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第6話-方針転換②

「今日やらないといけない仕事はこれで終わりですね」

「そんなに量は無かったね」

「あった筈なんですけど、あの、ミレイさんが増えるの強すぎませんか」


 ミレイさんが太陽王モードになって尻尾を九本も生やしたと思ったら、ミレイさんが九人に増えて、サクラが処理し切れずに溜まっていた様々な案件を九人で手分けして一瞬で終わらせてしまった。

 私達が買った奴隷の住処の件が三割、冒険者と奴隷の間のイザコザが二割、残りはミレイさんや私に会いたい、話をしたいという類の内容だった。簡単に言えば面会希望だね。

 商人絡みの件は私が対応した。子供一人だとナメられるからガリアスさんに付き添ってもらった。

 ガリアスさんは滅茶苦茶大きい人で元々はミレイさんの秘書を希望してたんだけど、実務が無いからって事で私の秘書になった。リリアーナみたいに気楽に話せる人ではないけど、かなり優秀な人だと思う。


「まあ、その分イザコザも多かったけどね。きっちりと部下を連れて行ったら、トラブルにならなかったんじゃないかなーって貴族も何人か居たし」


 実は他国の貴族や王族との面会がかなり多かったんだけど、九人のミレイさんが爆速で終わらせた。その中には何件かイザコザが起きた物もあったらしいけど、ゴタゴタを持ち込んだ貴族と王族には丁寧にお帰り願ったらしい。

 リョウさんの強力さ故にミレイさんの戦闘能力の高さが霞んでしまうことが多いけど、私はミレイさんが実はそれなりに強い人だってことを知っている。戦うのが嫌いなだけでそんなに荒事は不得意じゃない。


「でも、それで良いと思ったんですよね?」

「うん。次に攻めるとしたらその国で良いかなーくらいには思ってるよ。ってか、頭を下げてまで国交を結ぶ気が無いしね。今から軽く宣戦布告っぽい事をするか悩んでるくらいだし」


 ミレイさんって太陽王モードだとめちゃくちゃ王様だなあって感じの雰囲気になるんだけど、分身したミレイさんは太陽王モードみたいにキラキラしてないから悪く言えば全く王様に見えない。格好もドレスやスーツ等の正装を身に纏っているわけじゃないから余計に只の一般人に見える。


「その格好じゃナメられますよね」

「見た目だけ見る人達とはあんまり付き合いたく無いんだけどねー」

「貴族王族社会ってそういう世界ですからね。ある程度は見た目が良くないと相手がどんな人なのか知ろうともしない人が殆どですよ」


 私のクソ親父がそうだったって母から聞いたことがある。

 太陽王モードの時とか見たいに、ちゃんとした格好をしているミレイさんを見ると綺麗だなって思うから、彼女は別に不細工って部類ではないと思う。

 太陽王モードじゃない時って、なんかちょっとモブっぽく振舞ってるのかなって気すらする。


「それにしても、なんでこんなに急に来たんだろうね」

「恐らく、どの国も我先にと急いだ結果なんだと思います」

「そしたら皆が皆、私達が居ないタイミングで来ちゃったのか」

「そう考えるとガリアスさんとかサクラに滅茶苦茶に負担掛けましたね」

「だねー。他国とは言え貴族や王族の相手をさせちゃったのは可哀想だね」


 今度、何処かで埋め合わせを出来るように考えないといけないかな。


「ミレイさんも綺麗なドレス作りますか?」

「それは絶対に嫌だ」

「あ、はい」


 あった方が良いよなあって思って提案してみたら、かなり食い気味に拒否られた。


「ま、この話はここで終わりかな。今日のでよくわかったけど、そろそろ色んな国の人達が入ってきそうだし、絶対に破ってはならないルールを決めようか」

「そうですね」


 ダンジョンをどうするかは後回しだ。ダイニングでミレイさんと向かい合って白紙を取り出した。


「レイアがメモしてくれる感じ?」

「はい。ミレイさんの話を聞いて再編集した方が良いと思いまして」


 私はやっぱりミレイさんを支えるのが向いてる。私には危険性を感じたまま物事を進めることは出来ない。


「確かにそうかもね」

「では、早速始めていきましょう」


 とは言っても、国のルールなんて何処から決めたら良いのか私にもわからない。


「取り敢えず、国の中で特別な状況下以外での戦闘を禁ずる」

「あ、はい」


 ミレイさんが淡々と話し始めて、ちょっと焦りながらメモをした。


「盗みはダメ」

「はい」

「私がダメと言ったらダメ」

「はい」

「くらいじゃない? 本当に大元の話だけするなら」


 あれ? 細かい事を決めないなら、これだけで良いのかな……?


