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宣戦布告

午後2時

大日本帝國帝都東京霞ヶ関国防総省地下3階戦闘指揮室


大日本帝國は戦時体制に突入した。3時間前の神聖ゲルマン連邦帝國によるニューヨーク攻撃を受け、大日本帝國は緊急の御前会議を行った。此れにより天皇陛下による開戦の詔を受け、大日本帝國は神聖ゲルマン連邦帝國へ宣戦布告。これに続きアメリカ合衆国以下の大亜細亜連合加盟国全てが神聖ゲルマン連邦帝國へ宣戦布告を行った。

此れにより第三次世界大戦が勃発。大日本帝國は早速大本営を設置。戦時体制を作ったが、神聖ゲルマン連邦帝國は強大であった。




「国防大臣、状況は?」

藤咲瑞希内閣総理大臣の言葉に、坂内梨華国防大臣が説明を始めた。


度重なる日独を筆頭とする核保有国による核実験は、放射能を世界中に撒き散らした。幾ら地下で行おうが、放射能は残念ながら漏れる。それによりホルモンバランスに大きく影響し、生態系は大きく変化した。此れにより日独の冷戦30年を経て、世界は女性社会へと変化したのである。




「正直に言いますと、最悪です。」


坂内国防大臣はそう断言すると大型液晶画面の前に移動した。


「まずはニューヨークへの攻撃です。奇襲攻撃であった為、潜水艦による攻撃を考えるのが普通かと思います。残念ながら潜水艦技術に於いては神聖ゲルマン連邦帝國の方が上であります。」


そう言うと坂内国防大臣は申し訳なさそうな表情を浮かべた。


「続けて。」

「了解しました。」


藤咲総理の言葉に坂内国防大臣は話を続けた。


「潜水艦には攻撃型と戦略型とに我が海軍は分類しています。しかし神聖ゲルマン連邦帝國はそれだけでは無く、砲撃型。つまりは実質的には潜水戦艦を保有していると考えられます。ニューヨークへの攻撃は砲撃による物も見受けられます。」


坂内国防大臣の言葉に衛星画像が画面に映し出された。

確かに浮上して砲塔らしき物が映っている潜水艦が確認出来た。


「水上艦、戦艦と空母に関しては我が海軍の方が一日の長があります。神聖ゲルマン連邦帝國はH級戦艦の系統を増産しましたが、連合艦隊は大東亜戦争により生み出した大和級の血を引き継ぐ、紀伊級・越後級・超々大和級を建造し保有しています。空母に於いても神聖ゲルマン連邦帝國より数歩先に行く先進空母であります。此等を見るに、海軍連合艦隊の兵力は………」

「失礼します!!」


坂内国防大臣の話を遮るように1人の軍人が入って来た。その軍人は坂内国防大臣に近付くと、耳打ちしながら紙を手渡した。

それを受け取り目を通した坂内国防大臣の顔は、瞬く間に蒼白となった。


「何があったの?」

「第7艦隊が……」


石森智香子大蔵大臣に尋ねられた坂内国防大臣は振り絞るように声を出した。


「第7艦隊が核攻撃により全滅し、ホワイトハウスも空襲を受け全壊しました。」

「………」


坂内国防大臣の言葉に、藤咲総理は天を仰いだ。







アメリカ合衆国コロラド州コロラドスプリングス

シャイアンマウンテン空軍基地北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)地下4階


「正規空母生駒を旗艦とする生駒空母打撃群、つまりは第7艦隊が神聖ゲルマン連邦帝國海軍潜水艦部隊の核攻撃を受け、消滅しました。」

「………」


NORAD司令官ジュリアン中将の言葉に、[大統領]のマリーナは天を仰いだ。



「大日本帝國海軍連合艦隊の第7艦隊を消滅させるとは。大日本帝國を怒らせたわね。」


マリーナ大統領の言葉に、ジュリアン司令官は頷いた。アメリカ合衆国憲法は大日本帝國に占領された後に2回改正されたが、それにより大統領が死亡した場合の対処についても明記されていた。アメリカ合衆国憲法によれば大統領が死亡した場合には、有無を言わせず副大統領が大統領に昇格する事になる。その昇格は連邦議会の承諾も宣誓式も無く、自動的に大統領になるのである。その場合大統領の任期は死亡した大統領が残していた任期、今回のマリーナ大統領の場合はジョンソン大統領の残した、あと3年の任期がある事になる。しかし副大統領昇格による大統領はその後の大統領選挙には出馬出来ないのである。貧乏くじを引くことになるが、大統領選挙を経る事無く大統領への直行便に乗れるのである。本人にとっては複雑である。しかし現状マリーナ大統領は、そのような事を考えられる時間は無かった。


「ジュリアン司令官、ワシントンの様子は?」

「こちらをご覧下さい。」



マリーナ大統領に尋ねられたジュリアン司令官は、液晶モニターを切り替えた。そこには黒煙をあげ、倒壊したホワイトハウスが映っていた。


「ワシントンは壊滅状態です。ホワイトハウスと連邦議事堂も破壊され、国防省(この世界では通称ペンタゴンは無い。国防省の建物も通常のビルである。)も全壊です。」

「随分と派手にやらかしてくれたわね。」


マリーナ大統領はそう言うと歯軋りをした。


「この状態に我が軍が如何にして反撃出来るかに全ては………」

「失礼します!!ニューヨークに神聖ゲルマン連邦帝國軍が上陸を開始しました!!」


兵士が突然入って来た事に加え、その連絡すべき内容も内容であった為に、一瞬その場が凍り付いた。

マリーナ大統領はその言葉に、静かに目を閉じた。








同時刻

世界各地


神聖ゲルマン連邦帝國による侵攻は、まさに世界規模で行われたものであった。


『まずはニューヨークとワシントンである。ニューヨーク攻撃の主力は神聖ゲルマン連邦帝國海軍潜水艦隊であった。潜水艦隊は神聖ゲルマン連邦帝國の誇る技術力の粋を集めたUボートが配備されていた。原子力攻撃潜水艦U−700級を中心に原子力砲撃潜水艦U−900級、そして原子力揚陸潜水艦U−1200級をニューヨークに差し向けた。U−ボート部隊は世界で唯一の艦艇を保有していた。原子力砲撃潜水艦U−900級は30センチ砲を2基装備しており、原子力揚陸潜水艦U−1200級は人員なら完全武装の1個大隊、戦車なら8輌、自走砲なら10輌、装甲車なら14輌を搭載可能であった。奇襲攻撃に於いて絶大な効果をあげる原子力潜水艦隊である。更にアメリカ合衆国への攻撃は続き、首都ワシントンも空襲を受けた。神聖ゲルマン連邦帝國カリブ属州ハバナから飛び立ったアラドE888・フォッケウルフTa600・ホルテンHOVAがワシントン全域を爆撃した。ワシントン爆撃は凄まじく、神聖ゲルマン連邦帝國空軍は無差別爆撃を行った。政府庁舎は勿論の事、ホワイトハウスや連邦議事堂も破壊された。核兵器が使用されなかったのが幸いだが、ワシントンは無残にも壊滅させられたのである。この空襲によりジョンソン大統領以下の政府関係者は死亡。マリーナ副大統領はNORADに視察へ行っていた為に難を逃れた。

神聖ゲルマン連邦帝國は更に中東・アフリカ・南米・亜細亜・ロシアと同時多発的に侵攻を開始。この攻撃に大亜細亜連合は防ぐ事すらままならない状態であった。』

カーリアノエル著

『侵攻』より抜粋




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