表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/145

第8話-ダンジョンの調査

「……おはよう」


 柔らかなベッドの上で目を覚ます。起きた時に隣に陵が居るってことが私にとっては推しポイントだ。


「ん、おはよう」


 いつも陵は私が起きるのを待っている。その間に沢山頭を撫でてくれているのも知っている。


「好き、ふへへ……」


 まだベッドから起き出す気にはなれなくて、私は彼に抱き着いた。すると、ごつごつとした彼の手が私を包んでくれる。


「今日はどんな予定なの?」

「今日はね~、ダンジョンがどうなってるのか徹底的に調査するの」

「そっか」

「陵は~?」

「俺はいつも通りかな。道場で教えながら生徒とルビアの相手をして、キラとジェネの練習を見てって感じかな」

「ふぅん」


 いつも通り、ね。変化の無い日常って楽しいのかな?

 なんて、そんなことを思ってもそれは陵が決めることだからね。昨日みたいに急に付いて来てって私が言う事も多々あるから、彼も程々に新しい日常を迎えて冒険もしている気がする。


「美玲は心配事とか無いの?」

「う~ん、特には無いかなあ。今の所は別の国から手を出されることも無いしね」

「そっかあ」


 こうやって撫で回されているので私は満足です。うへへ~


「いつ頃に起きだす?」

「もうちょっと~」

「はいはい」


 まだ、もう少しだけこの怠惰な時間を私にください。




 **


 朝食を終えて、俺は道場に向かって歩いていた。


 神王国ヤマトに大きな変化はなく、いつも通り建物は立っているのに人が居ない光景が広がっていた。いや、これでも多少は人が増えたんだっけな。

 でも、人が居る場所も疎らだし永住しようという人は圧倒的に数が少ない。美玲が連れてきた人々以外で永住を決めた人を少なくとも俺は知らない。

 良く言えば静かで安全、悪く言えば閑散としている大通りを歩いていた。


「師匠」

「ああ、おはよう」


 後ろから声を掛けてきたのはジェネという名前のハイエルフで、俺の弟子の一人だ。


「今日の調子はどうだ?」

「ばっちりです」

「そっか、今日も頑張れよ」


 彼女は可愛らしく握り拳を作った。


「リョウ」

「ルビアか。朝っぱらからか?」


 真っ黒な剣士が現れた。唯一この世界で俺とやり合って実力が拮抗する人物だ。


「いや、軽く身体を動かそうって思っただけだ」

「そうか」


 朝っぱらからルビアの相手はちょっとシンドイと思った。強過ぎるから本気でやらないと負けるし、だからって、手を抜いて負けるわけにはいかないからな。


 道場に辿り着いた。すると既に道場に人が居た。一人は神王国ヤマト支部の冒険者ギルドのギルドマスターであるギラティブ、もう一人は俺のもう一人の弟子であるキラだった。

 キラは俺より早く道場に居ることが多い。意識が高いのは良いことだが強くなりたい程度では足りないんだよな……と師心ながらに思う。


「ギラティブは何か用か?」


 キラはいつも居るから良い。いつもと違うのはギラティブだ。いつもなら昼過ぎくらいに“頼もう”と道場を叩いて来る。ギラティブの相手は飽きてるから、いつも早く帰れとすら思ってるけど、接待もあるから本人には伝えてない。


