エルサイド王国
はーい!私達はいま王国の門の前にきています。
ん?そんなメンドクサイ描写しずに早く服買えよ変質者って?
俺も早く服を買いに行きたいんだが、どうやら門の前でイベントが発生してしまったようで……。
「おい!そこの怪しい奴止まれ!」
えぇ、門番に止められてしまいました。そりゃそうだよねだってフード付ローブとか怪しいものね。
「とりあえずお前!何者だ!」
「鬼灯拓也です16歳です趣味は…」
「もういい!そこの君は?」
なんかこの門番めっちゃ失礼なんですけど!?
何者だって聞いたから答えたのに……。
「ミシェル=ヴァロアです。急いでいるので中へ入れてもらえませんか?」
「あなたがミシェルさんでしたか、申し訳ありません。どうぞお通りください」
え?何?ミシェルって有名人なん?
それにしてもこの待遇の違い…しっかりしてやがるぜこの王国!
「あのぉ、俺は?」
「通すわけが無いだろう怪しい奴め」
デスヨネー。ていうか兵士が優秀だね、この王国。
自分で言うのは嫌だが今の俺、かなり怪しいからな。
「怪しいお前!そのローブを脱げ!」
ワァオ絶対無理ですよだって葉っぱなんですもの
「無理です。下に何も着てないんで」
「なんだと!もうだめだ!おい新入り!こいつを牢へ連行しろ!!」
!?ちょ、まって。優秀とはいったがちょっとやり過ぎではなかろうか?
「まってくれ!俺は何にもしてない!!ていうかミシェル!!見てないで助けろ!いや助けてください!!」
なんかミシェルが口に手を当てて「クスクスッ」と上品に笑っているが俺はそれどころじゃない。
「待ってください兵士さん。その人山賊に服を盗られて裸なだけなんです」
やっと助け舟が出た。もっと早く言ってくれればいいのに絶対楽しんでやがったなミシェルめ…
「なんだそうなんですか、よしお前!通って良いぞ!」
「あざっす……。」
そして俺達はやっと王国の門をくぐる事ができた。
・・・・・
「なぁ、ミシェル」
「なんですか?」
「さっき絶対楽しんでただろ」
「そんなことないですよ」
ミシェルはニコニコしながら否定した。
ミシェルってちょっと悪戯っ子なんだな~
そんな会話をしながら服屋であると思われる場所に到着した。
「いらっしゃいませ~」
お決まりの定型文に歓迎された俺達は店の中を物色する。
「拓也さんはどんな服がいいんですか?」
「とりあえず動きやすい奴かな~?あと黒系の色で」
黒系の色がいいっていうのはローブの色が黒だからだ。
決して中二病とかではない。
「わかりました。拓也さんあまり詳しくなさそうなので代わりに私が選んできてもいいですか?」
「あ~じゃあおねがい」
「わかりました任せてください」
ほんといい子だよな~俺にレーザー撃った子とは思えないぜ!
そう思いながら近くの椅子に腰掛ける
時計は午後3時を指している
この世界にも時計ってあったんだ!じーさんが科学とかはあまり発達していないと言っていたがこのくらいは発達してるのか…。
今度この世界についてもっと調べてみよう
そんなことを考えている間にミシェルが両手にいろいろ抱えて戻ってきた。
「おまたせしました。希望通り黒基調で動きやすいもをを私なりに選んで持ってきてみました。試着してみてください」
「ありがと~ちょっと着てみるよ」
そう言い残し試着室に入り、持ってきてもらった服を一式着てみる
インナーは肌触りのいい布が使ってあるシンプルな長袖シャツ、
同じく肌触りのいいレギンスにひざ下までの何かの皮製のブーツ。
アウターなんてなかった…。
まぁローブ着るからいらないか、
「どう?」
試着室のカーテンを開けながら早速、着替えたばかりの服を披露した。
「中々いいとおもいますよ。ローブを着ればですけど」
「あっやっぱそれ考えてた?」
「えぇ、そのローブ、それに剣も。大切なものなんでしょう?」
確かに大切なものだけど山族に渡すのがもったいなさすぎたってのもあるな。
「まぁ確かに大切なものだからな、アゲナイヨ!!」
「いりませんよ」
「じゃあせっかくミシェルが選んでくれたんだからこれにしようかな」
女の子に服を選んでもらうなんて今まで無かったからな~ちょっと…いや、かなり感激している
「わかりました。お金を払ってくるので待っていてください」
「あぁ、ありがとう」
女の子にお金を払わせるなんて俺一生の不覚!
