長年の時を経て……拓也、遂に異世界の地へ
天界でのセラフィムとウリエルにより繰り広げられる修行という名の拷問。
果たして拓也は……一体どうなってしまったのだろうか……。
顔に心地よい風が当たっているのに気付き、俺は目を覚ました。
「ここどこだ?一見林の中みたいだけど…」
飛ばされた場所は、どうやら林の中らしい。
木々の間から光が差し込み、鳥のさえずりも聞こえ、中々に幻想的だ。
「とりあえず移動して状況を確認するか…。あれ?」
動こうとしても指先の一本も動かない。
よく見ると自分の体の首から下が土の中に埋まっていた。
「じーさん…、飛ばす場所間違えたな。」
俺の首から下を隠したらただのフツメンじゃないかまったく。
『鬼灯君、聞こえているかね』
いきなりじーさんの声が頭の中で聞こえた。
これは念話と言って、テレパシーのようなものだ。ちなみに神とかしか使えないよ。
『はい、聞えてますよ』
適当に返事しつつ、じーさんに訊ねる。
『えっと…、何で土の中なんですか?』
『すまん。ちょっとミスった』
神様がなにやってんだか、じーさんにドジッ子属性とかマジで誰得だよ。
『こっちで対応するんで大丈夫です。それで何の用ですか?』
『あぁ、君に護衛対象の名前を教えるのを忘れておっての』
そんな大事なこと忘れてたの!?このじーさん!
まぁ私も忘れてたんですけどね、
『名前はミシェル=ヴァロアじゃ、君を飛ばした近くにいる筈じゃから探してみてくれ。』
『わかりましたではまた』
『あぁ、では頑張ってくれ』
そう言ってじーさんからの通信は切れた。
それにしてもミシェルって…、女の子だったのね、俺の護衛対象。
うわ~ちゃんと話せるか心配になってきた~。
だって女の子と話すことなんてほとんど無いもんね!
「とりあえず移動しますかね」
そうぶつぶつ言いながら土から出ようとしたときのことだった
「お頭~、なんか変なのが埋まってるんですけど~」
現れた山賊に囲まれたのは…。
~side???~
林の中を歩く一人の少女の影があった。
「この林に入るのもなつかしいですね…」
肩で切りそろえられた綺麗な銀髪に、少し幼くも思えるがかなり整った顔立ち。
この少女は間違いなく美少女といわれるそれだった。
「確か、薬草を20本ほど持って帰ればよかったんですよね」
彼女は今クエストでこの林に来ている。
クエストとはギルドなどで受けられる仕事のようなものだ。
危険度などでランク分けされており、下から
Eランク・Dランク・Cランク・Bランク・Aランク・Sランク・SSランク・SSSランク・オーバーランク
となっている。
詳しくはまた後で説明することにしよう。
彼女が受けているのはBランクの採取クエストで、この林にしか生えていない薬草を20本ほどもって帰るというものだった。
採取するだけならEランク、高くてもDランクに属するクエストなのだが、最近この林に山賊が現れるようで、戦闘する可能性があるということでBランクになっている。
「こんなに素晴らしい場所を根城にするなんて、許せません」
彼女は普段、A、S、SSランクなどのクエストをやっているのだが、知り合いの雑貨屋のおばちゃんが、最近林に山賊が現れるようになって薬草を取りにいけずに困っている。と言っているのを小耳にはさみ、現在に至るというわけだ。
ちなみにこのクエストはおばちゃんが依頼したものだ。
「あわよくば山賊を追い出してしまいましょう」
彼女にとっても、この場所はリラックスでき中々気に入っている場所なので山賊に荒らされるのは癪に障る。
「あっ、見つけました。これですね」
薬草を見つけたのでしゃがんで、持ってきていたバスケットの中に摘みいれていく。
そして依頼された本数を摘んだので、その場で立ち上がり背伸びをする。
「う~ん。やっぱりいい所ですねここは」
耳を澄ませば、鳥のさえずりや、風に揺れる草木の音が聞こえる。
「そろそろ戻りますか…。結局山賊は出ませんでしたね」
そういいながら帰路につこうとしたしたときだった。
近くの茂みが激しく揺れた!
