表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
帝國の興亡〜世界統一戦〜  大規模修正中  作者: 007
第1章 国連無き世界

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/27

記者会見

1965年5月7日、午前9時。大日本帝国帝都東京首相官邸1階、記者会見場。普段から総理会見が行われる明るい会場だが、今日は空気が異様に重かった。窓は全て厚い防爆カーテンで覆われ、照明は必要以上に明るく、記者席は国内外の報道陣で埋め尽くされていた。帝国放送協会や民放各社のテレビカメラが並び、フラッシュが控えめに焚かれる。大亜細亜連合加盟国からの特派員も席に着き、誰もが息を潜めている。現時点でも大日本帝国海軍連合艦隊第7艦隊の全滅は極秘事項であり、国民にも公表されていない。この会見は、あくまで『第三次世界大戦勃発に伴う核抑止の表明』として行われるのだ。


そして藤咲瑞希内閣総理大臣が、記者会見場に入場した。藤咲総理は黒のスーツ姿に国旗のピンを付け、表情は硬いが落ち着いている。壇上に立ちマイクの前に立つと、深く一礼しゆっくりと話し始めた。声は低く、しかし鋭く、帝国放送を通じて全国に生中継されていた。





『国民の皆様、そして大亜細亜連合の同志諸国、国際社会の皆様。2日前の1965年5月5日、第三次世界大戦が勃発致しました。神聖ゲルマン連邦帝国は中東属州の国境線を接するイランに対して侵攻し、北アフリカ属州の国境線を接する中部アフリカ一帯に対して侵攻し、アメリカ合衆国へはニューヨーク上陸作戦を実行し侵攻し、ロシア属州の国境線を接するロシア連邦に対して侵攻し、南米属州は国境線を接するブラジル・ペルー・エクアドルに対して侵攻をそれぞれ開始し、世界5カ所で同時進行での侵攻を開始しました。これに対し、大日本帝国は断固たる姿勢で臨みます。

我々は20年前の第二次世界大戦勝利以来、核兵器を含む軍事的均衡を維持し、平和と繁栄を追求してきました。GDP世界最大の経済大国として、亜細亜・太平洋の安定を支え、大亜細亜連合を繁栄に導いてまいりました。しかし神聖ゲルマン連邦帝国がこの均衡を破壊しようとしていることは、明らかです。

我々は、核兵器の使用を決して望みません。しかし、もし彼らが核兵器を使用した場合──いかなる形態であれ──我々は即時、全面的な報復を実施します。(作者注:アメリカ合衆国東海岸での海軍連合艦隊第7艦隊が核攻撃で消滅した事は秘匿されていた。)これは脅しではありません。約束です。

現在弾道ミサイル[富士]、潜水艦発射弾道ミサイル[海龍]、戦略爆撃機[富嶽改]という我が国全ての核戦力は、核攻撃臨戦態勢に移行しております。これらの兵器は核兵器開発成功以来、絶え間ない技術革新により、世界最高水準の精度と威力を備えています。ゲルマニア・ロンドン・パリ・ローマ等々、神聖ゲルマン連邦帝国のあらゆる拠点が、報復の対象となります。核の均衡を破るのは、神聖ゲルマン連邦帝国の選択です。その選択をすれば、人類の未来は灰と化します。

私は大日本帝国内閣総理大臣として、国民の生命と大亜細亜連合の平和を守るために、躊躇なく決断します。

神聖ゲルマン連邦帝国に告ぐ──核の連鎖を止めるのは、あなた方の責任です。

大日本帝国は、大亜細亜連合の同志とともに、毅然と立ち向かいます。国民の皆様には、冷静な対応をお願いいたします。大日本帝国の防衛体制は完璧です。』

カーリアノエル著

『第三次世界大戦戦争録』より抜粋




首相官邸の外では核の影が濃く垂れ込めていたが、この会見は少なくとも次の核の閃光を遅らせる為の、強い牽制となったのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