今度なんかお返ししなきゃな~
ミシェルが支払いを済ませて戻ってきた。
「これからどうしますか?拓也さん」
どうするもこうするもお金も家も無いからな~、
「そうだな~とりあえず入れそうなギルドでも探すよ」
ギルドに入れば生活するお金は作ることができそうだし、
住む場所はとりあえず後回しだな。野宿とかやだな~
「そうですか、では私の所属しているギルドに来ませんか?」
ミシェルもギルドに入ってるのか、じゃあそのギルドに行った方がいいかもな
俺のミッションはミシェルを守ることだし、いつもできるだけ近くにいたほうがいいよな
「じゃあそうしようかな。案内してくれる?」
「わかりました」
そういうとミシェルは街の中心へ向かって歩き出した。
「そういえばミシェルってギルドでは何ランクなの?」
「わたしは一応SSランクです。」
やっぱりめっちゃ強いじゃん16~18歳の平均ギルドランクは確かBだったよな?
「めっちゃ強いじゃんミシェルって」
「そんなこと無いですよ。もっと強い人たちは国から召集がかかり帝と言う地位が与えられます」
「あぁ、確かこの国の最高戦力だよね」
そいつらだけで一国を落せるとも言われている程マジキチな集団だ。
「そうです。その人達はオーバーランクのクエストを受けることもできます。私もいずれなりたいです」
大丈夫、あんた一人で神と同じぐらいの力を持つようになるから。
「着きました。ここが私の所属しているギルド。
『漆黒の終焉』です」
ハーイ。めっちゃ中二って思った人、挙手~
これは予想以上にひどい。
ひどすぎる。ここまできたら取り返しがつかないよ!
「いや~、いいと思うよ漆黒の終焉。うんうん」
何とか表情に出さないように笑いをこらえる
このギルド作ったギルドマスターってどんな感じなんだろう?
邪気眼とかじゃないといいが…。
「じゃあ行きましょうか」
ミシェルに続いてギルドの中へ入る
内装は酒場って感じが近いかな?
ギルドの中には酒を飲んでるおっさんやトランプしてる危なそうな奴らもいる
ギルドの中に入ってきた俺達にきずいた酔っ払いが
「お~ミシェルちゃんお帰り~。そいつ誰~?彼氏~?ヒック」
そんなことを言った。
えぇ私もこんな彼女がほしいですよ。
「違います。お友達です」
バッサリ否定されましたねまぁ当然ですよね。
「あれ?ミシェルちゃんお帰り!その子誰?お友達?」
次に俺達に声をかけてきたのは、おそらく受付嬢と思われる服を着た人物なのだが…
かなり幼いが中々整った顔立ち、茶髪で腰ほどまである髪、何も無い胸板、そして……
130cm位の身長。
どう見ても完璧なロリですありがとうございます
「ロリッロリやな…。」
「ちょっ拓也さん!」
あっ!口が滑ったとか思っていったときだった
「ヘブライッッ!!」
水属性の魔法が俺のフツメンフェイスに直撃した。
「お?ミシェルちゃんの友達が地雷を踏んだぞ!!」
「ギャハハハハハ、久しぶりだなぁオイッ」
ちょ、おっさん達笑ってないで助けて!!