「(山賊かっ!)」
彼女はいつでも攻撃ができるように手のひらに魔力を集中させ、茂みの方へ向けた。
だが、予想に反して出てきたのは…、
股間に葉っぱ一枚をつけたほぼ全裸の男だった。
~side拓也~
…やっちまった。
そう思っても時すでに遅し、俺は今、股間に葉っぱ一枚つけた状態で、謎の美少女の前に、立っている。
長い沈黙が続く…。
だがどちらかが切り出さないことにはどうにもならない。
てか魔法向けられてるんだけど!?
まぁしょうがないよね。だって林の茂みからいきなり葉っぱ一枚の男が出てくるんだよ?普通に怪しすぎるっていう。
とりあえず片手を挙げながらニコッと笑い声をかけてみる。
「やあ、今日はいい天気だね」
「…。」
だめだ、反応が無い。あの伝説の葉王の台詞でもだめか、さりげなく手のひらに集まってる魔力が濃くなっているのはおそらく気のせいだ。
「なんで…裸なんですか?」
「失敬な!葉っぱを付けてるじゃないか!」
そう言った瞬間、頬をレーザーがかすめた。掠った所から血が流れる。
「真面目に答えてください」
ほぇぇ、ジョークを言っただけで攻撃されるとか、この娘こわいお。目がガチだよぉ
「はい、すみません。山賊に襲われて荷物を奪われました」
「そうですか、あなたは山賊じゃなかったんですね。そうとは知らずすみませんでした」
この格好って山賊に見えるのかな?どっちかって言うと変質者とかの方が近いと思うんだが。
「あぁ大丈夫、そんなに痛くないから」
「血が出てしまってますね…本当にごめんなさい。手当するのでその…、とりあえず服を…」
彼女は目線を逸らして少し赤くなりながらそう言った。
そうでした、私葉っぱ一枚でしたね。ハイ
「さっきも言ったが、服も盗られちゃったんだよね」
「そうですか…ではとりあえず町に行きませんか?お詫びもしたいですし」
ワァオ!この格好で町に行けと?見世物もいいとこですね本当に!それに…。
「いや、俺はいいや。山賊に盗られた荷物取り返さなくちゃいけないしこの格好じゃ町にも行けないしね」
せっかくじーさんから貰った大切なものなのに、山賊に盗られたままってのはだめな気がするしね。
「それでは私も一緒に行きます。あなた一人ではまず戦えないでしょうし」
「それじゃあお願いしようかな。確かあっちに行ったからとりあえず行ってみよう。それと極力戦闘は避けよう。俺葉っぱだし」
ぶっちゃけ一人でも何の問題も無いが、ここであったのも何かの縁だ、
「わかりました。では行きましょうか」
山賊が行った方向へ、二人で歩く…歩く。
ていうかこの子よく見たらめっちゃかわいい?美人?とりあえず美少女じゃないか!
綺麗な銀髪に、整った顔。クールな雰囲気で胸は…。
「C位かな?」
「なんですか急に?」
おっとしまった、声に出ていたようだ。だって相手が美少女だものしょうがないね。
「なんですか?Cって?」
おっと食いついてきたぞ!?
「ふっ、俺のふるさとの階級のことさ…」
「そうですか…」
とりあえず適当にごまかしておく。
だってもしここで「胸の大きさの階級」とか言ったら印象悪いものね
いや、葉っぱ一枚で出てきた時点で印象はよくないのか?
「そういえば自己紹介がまだでしたね。
私はミシェル=ヴァロア、16歳です。よろしくお願いしますね」
彼女こと、ミシェルは軽くお辞儀をしながら、自分の名前と年齢を述べた。
へーミシェルって言うんだ。へー…へー…。
!!?ミシェルって俺の護衛対象じゃん!!
わーおビックリ!第一印象最悪だね♪
だって全裸だよ!?いや全裸じゃなかった、葉っぱだった。
「あの、どうかしましたか?」
焦ってフリーズしている俺に声がかけられる。
なにか言わなきゃ!自己紹介、そう自己紹介してたんだった。
「いやなんでもない。
俺は鬼灯拓也、同じく16歳だ。」
なんとか平然を装うことができた。いや~焦った焦った。
よく考えたら近くに飛ばしたってじーさん言ってたね。それと俺って16歳でいいのかな?100兆歳超えてんだけど?
