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The pupil of the beast  作者: 高田屋 熊之助
第一章:ミオ=ルーシアの場合
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 焚き火が、小気味の良い音を立てて爆ぜる。その周りには、そこらで捕まえた野うさぎやら、川魚やらが串刺しにされて、焼きあがるのを今か今かと待ち受けている。これが今日の私の夕食である。少量の塩と香辛料を振りかけただけの、きわめて簡単な、料理とも言いがたいような代物であるが、これがまた堪らなく美味いのだった。

 街道から森に入り、歩くこと実に半日。私が目標としている廃砦は、ここからまだ遠い。通して歩けば夜のうちにでもたどり着けるだろうが、疲労を抱えた体でまともな働きをできるかさすがに怪しいものであるし、何よりも足元が悪い中半日も歩き通したため、私はひどく空腹を覚えていた。空腹と疲労は、仕事の大敵である。

 私が今焚き火を囲っているのは、森の中にぽっかりと口をあけた広場である。同じように焚き火のあとが散見されることから、何らかの用事でこの森に立ち入った者たちが私とまったく同じ思考回路を有していたことが分かる。近くには小川が流れており、行軍中に休憩するにはもってこいの場所だ。

 天空には月と星。どうやら雨の心配をする必要はなさそうだ。野営の最中に雨に降られてはたまらない。服はともかく、マントが濡れるとひどく厄介なのだ。濡れたマントは非常に乾きにくく、重たいばかりで保温効果も薄い。何より、湿ったマントなど、身につける気も起こらない。

 薪代わりの枯れ枝を火にくべながら、肉の焼け具合を確認する。焦がしてしまっては元も子もない。貴重な夕食が台無しになってしまう。ちょうど、川魚が焼けあがっていた。うっすらと焦げ目のついた皮が、食べごろであると知らせてくれる。耐え難い空腹を感じていた私は、何の躊躇もなくその身にかぶりついた。

 美味い。

 私は魚の種類に明るくないので、自分が今何という魚を頬張っているのか分からないが、ふっくらと焼きあがった白身は、少し淡白だがやさしい味わいである。好みの分かれるところだろうが、はらわたごと食べてもほとんど臭みを感じない。夢中で頬張るうちに、名も知らぬ川魚はあっという間に頭と骨だけになってしまった。これなら、あと二、三匹捕まえておけばよかったと思わないでもないが、水産資源は大事にせねばなるまい。

 野うさぎもまた美味かった。まあ、空腹のときは何でも美味く感じるものなのかもしれないが、そう言ってしまっては、その身を提供してくれた彼ら――捕まえた野うさぎはオスだった――に申し訳がない。

 十分に腹の膨れた私は、少しでも体を休めるために、仰向けに寝転がった。よく茂った木々の隙間から見える夜空をぼんやりと眺めながら、私は、私が今ここにいる理由を思い出していた。

 

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