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虚無な人生を終えたので、二度目はケモ耳メイドとして魔物を愛でながら飼育係の青年にお世話されます。  作者: 宙色紅葉(そらいろもみじ) 週1投稿


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喪失と獲得の夜

『なんで俺、マオのことは襲いたくないって思ったんだ?』


 数時間前まで発情期に苦しみ、震えて熱を上げるばかりだった体も、欲を発散するためならばスルリと動く。


 押し倒されたまま犬井の体をまさぐって、そのままぼんやりと考え事を始めた。


 緩く動く理性に反し、素早い衝動は既に彼女の服を上まで捲り上げている。


 ずっとキスを強請っていた犬井だが、一言も声をかけられずにあられもない姿にさせられて、体だけを求められる。


 それでも文句ひとつ言わず、従順に身を差し出す姿にトレーは満ち足りた幸福を覚えた。


『俺に好意らしいものを寄せるコイツが、欲に怯え、俺を拒絶するのを見るのが嫌だったのか? それとも、無垢なガキっぽいコイツを襲う罪悪感がえぐかったとか? でも、コイツ、まあまあスケベなんだよな。それに、まだ、何かが引っ掛かる』


 両腕で犬井を抱き締めると同時に、手のひらは柔らかさを弄んでいる。


 食べたがりの口が、犬井の唇を襲った。


『マオが転生者なのは、この際、関係ない。強姦したら天罰がヤベーってだけで、マオがノリ気なら神様からのおとがめもねーはずだからだ。そしたら、俺はどうしてこんなに』


 熱い舌で唇を舐め、歯をなぞり、小さな舌に絡みつく。


 そうして、犬井の小さな口を滅茶苦茶に責め立てた。


 彼女の濡れた唇から漏れる甘い吐息、強請るような息切れの音に夢中になっていく。


「トレー、あい、しふぇる」


 欲に解放されたばかりの痺れて呂律の回らなくなった舌で、犬井が小さく愛を誓う。


 途端、トレーの中に性欲とも違う正体不明の感情がせり上がり、それが体中を満たした。


 既に正気を失いそうなほど興奮しているが、謎の感情がそれに拍車をかける。


「俺も愛してる」


 熱にのぼせたまま、口が勝手に愛を返す。


 トレーの言葉に犬井がへたりと蕩け、全身を脱力させたのを見ると、食べやすくなっていいなと思った。


「かわいい。マオ、好きだよ」


 猫なで声で甘やかして、犬井の無垢な愛らしさを享受し続ける。


 この頃には、あれこれ考えていた理性を失って、衝動だけで口と体を動かしていた。


 酷く甘い時間を明け方まで繰り返していたからだろう。


 トレーが次に目を覚ます頃には欲はすっかり満ち足りていて、どうしようもない満足感に包まれていた。


 そして、それと同時に何かを得たような、あるいは失ったような感覚を覚え、困惑していた。

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