まぁいいか見た目はそれぐらいだし
「同い年だったんですね、ここであったのも何かの縁です。仲良くしてくださいね」
ニコッと笑いそう言ってきた。初めて笑ったな…
「あぁよろしく、それと敬語とか使わなくてもいいよ。同い年なんだから」
「すみません、この喋り方のほうが慣れているので…」
敬語のほうが慣れてるって…、すごいな。
「謝る事無いよ。そっちの方が喋りやすいんならどっちでも構わないし」
同い年の子に敬語使われるのもなかなか新鮮ですね!
こっちの世界に来てはじめてできた知り合いがまさか俺の護衛対象とは、なかなか運がいい
それに美少女だしね!!
「そういえば拓也…さん?」
「呼び捨てでもなんでも呼びやすいのでいいよ」
「わかりました。では拓也さんは何か武術をやっているんですか?
見たところ凄い体してますし」
あぁそうだったね。俺顔から下は超イケメンだった
「剣術と魔法を少々」
まぁ剣術も魔法も神クラスなんですけどね。
「そうなんですか。そうなると相手の山賊、相当やり手ですね。本気でやらないとこちらも危なそうです」
あっ、しまったこのままじゃ山賊が死んじゃう。
この子見た感じ相当強い、さっきのレーザー…、光属性だった。
さすがはいずれ神に匹敵する力を持つ人間だ。
それにそもそも俺が抵抗しなかったのは、いやできなかったのは山賊の頭っぽい奴の声がドスがきいててめっちゃ怖かったからなんだが…
あんな声で「お前、金目のものもってへんか?」なんて聞かれたら誰でも失禁するって、絶対。
俺?断じてしていない!
「いやそんなことないぞ。単に俺が弱かっただけかもしれないし、それに戦闘は極力避けよう。無駄な争いは避けたいからな。もし俺の荷物を見つけたら盗んで逃走だ」
「そうですか、わかりました。なら拓也さんの荷物の奪還を最優先で考えましょう」
考え直してくれてよかった。いや本当に、山賊…俺が優しくてよかったな!!
そんなことを話しながら歩くこと数分、少し開けた場所に小さな家があった。
おそらく山賊たちの家だろう。
「どうやらあそこのようだな。ここからはスニーキングだ」
「すにーきんぐ?ちょっと意味がわかりませんが静かにやればいいんですね」
「まぁそういうこった。もし敵に遭遇した場合は、できるだけ殺さずに意識を奪うだけにしよう」
「わかりました。では行きましょうか」
そういって二人は、足音を消しながら家へと侵入するのだった。
家に中は少し散らかっていて、生活感にあふれている。
どうやら山賊は今留守にしているらしい。
「家の中には誰もいないようだな、人の気配が無い」
「確かに気配が無いですね、ていうか拓也さん気配も読めるんですね。本当に山賊に襲われて荷物取られるほど弱いんですか?」
ミシェルが疑いの眼差しを向けてくる。
「いや~買い被り過ぎだって俺のこと。ただ単にビビリだから気配に敏感なのかもね」
この子凄いな、この年で気配も読めるんだ。
俺なんてセラフィムに叩き込まれたのに…
「そうですか…、拓也さん本当は凄い強かったりとか思ったんですが」
えぇ凄く強いですよ
ていうか隠す必要あるのかな?いずればれると思うし。今度じーさんから連絡あったらきいてみよう
「そうだといいんだけどね、隠し階段み~つけた」
「えっ?どこですか」
「ほら、この絨毯のした」
そういいながら部屋の隅のほうの絨毯をめくった
絨毯の下に隠し扉とか舐めてるんですかね?