「あなた今、なんていいました?」
顔は笑っているが目が笑っていない受付嬢が、俺の胸倉を掴んでそう言う
「いや、だからロリッロr」
言い切る前に今度はグーのパンチが俺の頬を襲う
「な・ん・て・い・い・ま・し・た?」
「いや、だからr」
「【ウォーターロック】」
まだロリって言ってないのに…
出現した水が俺を包み込み、水の球体が出来上がった
なるほど。この受付嬢にロリは禁句なのか、なるほどなるほど
「なにをしているんだね?リリー君」
「マスター!?これは、その」
よほど騒がしかったのか、後ろからスーツに身を包んだ180cmほどで20代後半のジェントルマンが出てきた。
なるほど。こいつがこのギルドの長か…
中二病だと思ってたけどそうでもなさそうだ。
「とりあえず出してあげてはどうだね?苦しそうだ」
「はい…」
受付嬢こと、リリーは(´・ω・`)←こんな顔になりながら俺にかけていた魔法をといた
いきなり拘束から解かれた俺は陸に打ち上げられた魚よろしくピクピクしている
この世界怖すぎない?
初対面の人に魔法使うってどういうことさ!
「大丈夫ですか!?拓也さん」
いち早く俺のことを心配してくれるミシェルからはラファエルの面影を感じる
「大丈夫、でも折角ミシェルに買ってもらった服がびしょびしょだ。ごめんね…」
「拓也さんの体が大丈夫ならよかったです」
ニコッと笑って言ってくれた
ミシェルたんマジ天使。この世界での唯一の暖かさを見つけた。
「ちっ、死んでなかったか…」
それに比べてこの受付嬢は…まぁ俺がわるいんですがね。
「こらリリー君、ちゃんと誤りなさい。ごめんね君。怪我はないかい?」
やっぱり中々常識人なようだ
「あぁ大丈夫です。それに俺が悪いんですし」
まぁ俺が口を滑らせてなかったらこんなことにはなってなかったわけですしおすし。
「それよりギルドに入れてもらいたいんですが…」
「新規登録ですね。わかりましたちょっと騒がしくなってしまったので奥の個室でやりましょう」
受付嬢が復活した。こいつ仕事はちゃんとやるのね…、
ていうか騒がしくなったのは俺とお前のせいだろうが!
特に反抗することも無いのでおとなしくギルマスと受付嬢についていく
奥の部屋に着くと、俺とミシェルは椅子に座らされた。
向こう側にはギルマスが座っている
そんなことより…
「なんでミシェル着いて来てんの!?」
「だめでしたか?」
まぁいいけど…
しばらくすると受付嬢が紙と羽ペンにインクを持って来た。
「ではこちらの紙に、名前・出身地・魔力量・魔力属性を記入してください」
名前は『鬼灯拓也』っと、
出身地?どうしようか?まぁいいや『わかりません』っと
魔力量と魔力属性は測ったこと無いな
「すみませ~ん魔力量と魔力属性わからないんですけど」
「では少々お待ちください」
受付嬢はまたどこかへ行ってしばらくすると二つの水晶球を持って戻ってきた。
「まずはこっちの水晶に魔力を流してください」
そういって持っていた二つの水晶のうち一つを机の上に置いた。
魔力を流すって魔法を使うときと同じ感覚でいいのかな?
そう考えながら、水晶に手を置き
「フッ!」
いつものように魔力を流した。すると
「バリンッッ!!」
水晶球が粉々に砕け散った。
ヤバイ!なんでだ?魔力なんて測ったこと無かったからやり方を間違えたか?
