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第4話 時渡りの準備

気を取り直して現在地確認の為地図探し開始!


自称女神のガーゴイル、略してメガゴイルとエンカウント!


この世界の現状と自分の体の原因、そしてよくわからないまま女神と過去へ飛ぶ準備 ← 今ココ!


 翌朝、幽体なのに睡眠をとることに疑問が出る訳もなく、久しぶりに天井のある部屋での睡眠(残念ながら寝具の類はなく雑魚寝)から起きた彼の体は、やはり硬い床ということもあり、体を捻ればバキバキと音が鳴る。


「久々に濡れずに寝ることが出来た。朝露でシットリがないだけ布団なくてもマシだよな」


 一晩寝て頭がすっきりしたところで昨日出会った女神ガーゴイルの姿を探す。


 礼拝堂に戻ると、昨日と同じ位置に同じ立ち姿の女神像が動かず置かれている。


「ファルシナ、起きたから続きを頼む」


 この世界に来てからやっと話せる存在に出たのに隆一の言葉遣いは荒いままだ。


 一晩寝て、頭ではファルシナが自分の為とはいえ罪悪感を感じているのだと理解しているし、別段肉体がなくて苦労しているわけでもない。


 しかし、無意識に口調が強くなるのは隆一自身がまだ精神的に幼いからだ。


 最初から強くて、周囲に人がいて会話が成り立ってという異世界御都合展開が全く無い状態で、しかもようやく会えた存在にこの世界には生き物がいないと断言された。


 昨日の話だけですべて判断するのは早計だと子供だてらに判断出来るだけ、隆一の頭は悪いわけではない。


 目の前の石像に一瞬だけ光が灯り、かすかに身じろぎしたと思うと、石でできた身体が動き出しこちらを見据えて微笑みかけた。


「おはようございます。昨日はゆっくりと眠れたようですね」


 ファルシナは微笑を浮かべた状態でこちらへ話しかけた。


 その表情は昨日の泣きそうな顔とは別に心に蟠りのようなものは感じられない。


 まぁ、元々が石像だからしょうがないけど。


「おかげさまで。ベッドと布団はなかったけど幽体だからか痛みはないけど身体がバキバキだよ」


 隆一の身体を鳴らす姿を見てファルシナは微笑をかすかに曇らせる。


「音が鳴るとは、身体が存在しないならそういった感覚があるのは…」


 ファルシナの顔色の変化に、隆一は怪訝そうに首をかしげる。


「なにか問題でもあるのか? この体になって困ったことは壁をすり抜けられないことぐらいだぞ。あと空飛べない」


 幽体なのに一番できなきゃいけない二つができないなんて!


「ひとつ聞きますが、この世界に来てから何か口にしたものはありますか?」


 ファルシナの真剣な表情に若干驚きつつも隆一は首を振る。


「いやない。空腹を感じなかったからこの体は栄養を必要としないものだと思っていた」


 隆一の言葉に、ファルシナはしばらくうつむいたかと思うと、突然その手が光りだし、隆一の眼前に見たことのない果実が現れた。


「あなたの世界で言う林檎に近い食べ物です。試しにそれを掴み、匂いを嗅ぎ、そして一口だけ食べてみてください」


 いぶかしみながら果実を手にとってみる。


 触った感じは桃のような肌触り、匂いは若干林檎に近く全体的にメロンのように網目状の格子が目に付く。

 

 例えるならそう『悪○の実』


 ファルシナが、そのまま食べられると言ってきたので、思い切って大口を開けて実に齧り付く。


 口の中に広がるのは芳醇な果実特有の甘い味わい、鼻から抜ける香りは林檎のそれと大差ない。歯応えこそ桃に近いがピューレのように口に溶ける食感だ。


「視覚、聴覚、触覚、嗅覚、そして味覚、全て異常なし」


 ファルシナの言葉に、隆一は自分に五感が備わていることを自覚した。


「あなたの肉体は離れていてもつながっている。そう考えてもいいかと思います」


 なるべくなら食事は摂ったほうがいいでしょう。とファルシナは告げる。


「普段あなたがやっていた事はなるべく続けたほうが貴方の肉体に戻ったとき違和感なく過ごせるでしょう」


 元の肉体に戻れる可能性がある以上、幽体だという理由で生身の感覚を忘れて行動するといざ戻った時きっと無茶をするだろう。


「そういえば時渡りってのをした後、俺の姿って他の人に認識できるの?」


 それもこの街に入る時に気になったところだ。この身体がこの世界においても異常であるなら、エクソシストな存在やゴーストスィーパーな○神が現れる可能性がある。


「今あなたが着ている服はおそらくこの世界においては異質。この世界の服を一度着てもらい、その上で他者に認識できるか確認するしかないでしょう」


 相手は? と隆一が聞くと


「この世界に生物がいない以上は、必然的に私か過去に渡った先にいる人間になるでしょう」


 女神だからこの姿を認識できるといった可能性があるとファルシナは言った。


「他の箱庭を見ることができる目であなたを見ているので文字通り見る世界が違うといったほうが正しいでしょう」


「過去に行って要は歴史を変えて創造主だかが気にいるような世界を作ればいいんだろう?」


 タイムパラドックスだっただろうか? 時代が変われば世界が変わる。


 周回プレイで重要人物を殺すとゲームオーバーな金属歯車な感じだろうか?


「それって一歩間違ったら即終了じゃないのか?」


 隆一の疑問にファルシナは首を横に振る。


「少なくても私の知るこの世界で創造主が興味を失い始めたのが今から約1000年程前、龍族が息絶えた時代からでした。それから創造主が生み出した人族が衰退し始め、今から250年前、人族の9割が死滅、魔族が絶滅、他の種族もことごとくが滅亡しました。原因は創造主が力をもう1つの世界に注ぎ始めた時からでした」


 ファルシナは自身の目を指差し


「創造主は己の五感を世界基盤の素体にし、自らの血肉で私を創造しました。故に創造主の五感が他の世界に傾いたとき、世界は急速に衰え、この箱庭は生きることが困難な環境へとなり果てました。私たちが行くのはその龍族が息絶えた1000年よりも前、1500年程前に渡ります。長命種である龍族が息絶えるのはおそらく2000年前から続いている人族と魔族の戦争に端を発するので、その仲裁、もしくは介入を通し、当時の創造主が1000年を過ぎ、興味を保ち続けることが終了条件になります。もし失敗したならば、その時代にいる私か、もう一柱の神工神に力を借り深い原因を探って行くことになるでしょう」


 おいおい、つまりその間俺はその世界を毎日見て過ごさなければならないのかよ。肉体より先に魂がすり減るぜ。


「貴方は必要に応じて私の力で時を止め、必要な時代に目を覚ますようにします。そうすることで必要最小限の魂の消費で済むでしょう」


 ファルシナが告げる言葉に一抹の不安を覚えながらも、隆一はその言葉を信じてとりあえずこの世界の服を探しに街中を彷徨うことになるのだった。



毎度ありがとうございます。


八百比丘尼だってそれだけ生きてたら頭だっておかしくなるよね?


必要最小限の活動時間で魂の劣化を防ぐ=肉体の時間が止まる。


そういう解釈でよろしいかと思います。


誤字脱字は逐次訂正していきたいと思います。


次回は未定ですがあまり間を空けずに投稿したいと考えてます。

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