所から一刻も早く離れたかった為、出久について行く事にした。

久しぶりの投稿となります。

こっちは消しません^_^

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