3ー3 「静かな殺気」
如月町には古くからあると言われる橋がある。橋の周りには昔ながらの街並みが残り、小規模の工業地域として、現在も栄えていた。
しかし、最近はこの橋で奇妙な出来事が起きているからか、誰も通れない様に封鎖されている。
夜中
坂田 利則は、やはり昨日の事が頭から離れず、またこの地域を訪れていた。
(私……き……れい……………?)
あの声には恐怖の他に、何か他に引っかかる事があるような気がしたからだ。
坂田は当然のようにフェンスを越えて、奥へと進んで行った。
そして数歩踏み出した後、
「お…………で………………。」
「…………っ!?」
彼の耳元から、昨日と同じ声が微かに聞こえる。
「お……………ぃ………で…………………。」
また聞こえる。
「………なんなんだ?」
坂田は身震いしたが、自然と足は止まらなかった。
気づけば、もう橋の手前まで歩いていた。
だが、躊躇う事もなく、足が橋へと動く。
そして、
橋の上には、1人の女が佇んでいた。
「……………!」
坂田は足を止め、目の前の女を見た。
ここに街灯はなく、顏を確認できなかったが、彼は直感的に、昨日の奴だと分かった。
女は坂田を確認すると、こちらに来るよう手招きをした。
「おいで………おいで………………。」
行ってはいけない。
彼は分かっていた。
なのに、足が勝手に、彼の体を前進させていた。
「あ…………。」
体が言う事を聞かない。
女が手にハサミを持っているのが分かる。
殺される殺される。
そう思っても足は止まる事をやめない。
もうだめだ。
そう思ったその時、
グッ!
誰かが背後から彼の服を引っ張り、後ろに引き戻した。
すると、言う事を聞かなかった足が、自分の言う通りに動き出し、「誰か」と一緒に数歩後退した。
「坂田。下がってろ。」
少年が自分の前に立った。
同じ高校の制服姿の少年には、彼も見覚えがあった。
「……………東間?」
その少年は、数時間前知り合ったばかりの奴だった。
筆者です。
忙し過ぎて中々投稿できなくてすみません。
誤字・脱字がありましたら、是非とも教えてください!




