一話 始まりの日
ある日、いつものように流れる日常の中で恐ろしく。また、耳を疑う事件が起こった
殺人事件、被害者は11名
しかしそれ以上に人々を震撼させたのは…
容疑者は16歳の女の子だという事だった
彼女に何があったのか?
何故それ程までも人を殺さなければいけなかったのか?
人々はその話題に注目した。彼女の名前は酒井 双葉
取り調べるのは渡辺 治
調書を取るのは谷 隆介
ここから話は始まる
渡辺
「それじゃあ、取り調べを始めるからね。」
双葉
「はい」
渡辺
「まず最初に説明しておかなくちゃね、君には黙秘権というのがあるから、答えたくない場合は答えなくてもいい。いいね?」
双葉
「はい」
渡辺
「それじゃあ始めるね。事件の日、君は何処にいましたか?」
双葉
「家に居ました。」
渡辺
「家というのは、事件現場の事でいいかな?」
双葉
「はい」
渡辺
「そうか、率直に聞きます。事件の日何がありましたか?
いや、というのも我々警察としても君が11人もの人を殺害したとは考えづらくてね。
例えば誰かが入って来て皆を殺害したとか」
双葉
「いえ、誰も来ていません」
調書を取る谷は、いや取り調べをしている渡辺も、彼女の異様さに気付き始めていた
その理由は彼女の落ち着いている受け答えだった。
例え彼女がこの事件の犯人では無いにしても家族が殺されたにしては落ち着いている。
逆に快楽殺人だとしたらもっと嬉々として犯行の供述をするだろう。
だがまるで彼女には感情は無いようだった
渡辺
「それなら質問を変えるよ。君は事件に関係していますか?」
双葉
「はい」
渡辺
「それじゃあ君が11人もの人を殺害したというのか?」
双葉
「はい」
その可能性は高かった、しかし彼女が犯人ではない事も視野に入れていた渡辺と谷には衝撃的な答えだった
渡辺
「どうやって?」
双葉
「わかりません。分かるところだけでいいですか?」
渡辺
「あぁ」
双葉
「清々しさの中に私は居た
何故か周りには人が沢山倒れていて
血を流しすでに息をしていない人達
でも私はとても清々しかった
何故か分からないけど」
谷
「ふざけるんじゃない!ひとが11人も亡くなっているんだぞ!それを…」
渡辺
「谷!落ち着け、おまえはちゃんと調書取っとけ!」
そうは言ったものの、渡辺も谷の気持ちが分からない訳では無かった
結局その後も分からないの一点張り、しかし彼女一つだけ、ただ一つだけ明確な意志だけは伝えた。
それは清々しいという事だった
取り調べも終わり、一息つく二人
谷
「しかし、あの子は何なんですかね?清々しいって」
渡辺
「わからん、ただ何かありそうだな。」
谷
「一応、精神科医の先生呼んだ方が良いですかね?」
渡辺
「一応?絶対だ!」
谷はその日の内に精神科医に連絡を取った
その精神科医とは
つまり私になるわけだが…
私の名前は倉田 誠児
これからが始まり、そしてこれから長い戦いになるとは、その時は分からなかった。