2.最初の鐘が鳴った日
2044年12月20日。その日も2040年頃から続く太陽の極大期に突入した影響で、通信障害や停電が多く発生していたが、みんな4年も経てば慣れていて、この日も普段通りの生活が続いているはず。普段通りだったら、今の私も地球に居たと思う。
でも、この日からすべて始まった。
13時頃だろうか。SNSに、何十万、何百万もの投稿が相次ぎ、鯖落ちするほどの量だったね。
「鐘のような音が聞こえる」「鳥や動物が急に暴れだした」
そんな感じの投稿が、世界中で相次いだんだ。
最初は、太陽フレアによって発生した磁場の変化で微弱な周波数が鐘のような音に聞こえたと言われていたけど、各国の宇宙機関はその時間帯に太陽フレアや磁場の特徴的な変化を観測していなかったらしい。
SNSでは、様々な陰謀が飛び交っていた。
「終末の鐘」「アポカリプティックサウンド」「キリストの復活」「政府の音響兵器の実験」「集団錯覚」
一瞬にして、世界はこの音で話題になり、テレビやラジオでもこの話題は大々的に取り上げられ、専門家や研究者たちも一斉に調査を始め出して混乱と困惑が交わって大変なことになってしまった。
でも、これはまだ始まりに過ぎない。次のページに進もう。