「ああ、ミレイ王とリョウ殿の冒険者ランクを上げようと言う話が出ていてな」

「なるほど? 話は長くなるか?」

「少しな」

「そか。ジェネ、キラ、先に練習してろ」


 弟子二人に指示を出した。


「話を続けてくれ」

「うむ。儂としてはオリハルコンランクで押したいのだが、それで如何だろうか?」

「オリハルコンランクって一番上のランクだよな?」

「そうだな」

「良いのか?」

「良いも何も、もう一つ上のランクを作るべきか悩んでいるくらいだ」

「ああ、そう……」


 深くは聞かないけど、オリハルコンランクでは足りないとすら思われているのか。まあ、確かにオリハルコンランクの冒険者くらいなら軽くひねれるからなあ……


「それだけか?」

「そ、そうだな。儂としてはもっと嫌がるものかと思ってたからな」

「取得するのは構わないけど、何か条件があったりするのか?」

「強いて言えば、災害時に協力を要請することがあるくらいか」

「災害時って、なんだ、家の修繕でもするのか?」

「違う。魔物関連の災害が起こった際に討伐要請が来るだけだ」

「それは強制か?」

「基本は強制だが、ミレイ王にそれを強制してもな」

「まあ、基本は国の事で忙しいしな」


 他国や街に意識を割いている暇など無いケースが殆どだ。俺とは違って、彼女は自分がやりたいことをやるので手一杯だ。

 俺は道場で技を教えたりしてるだけで、それ以上のことは特に何もしてない。


「じゃあ、これらを美玲に伝えておけば良いか?」

「うむ」

「あいよ。じゃあ、また後でな」


 要件が終わったなら、とギラティブを半ば道場の外に追い出した。



 **


「うーん……」


 ダンジョンコアに魔力を流したりして、色々と変化を見てるんだけど、流すだけじゃ何も変わらないのがわかっただけだった。


「ミレイさん、流してから操作しないと駄目なんですよ。何がしたいんですか?」


 ダンジョンコアの持ち主であるレイアに若干の年寄り扱いをされている気がした。使うの初めてだもん……


「まずは部屋の拡張なんだけど、出来る?」

「出来ますけど、ここを拡張すると外にも影響が出ますよ?」

「あ、そうなんだ」

「そうなんですよー」


 つまり、このダンジョンは内部を動かすと外部にも影響が出るってことなんだね。


「地下はあるの?」

「ありますよ。見ますか?」

「ん、お願い」


 ダンジョンマスターはダンジョン内を自由にワープできる。だから、地下に行くのも一瞬だ。

 ダンジョンの最上階にダンジョンコアを設置する場所がある。でも、ダンジョンコアはダンジョン内なら何処にでも持って行けるみたいだね。


 最上階から地下に移動した。あんまり風景は変わらなかった。地上よりも上にある畑エリアと見比べると結構変わった風景をしている。

 畑エリアは太陽の代わりになる光が照り付けている。でも、最上階や地下は蠟燭の灯りしか光が無く結構暗い印象を与える。


「地下から外にって出れるの?」

「地下ですから、出れないと思いますけど」

「ほら、ここ山だからさ」

「あー、洞穴みたいにって事ですか?」

「そーそー」

「やってみたことがないです。……ちょっとやってみます」


 頂上に造られた建物の地下は実質地下じゃないからね。頂上のちょっと下から顔を出せたりしないのかなって思ったんだよ。もしそれが出来るなら、山自体を大きな要塞に作り変えられるかもだからね。


「出来そうです。怖いので付いて来てください」


 レイアに袖を引っ張られてされるがままに彼女に付いて行く。やがて、ダンジョンの壁に向き合うと、そのダンジョンの壁の一部が奥に向かって動いているのがわかった。


「これは外に向かってるの?」

「はい」

「なるほどね」


 やがて、壁が霞んでいき姿を消した。そこから先には山の下が見えた。それなりに高い山だから絶景だとすら思える。森が生い茂っていて、あんまり人が入りたがらない場所に出てしまったのは今は気にしない方が良さそう。


「こんな感じで外に繋がってるなら、ダンジョンの中にエネルギー発生所を作っても、どうとでもなりそうだね」

「そうですね。外に繋がる道を作るのはそんなに難しくないです」


 ダンジョンの中でエネルギー発生所を作ったら外部に発生させたエネルギーを送れないんじゃないかって懸念事項が消えた。実はこれが私の中で一番の懸念事項だった。

 確かに外からダンジョン内の畑に繋がる道は既に用意されてるけど、それが手軽に出来るかどうかは知らなかったからさ。


「ということは、何処かに発生所を置く為だけのスペースを作れれば良いね」

「そうですね。大きさ的には地下を一面使えれば良いのかなと思ってます」

「そんな使うかな」

「今後、足りなくなったら増やしていくと思うので」

「あー、ね。確かにあるかもね」


 でも多分ね、狩れる魔物の数は増えないと思うんだよね。エネルギー発生所って結局は死骸を集めて魔力溜まりというエネルギーを作って、それを雷属性の魔法とかに変えて電気にして色々な物に使っていこうって話だから、場所や機材が増えたって取れる量が変わらなかったら変わらないんだよね。


「うーん、まあいっか。取り敢えずエネルギー発生所の大きさなんだけど、大体100×100メートルだから、200×200メートルで場所を取れれば良いかな。ただ、ちゃんと仕切りを作って欲しいかな」

「わかりました。真ん中が良いですか?」

「ううん、端で」


 レイアがダンジョンを操作する。壁が立ったり、横にずれていったりとこんなに簡単に私達より遥かにデカい物体が動かせられるのは凄いよね。

 まるで世界が違う気すらする。


「それが終わったら一旦外に出て、外の何処と繋ぐのか決めようか」

「わかりました」


 内部の外装が終わったら、次は住宅にどうやってこのエネルギーを流すのか考えないとね。


 **


 道場で剣を振っていた冒険者たちは一気に戦闘態勢に入った。それは人ならざる気配を感じたからだろう。

 俺はその気配に覚えがあったから特に驚くことはなかった。


「大丈夫なのか? 大分強そうだけど」


 ルビアも思わず警戒するレベルだ。


「気にしなくて良い、殺しに来るならもう戦いは始まってる。だろう? 魔王サマ」


 道場に顔を出した男に問い掛けた。

 外見に銀髪銀目で灰色の肌を持ち、彼が人ではないことを強く主張していた。

 大分前にダンジョンコアを手に入れる際に遭遇したのを覚えている。


「久しいな。リョウよ」

「今日は何の用だ?」

「アラティナからダンジョンの使い方を教えてやってくれと言われてな」

「あー、なるほどな」


 確かに初めて出会った時も、この魔王はダンジョンに詳しそうな雰囲気を纏っていた。アラティナさんが話したのは彼だったのか。


「だが、タダで教えてやるのも面白くない」

「だったらどうする?」

「元々私は闘争を求める種族でな。私は君と戦いたい」


 ギラティブと言い、ルビアと言い、俺はこの手の話題にモテモテだな。


「構わないぞ。ここでやるか?」

「いや、外でやろう。街の外でな」

「……なるほど。早めにギブアップしろよ?」

「君もな」


 道場では耐えられないような技を使うつもりなのだろう。壊されても敵わないし、大人しく外でやり合うことにした。


「じゃあ、ちょっと行ってくるから、皆は残って鍛錬を続けててくれ」


 倒せるなら倒してしまおう。そっちの方が意見も通りやすいだろうし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブクマ・ポイント評価お願いします!

小説家になろう 勝手にランキング

学園モノはカクヨムにて→欠落した俺の高校生活は同居人と色付く。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