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千年王国

午後3時

神聖ゲルマン連邦帝國帝都ゲルマニア


神聖ゲルマン連邦帝國は世界最大の帝國として君臨している。ゲルマン民族とブリテン民族が神聖ゲルマン連邦帝國では貴族階級に属し、東欧民族とユダヤ人・スラブ人は奴隷階級に属された。それ以外のイタリア・フランス・北欧等は平民階級に属された。かつてローマ帝國が持っていた『寛容の精神』もへったくれも無い。ローマ帝國は寛容の精神を持って敗者に接し、自らに融合させたのである。奴隷でさえ条件を満たせば解放奴隷となれる。属州民も条件さえ満たせばローマ市民権を手にできた。ゲルマニアの中枢を成すのは街の南北を縦貫する幅120メートルの大通りを軸に、南からベルリン中央駅、凱旋門、大型ドーム型ホールのフォルクスハレの一帯である。フォルクスハレは別名聖杯神殿と言い、神聖ゲルマン連邦帝國の国会議事堂となる。

それに加え大通りの南部にテンプルホーフ国際空港を配し、それを取り巻く環状道路と放射状道路が敷設されていた。ベルリン中央駅は神聖ゲルマン連邦帝國の誇る巨大高速鉄道ブライトシュプールバーンの帝都駅である。ブライトシュプールバーンは神聖ゲルマン連邦帝國の誇る巨大新幹線である。更にアウトバーンも帝都ゲルマニアに敷設されていた。ブライトシュプールバーンとアウトバーンは属州も含め神聖ゲルマン連邦帝國全土に張り巡らされていた。



ノイケルン区


神聖ゲルマン連邦帝國帝都ゲルマニアは12の行政区に区切られている。その中でもノイケルン区は『貧困街』の別名を有する行政区になる。



「どうか、どうかこの手袋を。1つで良いですから。」

「ごめんなさい、私もお金無いの。」


そう言われた女性は直ぐ様違う人の所へ駆け寄った。



「神聖ゲルマン連邦帝國の影の部分ね。」


そう呟いた女性、大英帝国対外諜報部第6課(通称MI6)所属諜報員スレーナは再び歩き始めた。



大英帝国。かつての大英帝国は第二次世界大戦でドイツ第三帝国に占領されてから、現在は神聖ゲルマン連邦帝國属州ブリタニアとなっている。カナダへ亡命した王族・政府首脳であったが、第二次世界大戦後の神聖ゲルマン連邦帝國による南米侵攻によりオーストラリアへ亡命。そこで大英帝国の再興を宣言し、オーストラリアの施政権を完全に大英帝国亡命政権が奪った。此れにより大英帝国オーストラリア領は完全な大英帝国として現在に至るのである。つまりオーストラリアは『大英帝国領オーストラリア』としてしか名前は残らず、実質的には大英帝国が丸々オーストラリアに移動した事になるのである。





スレーナは目的地の酒場を見つけると、中へ入った。



「こっちよ。」


酒場に入るとスレーナを見つけた女性が声を掛けてきた。


「遅れてすいません。」

「良いのよ、これで全員揃ったわね。」


スレーナに声を掛けた女性、大日本帝國対外情報捜査局(TZS)諜報員尾花理彩が場を取り仕切り始めた。


尾花の席にはスレーナの他にアメリカ戦略情報局(OSS)のトレイシーとロシア連邦保安庁(FSB)のコルサが座っていた。神聖ゲルマン連邦帝國と対峙する連合国の諜報員が集結しているのである。





「皆さんお揃いね。会議を始めるわ。」


尾花の言葉に全員が頷いた。ノイケルン区は人種の坩堝でありこのような事が出来るのである。


「既に各人情報が入ってると思うけど、神聖ゲルマン連邦帝國はニューヨークに上陸し、欧州・中東・アフリカ・亜細亜・南米と世界各地で侵攻を開始したわ。この世界の敵は正直に言って強力だわ。一致団結して対抗しないと、神聖ゲルマン連邦帝國に各個撃破されるだけだわ。」

「尾花さんの言われる通りで、このままゆっくりしてたら敵に利するだけです。」


スレーナは大きく頷きながら尾花の言葉に答えた。



「合衆国は本土決戦に突入し、国防軍は総力を挙げて撃退を目指します。」

「ロシア連邦も失われた国土の奪還を目指したいのですが、侵攻を迎撃するのに手一杯です。」



トレイシーとコルサは悲しそうに語った。それを見た尾花は口を開いた。


「世界中が神聖ゲルマン連邦帝國に対抗する事が最優先になるわ。それには私達の計画が神聖ゲルマン連邦帝國を撹乱させる、それを目指さなければいけないわ。」


尾花の言葉に全員が頷いた。

尾花達が神聖ゲルマン連邦に潜入している理由。それは神聖ゲルマン連邦帝國の内部撹乱である。神聖ゲルマン連邦帝國は貪欲なまでの侵攻により、大量の領土を属州として版図に組み込んだ。それにより人類史上世界最大の大帝國を完成させた神聖ゲルマン連邦帝國だが、その反面凄まじいまでの領土拡大は属州の安定統治を蔑ろにしていた。これにより神聖ゲルマン連邦帝國は属州の不安定を抑える為に、SSを派遣し恐怖政治で押さえ付けていた。今でも強烈に押さえ付けている事に変わりは無く、神聖ゲルマン連邦帝國は国内に多数の火薬庫を抱えている事になる。尾花達はその火薬庫に灯油を撒き散らし、火を点けようとしているのである。その為の会合であり会合が終わると、尾花達は神聖ゲルマン連邦帝國各地に散る。その最終会合も終わろうとしていた。





「それではこれで最終会合は終わりにします。総員計画通りに行動し、必ずや結果を出すように。以上、解散。」





尾花の言葉にスレーナ・トレイシー・コルサは目礼をし席を立った。

これ以後尾花達は神聖ゲルマン連邦帝國に存在するレジスタンスや抵抗勢力と協力し神聖ゲルマン連邦帝國の内部撹乱を狙ったのである。





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