いや、ただ単に魔力量が多すぎたか?おそらくこれだな次はそっとやらないとな…。
「この魔力量測定水晶先月取り替えたばかりなのに!?」
ヤバイ。何とかごまかさないと。
「いや~どうやら不良品だったようですね」
「!!?そんなことはッ」
「不良品だったようですね!」
「す、すみません。新しいのを持ってきます」
受付嬢リリーはそういうとまたどこかえ行ってしまった。
危なかった…。魔力を使うのにも気をつけないと人間なんて消し飛ばしちゃうかもしれないな…。
「お待たせしました。もう一度やってみてください」
いつの間にか新しい水晶が机の上に用意されていた。
背が低くて気づかなかったぜ!
よし。次はそ~っとだぞ、俺!
そう自分に言い聞かせながらそっと魔力を流した。
「魔力量……、10億ですね…」
確かこの世界の平均が50~200万だろ?
やばいなどうしよう、でもしょうがないよね!
「10億ッ!?それは水晶の故障ではないのか!?」
「いえ、そんなことは無いはずです。この水晶も買ったばかりなので…」
「拓也さん…あなたは一体何者なんですか?」
めんどくさいことになりそうだ
「次は?魔力属性だっけ?早くやっちゃおう」
「そ、そうですね」
話題を切り替え、この場を乗り切ることにしよう
「で、では同じようにこの水晶にも魔力を流してください」
受付嬢の指示にしたがって水晶に手を置く。
魔力属性だから流す魔力は少しでいいよね。
そう考えさっきと同じように魔力を流す
すると水晶が虹色に輝き始めた。
「これはっ!……火、水、雷、土、風、光、闇、音、空間、破壊……全部あります。全属性です!」
なんとなく予想はしてたけど本当にこうなるとは…。
「全属性だと!?」
ギルドマスターが驚きのあまり立ち上って叫ぶ
ミシェルに至ってはフリーズしちゃってるし。
とりあえず紙に記入しておこう
えっと魔力量『10億』
魔力属性『全属性』っと
その紙を受付嬢に渡し、
「これで登録しておいてください」
とても面倒なことになる気がしたので
そそくさとその場を後にしようとするが…
「待ってくれ君、私と戦ってくれないか?」
ギルマスに呼び止められる。
「嫌です。何で戦わなくちゃいけないんですか?」
「ギルドマスターとしてギルド員の強さを把握しておきたくてね」
確かに一理あるな…。
でもうっかり殺しちゃうかもしれないし…、まぁいっか。
こいつ強そうだしそんな簡単には死なないだろ
「わかりました。その代わり死んでも文句言わないでくださいね」
とっとと終わらせてお金を稼ぎに行こう。
「わかった。では闘技場へ行こうか」
・・・・・
ギルマスに案内された先には地下闘技場があった。
それも中々広い。ここなら思う存分やれそうだ。
移動中に聞いたんだがギルマスはロイド=ドラグーンって言うらしい、めっちゃカッコイイねって言ったら上機嫌だった。
ロリ受付嬢リリーは、リリー=ランスって言うんだって、この世界カッコイイな前ばっかだなオイ!ッて思ったのは俺だけ?
そんなこんなで決闘が始まろうとしていた
ギャラリーはミシェルに受付嬢リリーだけだ。
「ルールはどうします?ロイドさん」
ロイドさんに聞く、
「使い魔は無しで、後は特にルール無しでやろうか」
へー使い魔なんてあるんだ。
俺の中二心がくすぐられるぜ!
「わかりました。でははじめましょうか…」
「ではリリー君、合図を」
「はい、では行きます。『始めっ!』」
受付嬢リリーの合図とともに、ロイドさんが指輪を剣に変え一直線に突っ込んでくる。
正直言って遅い、おそらく身体強化を使ってるんだろうが全然早くないな。
これも修行のおかげかな?
