ニューヨーク上陸作戦
同時刻、アメリカ合衆国コロラド州コロラドスプリングスにあるシャイアンマウンテン空軍基地北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)は、慌ただしさを増していた。NORADにはこの時マリーナ副大統領が視察に訪れていた。ジョンソン大統領が記念式典に参加する事から、万が一に備えて副大統領であるマリーナはNORADに『視察』という名目で、隔離されていたのだ。
アメリカ合衆国憲法は大日本帝国に占領された後に2回改正されたが、大統領が死亡した場合の対処についても明記されていた。アメリカ合衆国憲法によれば大統領が死亡した場合には、有無を言わせず副大統領が大統領に昇格する事になる。その昇格は連邦議会の承諾は無く自動的に、宣誓式をするだけで大統領になるのである。その場合大統領の任期は死亡した大統領が残していた任期、今回のマリーナ大統領の場合はジョンソン大統領の残した、あと3年の任期がある事になる。しかし副大統領昇格による大統領はその後の大統領選挙には出馬出来ないのである。貧乏くじを引くことになるが、大統領選挙を経る事無く大統領への直行便に乗れるのである。本人にとっては複雑である。しかし現状マリーナ大統領は、そのような事を考えられる時間は無かった。
何せ大日本帝国海軍連合艦隊で東海岸に駐留する第7艦隊が、神聖ゲルマン連邦帝國海軍潜水艦部隊の核攻撃を受け消滅したのだ。NORAD司令官であるジュリアン中将の言葉に、マリーナ大統領は驚愕の表情を浮かべた。そしてジュリアン司令官に対して、ワシントンの様子を尋ねたのである。マリーナ大統領に尋ねられたジュリアン司令官は、モニターを切り替えた。そこには黒煙をあげ、倒壊したホワイトハウスが映っていた。
ワシントンは壊滅状態でありホワイトハウスと連邦議事堂も破壊され、国防省(この世界では通称ペンタゴンは無く、国防省の建物も通常のビルである。)も全壊であった。あまりの惨劇にジュリアン司令官は沈黙し、マリーナ大統領は歯軋りをした。この状態で如何にして反撃出来るかに全ては掛かっていたが、その時慌てた様子で兵士が駆け込んで来た。
その兵士は慌てた様子で、ニューヨークに神聖ゲルマン連邦帝国軍が上陸を開始した、と報告したのである。兵士が突然入って来た事に加え、その報告すべき内容も内容であった為に、一瞬その場が凍り付いた。マリーナ大統領はその言葉に、静かに目を閉じた。
神聖ゲルマン連邦帝国による侵攻は、まさに世界規模で行われたものであった。
『まずはニューヨークとワシントンである。ニューヨーク攻撃の主力は神聖ゲルマン連邦帝国海軍潜水艦隊であった。潜水艦隊は神聖ゲルマン連邦帝国の誇る技術力の粋を集めたUボートが配備されていた。攻撃型原子力潜水艦U−700級を中心に砲撃型原子力潜水艦U−900級、そして揚陸型原子力潜水艦U−1200級をニューヨークに差し向けた。
U−ボート部隊は世界で唯一の艦艇を保有していたのである。砲撃型原子力潜水艦U−900級は30センチ砲を2基装備しており、揚陸型原子力潜水艦U−1200級は人員なら完全武装の1個大隊、戦車なら8輌、自走砲なら10輌、装甲車なら14輌を搭載可能であった。奇襲攻撃に於いて絶大な効果をあげる原子力潜水艦隊である。更にアメリカ合衆国への攻撃は続き、首都ワシントンも空襲を受けた。神聖ゲルマン連邦帝国南米属州ハバナから飛び立ったアラドE888・フォッケウルフTa600・ホルテンHOVAがワシントン全域を爆撃した。ワシントン爆撃は凄まじく、神聖ゲルマン連邦帝国空軍は無差別爆撃を行った。政府庁舎は勿論の事、ホワイトハウスや連邦議事堂も破壊された。核兵器が使用されなかったのが幸いだが、ワシントンは無残にも壊滅させられたのである。この空襲によりジョンソン大統領以下の政府関係者は死亡。マリーナ副大統領はNORADに視察へ行っていた為に難を逃れた。
神聖ゲルマン連邦帝国は更に中東・アフリカ・南米・亜細亜・ロシアと同時多発的に侵攻を開始。この攻撃に大亜細亜連合は防ぐ事すらままならない状態であった。』
カーリアノエル著
『第三次世界大戦戦争録』より抜粋




