五話 衝撃 後編
さらに荒木先生は続けた
荒木
「手術は無事成功した。
だが、恐ろしいのはそれからだった…」
ためらいもあり、中々切り出せないでいる様子
私も固まったまま、それでも話は聞いていた
荒木
「術後、執刀した藤田先生と私は気付いた、研究の為ホルマリン漬けにした赤ん坊の首は一週間、一ヵ月息絶えなかったんだ」
私
「まさか…首だけで生き続けたというんですか?」
荒木
「もともとおかしかったんだ、ここに運ばれてきた時
もはや出産から三ヶ月経っていた、臓器にも呼吸器にも繋がらないその頭はどうやって生きてきたんだ?」
返答に困った、もしその話が本当なら
いや話す荒木先生を見る限り事実であることは明確だ
しかし…
荒木
「私は残酷かもしれないが、処分する事を勧めた。
しかし…しかし藤田先生は頭だけになった赤ん坊を育て始めたんだ。
ついて来なさい」
荒木先生は立ち上がり歩き始めた、私はそれに付いて歩いた
着いた先は藤田先生の部屋だった
そこで荒木先生は三冊の日記を私に渡した
荒木
「この後は話したくない。後の事はこの日記が教えてくれる」
私
「荒木先生、辛い事を話していただきありがとうございました」
荒木
「いや、こちらこそありがとう。ひどく辛かった、だが内心誰かに聞いてもらいたくて仕方が無かった」
そう言って笑った荒木先生の顔はとても悲しかった
この三冊の日記が後に事件の真相に大きなヒントを与えることになり、事件とは無関係の未解決事件の真相も解くものとなった
そして荒木先生が自ら命を絶ったのは翌日の話であった