「何でわかったんですか?」
「部屋が散らかっていることから山賊たちは掃除をあまりしないことがわかる。それに他のところに敷いてある絨毯が埃をかぶってるのにこの絨毯だけ埃をかぶってないのはおかしい、つまりこの絨毯をよく動かしているってことだよ。」
「なるほど、拓也さん頭いいんですね」
「ま~ね、さて、俺の荷物はどこかな?」
そういいながら隠し扉を開け、おそらく地下室に繋がっているであろう階段を下りる。
下に下りるたびに温度が下がってくる。
地下室は案外広く、他の人から略奪したであろう金貨やドレスなどが所狭しと置かれていた。
そしてその中には俺のローブと剣も雑に置かれていた。
「あった、これだ」
ローブを纏おうとする俺はある事にきずく
「俺の服が無い」
そこまで高価なものではないと思われたのだろう。ローブの下に着ていた服がどこを探しても見つからなかった。
「くそぅ山賊共め、どうしても俺を変質者にしたいようだな」
「あの…、元気出してください」
まぁそんなこといっても無くなったものはしょうがない。
とりあえずローブを纏い剣を腰に挿す。
これで幾分かマシになっただろう。
「大丈夫、とりあえず着るものがあっただけマシだよ」
これでローブまで燃やされてたら俺は山賊を一人残らず駆逐していたかもしれない。
「とりあえずここを出よう。長居は無用だ」
いつ山賊たちが帰ってくるかわからないのに、この場所にとどまるのは危険だ。
「そうですね、でもこの他の人たちの荷物はどうしましょう…」
「持って帰ったところで持ち主がわかるかわかんないけど……、とりあえず持って帰っとくか?」
「でもこの量ですし…。運び出すのにも時間が」
確かにそうだな、どうしようか?
あっ!いいことを思いついた。
「【ゲート】」
手を何も無い場所へかざしそう言うと、空間に亀裂が走りそれがひろがって真っ黒な穴のようなものができた。
「これは…、空間属性の魔法を詠唱破棄で!?拓也さんあなたは一体!?」
しまった…。まぁいいよねじーさんに力を隠せとは言われてないし
「ごめん、俺のことは後でいいかな?今は急ごう」
「あ、そうですね…すみません取り乱してしまって。空間属性なんて見るのも初めてなので」
そーなのか?神に匹敵するほどの力を持ってるんだからてっきり全属性使えると思ってたけど…。違ったのね
いや、覚醒した後にアホみたいに強くなるのか?でも今でもかなり強いよな?
……。考えるのはやめよう、疲れるから。それに今この荷物を持って逃げるのが先決だ
「そうなんだ、とりあえずゲートにこの部屋にある盗品全部入れてくれ。そして逃げよう」
その後はふたりで、盗品をゲートに詰め込み、詰め込み、詰め込み続ける。
そしてやっと最後のドレスをゲートに入れようとしていた時だった
「おい!お前ら何してやがる!!」
山賊かえってきちゃった!
「いや~トイレを借りようかと」
「お前が手に持ってんのはなんだ?」
こいつドレスに目を付けるとは…、できるな!
「俺の普段着?」
「ふざけんな!!お頭っ!盗賊です!!」
ふざけてみたがだめなようだ。この山賊相当ご立腹ですね
てかお頭呼ぶなし!あいつ苦手なんだから、主に声が
それより俺たちを盗賊呼ばわりとは
「ミシェル、逃げるぞ」
ミシェルにだけ聞こえる程の声量でそういう
「どうやってですか?地下室の出口は1箇所ですしあの山賊が邪魔で通れないですよ?」
確かにそうかもしれないだが、
「転移すればよくね?」
転移とは自分が指定した場所へ瞬時に移動できる便利な魔法だ。
しかし発動するまでに5秒ほどかかるので戦闘中に使うことはあまり無い。
「それで?転移するとしてどこへですか?」
「とりあえずこの家の外かな。その後のことは走りながら考えよう」
「わかりました少し時間を稼いでください」
「おーけー」
(ちなみにここまで超小声です)
時間を稼げって言われても発動まで5秒ほどだからな~
特に時間を稼ぐ必要も無いと思うが…、よし……。
転移まで5秒…
「おいおっさん」
転移まで4秒…
「なんだよクソガキが!」
転移まで3秒…
「なんで俺たちがこんな余裕こいてるかわかる?」
転移まで2秒…
「もう諦めてんだろ?どーせ捕まるんだからな」
山賊のおっさんはケラケラ笑っている
転移まで1秒…
「正解はぁ…」
「転移でしたぁぁぁぁバァァァァァァァァァァカ」
「ちょっ!テメーまちやがれクソが!!」
おっさんは焦ってこっちへ走ってくるがもう遅い
「じゃーねー」
最高にムカつく笑顔を作りながら手を振ってそう言う。
そして俺たちは家の外へ転移した。
・・・・・
本日、2度目のやっちまった
何故かって?、
外にいた山賊に見つかったからさ!
