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異世界紳士録  作者: ガー
2つの太陽
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1-3

怖くなった俺は話を変えることにした。


「この地図はずいぶんと細かいですね」


「普通だろう。転写魔法も粗いし」


「これで粗いんですか・・・・」


なんか変な単語を聞いた気がする。転写魔法?


「あぁ4級ぐらいの魔導士が転写したんだろ。固定化魔法は良いのがかかってるみたいだが」


「固定化?」


「そらーひぃ祖父さんの時代の羊皮紙だ。崩れてないだけ大したもんだ。ところでどうだアンタの国は地図にあったか? たぶん新しい転送魔法かなんかで跳んで来たんだろ? 素っ裸で現れりゃ驚きもするが、異国の文字見りゃ納得もするわな。ワハハハ」


「あはは・・・そうですね。確かに新しい跳び方ですね」


新しすぎるわ。

トイレレバーで異世界へだと。流すつもりが流されたってか。

魔法が当たり前みたいなこと言ってるし。


「おじさんまた泣いてるー」


「いやすみません。もっと遠い国から来たみたいです。マコさん驚かせて本当に申し訳ない」


「あーいいさ。真っちろい肌に真っ黒の髪だろ? 畑で変な根菜でも生えたかと思ってね」


「真っちろいですか」


「数年前に見た王都の姫さまみたいだったよ」


トムさんは笑いながら

「そうだな。日に当たらない生活してる学者の奴らの色だったな。

ガタイはいいのに勿体ない。もっと体を使う仕事につけや」


俺は日焼けしても黒くならずに赤くなるだけの肌なので勘弁して頂きたい。


「しかし転送魔法なんて高級なもんは王都にでも行かなきゃ魔導士が見つからねぇぞ。しかも無一文だろ?」


「そうですね・・・」


落ち込んでしまった俺を見て同情してくれたのだろう。


「しょうがねぇなー。酉の月まで畑仕事手伝えば荷降のついでに町までは送ってやるよ」


酉の月とやらがあと何日後なのかはわからない。でも他に手はないだろう。


「是非ともお願いします」


「マコもそれでいいか?」


「仕方ないね。しっかりやっとくれよ」


久しぶりに人の心の暖かさを感じ涙が出てくる。


「おじさんまた泣いてるー」



次の日から畑仕事のお手伝いが始まった。


運動で汗だくになるのは嫌いではない。


通勤時間以外は座り作業な仕事だった為、学生以来のきつい運動になまってしまった体が悲鳴を上げるがそれも心地よかった。


選ぶ仕事を間違えたかなとつくづく思う。だが毎日農作業がしたいかと言われればNOだ。

たまに体を動かしてやっていけるほど農業とは甘くはないはずだ。


今はトムさん一家のために汗をかくことに専念することにしよう。


耕し、種を蒔き、収穫し、チコちゃんと遊ぶ。


体が慣れて次の日に筋肉痛が出なくなる頃、申の月が終わり酉の月になった。




今日は大雨で畑仕事はない。晴耕雨読の生活にも憧れる。


窓際で屋根から落ちてくる雨粒を何とはなしに見ていた。


となりではチコちゃんがお絵描きをしている。


ところでこの世界で初めて畑の土を見た時から不思議に思っている事がある。


視界の真ん中にいつも見慣れた物が映っているのだ。


「チコちゃん」


「なぁにー? おじさん」


「チコちゃんはこんな形がいつも見える?」


お絵描き帳に書いて見せる。


「んー。あ」


見えるのか?


「おとーさんと午車ばしゃに乗ってる時に道の真ん中に刺さってる棒の先についてたよー」


「そうかーいつもは?」


「見たことなーい」


つまり俺だけに見えるということか。




どう見てもマウスカーソル(白い矢印)が。

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