そうこう考えているうちに目の前まできていた。
「ハァッ!!」
何の変哲もない剣による振り下ろし
俺は剣の腹を手で押し軌道をずらし間隙あけずに顎にサマーソルトを入れる。
「グッ!」
顎を強打されたことで少しぐらついたロイドだが落ち着いていったん距離をとるためにバックステップをする。
が、そんな隙を見逃すはずも無く着地の隙を突き、一瞬で距離を詰めた俺は、右ストレートを腹にめり込ませる。
「ガハッ」
血反吐を吐きながら遥か後方へ飛ばされ、闘技場の壁に激突し粉塵を巻き上げ止まる。
起き上がるまで待つか…
煙が収まるとそこには肩で息をしているロイドさんがいた
ていうか俺強くなりすぎじゃね!?
ギルマスってことは相当強いはずなんだがそれをただの身体能力だけで圧倒とか…、
最強すぎワロタ。
「どうです?まだやりますか?」
余裕ぶってロイドさんにそう聞く。
うんかなりウザイよね、しってる。
「君、人間とは思えないほど強いね。内臓が抉られた気分だよ…」
えぇ正直人間かどうかも怪しいですからね
「それで?まだやるんですか?」
「もちろんだよ。久しぶりにこんなに強い人に会えたんだ。全力を出すまでは倒れられないからね」
この人ちょっと戦闘狂が入ってる。こぇぇ。早く終わらせないと後遺症とか残るかもしれない…。
遊ばずにできるだけ早く終わらせてあげよう。
「そうですか」
ロイドさんはゆっくり立ち上がると魔力を練り始めた
「『我、力を欲する者なり』」
「ちょっと待ってくださいマスター!!そんな魔法を使ったら闘技場が!それに拓也さんも!」
なにやらロイドさんが詠唱を始めた。
すると受付嬢リリーが急に慌てて制止させようとしている。
それより受付嬢め…、俺の心配より闘技場の心配のほうが先だった。
「『雷神の元に集いし力よ、我にその一部を貸し与え、大いなる雷を落させたまえ』」
ちょっと危なそうなので闘技場全体に結界を張る。
詠唱が終わったのかロイドさんは目をカッ!と開き、手をこちらへ向けて叫んだ。
「【トールハンマー】」
すると、ロイドさんの頭上に巨大な雷の玉が出現し、俺に向かって物凄い勢いで落ちてきた。
めっちゃバチバチうるさいんだけど!?
あと眩しい。
とりあえずこの魔法をどうしてやろうか?
受けても何の問題も無いが……。あっそうだ、
向かってきているトールハンマーに手をかざすと、
「【ゲート】」
異空間への門を開いた。
そしてトールハンマーをすべて飲み込んでしまった。
「空間属性!?そんな…。でもまだっ!」
何とか戦う意欲を出そうと自分を奮い立たせるロイド
「これで終わらせます。ロイドさん、あなたのトールハンマーはどこに行ったと思います?」
「…。」
答えないロイド、
そして俺は、ロイドさんの前にもう一度【ゲート】を開く
その中から消えたはずのトールハンマーが出現した。
「!!?」
いきなりの事で回避できるはずも無く、直撃した。
闘技場には爆風と目をつぶっていても眩しいほどの光が埋め尽くした…。
光と煙が晴れると、そこにはぼろ雑巾のようになったロイドさんがいた。
なんか昔の俺を見ているようだな…、
こんなときはいつもラファエルたんが介護してくれたっけ…。
「ま…だ…。」
まだ意識があるのか、タフだな。やっぱり戦闘狂ヤバイ。
ゆっくり、一歩ずつ無駄に威厳を出しながら俺はロイドさんに近づいていく。
うん、むかつくね。
「待ってください!それ以上やったらマスターが死んじゃいます!!」
それを見た受付嬢は俺がまだロイドさんになにかするつもりだと思ったらしく、必死に制止する。
なに?俺ってそんなに残酷な奴だと思われてんの!?
「リリー…君……、止める…な。」
だから何にもしないって!!