その後はワラワラと集まってくる山賊、さっき煽っていたおっ山族まで出てきて冷や汗をだらだら流す俺、隣を見てみると何故か一人だけ臨戦態勢なミシェル。
こいつ人の話し聞いてた!?戦闘は避けてトンズラだって!!
「ミシェル…、町ってどっち?」
「あっちですけど…」
「よし……。
逃げろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
「えっ!ちょっと!」
ミシェルの手を引き町のある方向へと全力疾走する俺、
まぁそんなことして山族が追って来ないわけも無く…。
「ゴラアアアアアアアアアアクソガキ共がああああああああああまちやがれええええええええええええええええ」
「俺たちのお宝返せえええええええええええええええええ」
「ちょっとそこのいい男、やらないか?」
一人やばいのが混ざってた気がしたがおそらく気のせいだろう、いや気のせいだと思いたい。
「待てと言われて待つアホなんかいないっていうううううううううううううううううううううう」
俺達と山賊+ガチホモは物凄い速さで林の中を駆け抜けていく
後ろからは魔法が飛んでくる
拓也は低く舌打ちをすると、隣を自分と共に駆けるミシェルに向かって叫んだ。
「ああああああああああああああクッソオオオオオオオオオオオ埒が開かねええええええええええええええええええええミシェルッ!飛ぶぞっ!」
「えっ!?」
俺はそう言うとミシェルの腕を掴み手繰り寄せ、しっかり抱きかかえた。
俗に言うお姫様抱っこという奴だ。
「しっかり捕まってろよっ!」
「えっ!?ちょっとまってくださああああああああああ」
ミシェルが言い切る前に大地を蹴り、大空へと飛ぶ
ある程度飛んだところで簡易な風魔法を発動させ、空中にとどまる
「おそらくこれで山賊共は撒けただろう。んで?あれがミシェルの住んでる町か?」
町と言うか国?それも規模が小さいものではない。
国の中心にとても大きな城があり、それを取り囲むようにして町が延々と続いているような感じだ
そして町の外側には城壁が町を囲っている。
この遥か上空から見てもかなり大きいのだ、地上に降りればそれは栄えているな国のだろう。
城があるって事は王国かな?
「そうです。あれが私の住んでる国、『エルサイド王国』です。それと、あの…、下ろしてください」
「おっと悪い」
美少女をお姫様抱っこするという至福の時間が終わってしまった。
そっと下ろすとミシェルも簡易な風魔法を発動させ空中に浮く、
「これからどうしよう?」
「とりあえず拓也さんの服を買いに行きませんか?ずっとそのままなのは精神的にも衛生的にもよくないですし…」
そうでした、今俺裸ローブだった。服ね~?あ!そういえばお金持ってないじゃん俺!
「ごめん今俺お金持ってない…」
この世界に来たばっかりでお金とか持ってないの忘れてた。
このままじゃやばくないか?住む場所にしても着るものにしても食べるものにしてもお金が無いとどうにもならない
服が破れてもいつも新しいの作ってくれたりしてたラファエルたんがどれだけありがたかったか今思うとよくわかるよ……。
「それなら大丈夫です。お金は私が出しますから」
マジですか、この子いい子すぎて涙が出てくるよ…
でも女の子に払わせるのはなぁ
「でもミシェルに悪しなぁ」
「でわこれをお詫びとしましょう。それでいいですか?」
この世界に来て初めて人の優しさに触れた気がする
「それじゃあお言葉に甘えるとしますかね」
「じゃあ早くいきましょう」
そう言って二人は王国の入り口の門に降りていった