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美少女幼馴染の大親友が浮気した彼氏の悪事を告発するみたいなので、もちろん俺は協力した。素敵な女性を傷つけたやつはざまぁだな。

小学校から大学まで同じだった俺と美夏。


社会人になってからも大親友で、職場は違うけど、月二回、一緒に焼肉を食べるのが習慣だった。


しかし、美夏に彼氏ができて、それは途絶えた。


今まで何ヶ月も美夏と会わないってことがなかった。


だからすごく違和感があったけど、仕方ないと思っていた。


そんな俺は…。


ものすごく久々に、焼肉に誘われた。


「優斗やっほー」


美夏は私服だった。


そういえば私服勤務だったなと思い出す。


「あ、あの、大丈夫なのか?」


「あ、うん。彼氏ならもういないっていうか、実は婚約の約束してた別の彼女がいた」


「ええっ、そ、それ酷すぎないか…?」


「でしょ。だから今日は、二人で五人前でよろしく、焼肉」


「おっけ。美夏四人前でいいよ。俺普通に一人前食べるから」


「ほんと? 私全然食べられそうだけど」


で、結果、本当に食べた。かなりの肉だったけど…すごいな。


で、ビールもかなり飲んでて、それでやっと愚痴り始めた。


「私、あいつの彼女に悪者にされたの! 私は本当に騙されてて何も知らなかったのにさ!」


「もしかして、美夏の方から寄っていって浮気したことになってるのか…?」


「そうだよ! 私はね、その彼氏が何度も私だけを愛してるって言ってたのを信じてたんだから。あーあ。しかも職場の男だから私の評判めちゃくちゃ悪くて…」


「可哀想すぎる」


「ほんとよね! あーあ。私のことちゃんと知ってるの、優斗だけだよ」


「てことは、俺が美夏の職場で演説とかした方がいい感じかな?」


「してくれマジで〜」


ビールを飲む美夏。


本格的に美夏の元彼の悪事を暴きにかかるか…。


俺としても本当に許せない。




というわけで、俺は美夏の元彼に近づこうと思う。


お気に入りの居酒屋があるって美夏から聞いたので、そこに行けば会えそうだな。


行ってみたら、美夏から聞いたのと同じ容姿の人がいた。


「こんばんは〜」


「誰だ…?」


「あ、実は俺、美夏の兄でして。ほんと、助かりました」


「え? 兄なんていたのか…?」


「ついこの前まで海外にいたんです。色々と美夏は横暴で苦労してたんですよ」


「大人しくなったってことか…?」


「いやほんとに。あなたが浮気して責任を美夏になすりつけてくれたおかげですよ」


「ん?」


「大丈夫ですよ。俺としても得してるんでね」


「あ、そうなの? まあそれはよかった。俺は運がいいなあ。がはは」


そして、美夏の元彼は自分が美夏を騙して浮気したことを武勇伝的に話した。


殴ったら俺が捕まってしまうので、俺はメンタルトレーニングのつもりでにこにこしていた。もちろん全部録音している。


最後別れ際には連絡先も交換した。


こいつほんとに警戒心ないなあ。




「ってわけで素晴らしい収穫だったよ」


「すごすぎる。探偵事務所開いたらやっていけるんじゃない?」


「そんな甘くないだろ」


「で、どうやってその録音を使うの?」


「美夏の会社で流したりしたら、美夏にやりすぎだって言う人いそうだよね」


「本当は全然それくらいしたいんだけどね」


「そっかあ。だよなあ。でもさ、勝手にバレる方が面白いと思うんだよな」


「なるほど」


「というわけで美夏の元彼に俺から送ろう」


「え」


「俺実は、美夏の元彼に作曲が趣味って話しといたんだ」


「マジで?」


「だから…恋愛の曲を作ったって言って録音を送っちゃうぞ。彼女と聞いてくださいってね」


「うまくいくかな〜」


「行けなかったら仕方ない。結果は職場での様子でわかるんじゃない?」


「性格悪くなりたくないのに少し楽しみなんだけど…」


「ダークにならないとね、たまには美夏も」


「うわあ。でもやるしかないよ。優斗送るのお願い!」


「オッケー」



  ☆ ◯ ☆



優斗が録音を送った次の日。


職場に行ったら絶望している元彼がいた。


なんと職場中の女性から詰め寄られているのだ。


「ねえ、あなた騙されていたのね」


一人に話しかけられた。


「どうしてそれを…」


「あいつの彼女と知り合いの人がうちの職場にいて、その人が聞いたんだってよ。全部あいつが悪いって発覚したって。しかもそれが、自分の悪事を自慢げに話していた録音らしい。」


「えっ、てことは…」


「もちろん、彼女はあいつと別れたらしいよ」


「そ、そっか」


「濡れ衣が晴れてよかったね」


「うん」


「だけど、あんな男を好きなるなんて、ほんとに美夏は騙されやすいなあ」


「騙されやすい…よく言われる」


「でしょ? これからも気をつけないとね」


「確かに…」




「うおお。だから俺は悪くないんだよ!」


「どこが?」


「このままだと会社での人権が…!」


元彼が叫ぶ声を聞きつつ、私は悩んでしまうのだった。


騙されやすいということに。




その夜、優斗と会った。


また焼肉屋。


「どうだった?」


「大成功だったよ」


私は考える。


私は騙されやすい。


だけど、優斗に騙されたと思ったことが一度もない。


それは、優斗がいい人だからなのか、それとも…、まだ私が騙されているからなのか。


きっと前者。


優斗はいい人なはずなのに、信じれない自分が悲しい。


騙されやすい人は、騙されてない証明をするのが難しいんだ。



「美夏」


「う、うん」


「俺のことは、信じていてくれたら嬉しい」


「…ありがとう、優斗」


優斗には今までの積み重ねが、いい意味であるからね。


だから私だって、優斗には攻めていいでしょ。


優斗が私に信じていてほしいなら、なおさら覚悟が決まった。


あとは優斗を…恋に落としにいく。



 ☆ ◯ ☆



娘の成長とは嬉しいものだ。


俺の娘は母親にめちゃくちゃ似ている。


最近色々なことができるようになって、一緒に遊んだりして毎日が楽しい。


ここのところ俺の娘がハマっているのは、トランプだ。


まだ難しいルールのゲームにハマるってより、最近数字を覚えたので、それを活かして遊んでるって感じだ。



今はババ抜きをしている。


あ、そういや俺の娘は母親と全然似てないところがあって…。


「ふふふ、さて、どっちがジョーカーだと思う?」


「こっちかなー」


「ち、違うよ」


「うん、じゃあそっち取るね!」


「ええっ」


「ほら、やっぱりこっちがジョーカーじゃん!」


「うわーん。負けた!」


これで、うわーんって言ってるのが母親っていうね。


そう、俺の娘は大人びているのか、騙されにくすぎるのだ。


騙されやすいママの美夏と違ってね。


お読みいただきありがとうございます。

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