「ッ!!」
マスターであるロイドの性格を知っているリリーは、ここで決闘を止めてはいけないと思い見守ることにした。
一方、意味も無く歩み寄っている俺はどうやって治そうか考えていた。
光属性の魔法は治癒能力があることにはあるが微々たる物だ。
一気に直すにはどうすればいいか…、そうだ!
たしかじーさんに『創造』の能力をもらったよな?俺、
なら使ってみるかな…。
『創造』【治癒能力】
この能力は、俺が治そうと思った生き物を治すことができる能力だ。
これで俺は自他ともに治せる治癒能力を手に入れた…はず。
そしてロイドさんが倒れているところまで歩み寄り、能力を発動させる。
すると、ロイドさんの体がクリーム色の光に包まれ、光が収まるとまるで戦う前の状態に戻ったかのように体が完全に治っていた。(見た目は)
「この勝負、俺の勝ちでいいですよね?」
ドヤ顔でそう言う俺、知ってる。めっちゃむかつくよね。
「あぁ、そうだね。僕の負けだよ」
ロイドさんの敗北宣言とともに、観客席にいた二人が駆けつけてくる。
「マスター!大丈夫ですかっ!」
「あぁ、治してもらったらしいからね。なんとも無いよ」
「あまり無茶するのはやめてください!!」
やっぱり完璧に治ってるみたいだな…、さすが神の力だな、でも人間との戦闘であまり使わないほうがよさそうだ…
何しろ強力すぎる…
「拓也さん、やっぱりとても強かったんですね…」
「ごめんよ、隠すつもりは無かったんだ…」
ミシェルには教えてもいいかな…。
そんなことより…
「決闘が終わったばかりで悪いんですが、ギルドカードを発行してもらいたいんですけど…」
はやくクエストやってお金稼がないと異世界生活初日から断食なんてことになってしまう。
「あぁはい!すぐに用意しますね」
それまでロイドさんの介抱をしていたリリーが一人で地上のギルドのほうへ戻っていった。
「君「鬼灯拓也です」…拓也君、君はいったい何者なんだい?」
ロイドさんが真面目な顔で聞いてくる。
「それ、言わなくちゃいけませんか?」
言ってもいいのだが秘密は多いほうがカッコイイのであえてそう答える。
「ふふっ、言いたくないのならいいよ」
「そうですか…」
そんなやり取りをしている間にリリーが戻ってきた。
「はいこれが拓也さんのギルドカードです。マスター、ランクはどうしましょう?」
「……拓也君には帝になってもらう」
「マスター!?」
はい?この人今なんていった?みかど?
「この強さ、間違いなく帝で問題ない。いや帝では収まりきらないかもしれない」
「マスターがそうおっしゃるなら…」
「やりましたね!拓也さん。凄いです帝なんて!!」
なんで帝になる方向で話しが進んでるの!?
あまり目立つのは避けたいんだが、俺の存在は極秘扱いだからな~
「あまり目立ちたくないんですけど…」
「その点は大丈夫。帝は正体を隠すし、ギルドカードを2枚持つから」
人間相手じゃなくて神相手になんだが…。
でもまぁいいかな?神からの襲撃はいつか必ずある。
なら国にある程度干渉できる権限を持っておいたほうがいいんじゃないか?
そうすれば国に結界張ったり、被害を最小限に抑えるための非難場所を作ったりできるんじゃないか?
う~ん。どうしよう?
引き受けておいて損は無いか…、
「じゃあ引き受けます。」
「そうですか、やってくれますか」
引き受けると言うと急に嬉しそうにするロイドさん
「いや~、他の帝や王様がどうしても私を帝にしたいらしくてね、君を私の代わりに推薦しておくよ。私より強いしね」
なるほど、俺はロイドさんの身代わりになったと…
「では~帝にしますか?他の帝の方は基本的に自分の一番得意な属性を入れるんですが…」
俺の一番得意な属性ね~
全部得意っていう場合はどうすればいいんですかね?
「それって属性じゃなくてもいいの?ロr」
ロリって言おうとしたら顔にウォーターロックかけられた。
苦しい、息ができないお。
ジェスチャーでごめんなさいをして何とか解いてもらう事ができた
「いいと思いますよ。」
ちょっと対応が冷たい気がするが気にしない。
「そうか…、じゃあ『剣帝』で」
「わかりました帝カードは『剣帝』で登録しておきます。
それではもう一枚のギルドカードの方ですが魔力量と魔力属性を適当に考えてください」
やっぱり対応が冷たい気が…。
「じゃあ魔力量は53万でランクはAで、属性は…どうしようかな~」
53万は決して某宇宙最強(笑)に影響されたわけではない。
属性は風は確定。何故かって?飛べるからさ!
あと一つはどうしようか?
「早く決めてください」
やっぱり……、もう何も言うまい…。
「じゃあ風と雷で」
「わかりましたもう一つはそれで登録しておきます」
雷を選んだ理由は簡単だ、速いから。以上!!
ていうか早くクエスト行きたい。お金が無いから!
「すみませんロイドさん。お金が無いので早くクエストに行きたいんですが、何かありませんか?」
「本来ギルドカードが出来ていないとクエストは受けられないんだが…まぁ今回だけ特別だよ?これなんてどうかな?」
そういってどこからか紙を一枚取り出した。
「このクエスト、難しすぎるからSSSランクにしようと思ってたんだけど…拓也君ならいけると思うよ」
内容は…何々?
ドレインドラゴン2体の討伐。
報酬金貨100枚
「ドレインドラゴン?なんですかそれ?」
「魔法を食らうドラゴンだよ。魔法が効かないから物理攻撃で倒すしかないんだけど…拓也君なら大丈夫だよ、多分。それに報酬もいいしね」
魔法を食うとかやばすぎるだろ、それも2体
まぁ問題ありませんがね。
「わかりました行って来ます。場所はどこですか?」
「ちょっとまってね、地図を持ってくるから」
ロイドさんはギルドへと戻っていった。
「拓也さん、よければ私も一緒に行きましょうか?このクエストかなり危ないと思いますし…」
まず俺の心配をしてくれるあたりやはり天使ですね。だが…
「いや、俺一人で十分だよ。気持ちは嬉しいけど…」
「それにミシェルって多分魔法攻撃型でしょ?」
「!?確かにそうですけど…」
やっぱりあたってたか…、だって最初に会ったときのあのレーザー、魔力を練るのが早かったんだよな~
それに近接で戦う奴は、武器を持ったりするから手に豆ができたり、素手で戦う奴らは拳が平らになったりするんだが、ミシェルの手は綺麗だった。
いや別に手フェチとかじゃないです。断じて。
どちらかというと足のほうが…、ゲフンゲフンまぁこの話は後にしよう。
「だから今回のクエストは相性が悪すぎる。よって居残り」
「わかりました…。でもちゃんと帰ってきてくださいね!」
すこし落ち込んだミシェルだったが、すぐに切り替えてそう言った
美少女に帰りを待たれるとかっ!!圧倒的リア充!!
…現実逃避はこれぐらいにしとこう。悲しくなる…。
「おまたせ、地図持って来たよ」
地図を取りに行っていたロイドさんが戻ってきた。
「それで今回のクエストで向かってもらう場所は……」
取ってきた地図を広げながら俺が向かう場所を探している。
「あったここだ。この国から少しはなれた所にあるこの岩山。この周辺に出没するらしい」
「わかりました。では行ってきます」
初めてのクエストか、なんだかワクワクするね!!
「ちょっとまってくれ拓也君、討伐した証拠に体の一部を持って帰ってきてくれ」
そっか、倒したって証拠になるものが無いとね。
「はいわかりました。今度こそ行ってきます」
そう言うと、俺のオリジナル魔法である瞬間移動を発動させ岩山へ向かった。