「他に何か決めたいことある?」

「思い付かないです……」

「まあ、だよね。じゃあ、今決めとくルールはこれくらいにして、思い付いたら後から足していこう」


 あれ、なんか今日のミレイさん、いつもよりスパスパと物事を引っ張っていく。

 いつも私に主導権を押し付けてくる彼女が、今日は一切押し付けてこない事に違和感を感じていた。


「じゃあ、ちょっと外に出てくるね?」

「え、ちょっ」

「私しか出来ないことやってくるよ」


 ミレイさんはそう言って、ふらっと家から出て行った。


 **


 さってと、まずは神王国ヤマトへと続く道を何本か増やそう。山の下に向かって光線銃を打ち込んで、一気に木々や草原ごと消滅させて地面も削るつもりだ。

 前に作った道は車の大型のタイプの光線銃で強引に開けたから、この小さな光線銃で同じことが出来るのかは正直自信はない。


 あー、あとあれだ、私が太陽王モードで最高火力でこの小さな光線銃のトリガーを引いたら、どれくらい火力が出るのか気になってるんだよね。

 他者(ひと)に貰った力が強大過ぎると試す場所が無くて困るんだよね。


 ……さて、やってみますか。


 太陽王モードに身を包んで、スコープ越しに光線銃の照準を山の麓に合わせる。太陽王モードのエネルギーを光線銃に貯めていく。


 これ、どこまで溜まるのかな。


 やがて、光線銃から警報音が鳴った。


『限界です』


 指輪の補足説明から、警報音が光線銃の限界を示していることがわかった。じゃあ、撃ってみますか。


 トリガーを引く。大地が抉れ木々が抉れ大地が震動する。


 あーこれ、後で絶対にレイアに文句言われるやつじゃん。急にやるな住民が怖がるだろって絶対言われるね。そう言えば前に作った道も地響き凄かったもんね。


 光線が通った地面は綺麗にクレーター状になっていて、しっかりと山の麓まで届いていた。麓に辿り着くまでに森を抜けるって難しさはあるかもしれないけど、それくらいはこの国に来るんだったら頑張って欲しいかな。


『面倒くさいだけですよね?』


 あはは、バレた?


 別の場所で光線銃を二射して、合計四つの雑な道を切り開いた。


 街の中に戻ると、ルビアが私を待ち構えるように立っていた。


「今の力はミレイか?」

「そうだよ。普段の私からじゃ想像が付かない?」


 隠す気も無いし隠す必要もないから素直に答えた。太陽王モードの私だったらキラキラしてるし想像し易いと思うけどね。


「まあ、確かに普段のミレイからは想像が出来ないが、それは別にどうでも良い。……その姿は神の力なのか?」

「んー、どうだろうね。私は他者(ひと)に力を貰っただけだから詳しくは知らないんだよね」

「そう……か」

「なんで態々ここまで聞きに来たの?」


 ルビアの様子が可笑しいのは私だって気が付いてる。だって、彼が私に関わりに来る理由がないから。でも、下手に刺激して敵に回られても困るから普段通りの視線を彼に向ける。


「ああ、いや、何かをしようってわけじゃないんだ」

「ふぅん?」


 指輪、迎撃用ドローンの射出準備しておいて。


『承知しました』


 陵に近い腕前なら、殺意や敵意、技の起こりを消すことなんて造作もない。指輪の反応に頼らずに自分で動くしかない。


「もし神々に知り合いが居るなら話をしてみたくてな」

「なんでさ」

「色々と聞きたいなって思ったんだよ」


 陵が言ってたっけ、ルビアは“美玲が居なくなった俺だ”って。


「神と話したいだけなら、連絡くらいは多分取れると思うけど……」

「本当かっ!?」

「ただ、貴方が抱えてる物が他者(かみ)の言葉なんかで変わるとは思えないけどね」


 陵にとっての私を失くしてしまったのなら、誰の言葉を聞いたって癒されることは無いよ。 

 それ程に痛いであろうことに陵は気が付いているから、彼の刃は凄まじく鋭くて人を追随させないんだよ。


 ただ武術が好きなだけでは、戦いが好きなだけでは辿り着けない境地に彼は立っている。


「それは……そう、だと思う」

「それがわかってても、縋りたくはなるよね」


 ちょっと気になってしまった。彼がどんな風に何を失くしたのか。でも、それを聞くつもりはない。


「神様と連絡取れたら教えるよ。どんな返事であってもね」

「……ありがとう」


 最高神のアラティナさんが会いたくないという可能性もある。だから、会えるとは断言できないけど、それに対するアラティナさんの反応くらいは教えたって怒られないだろう。


 少し警戒しながらも、私はルビアから離れて家に向かった。

 太陽王モードを切り忘れていたせいで住民に膝を折られてちょっと慌てたりしながらも、特にトラブルに見舞われることもなく家に帰った。膝を折られたのはちょっとしたハプニングかもね?


「ミレイさんっ!! やるなら何か言ってくださいよっ!!」

「ごめんごめん。つい、言い忘れちゃって」

「いやいやいや、ほぼほぼ確信犯ですよねっ!?」

「道を作ろうとは思ってたんだけど、あんなに地響きが鳴るのを忘れてたんだよね」


 案の定、レイアの絶叫で迎えられた。


「なんかやらなきゃいけない事ある?」

「ちょっとは反省してくださいっ!」


 可愛く怒るレイアを宥めて、私はアマたんにメッセージを送る。その後にキッチンに立って夕食の準備を始めた。


 カーテンの隙間から夕陽の鋭い陽射しが差し込んでいた。

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学園モノはカクヨムにて→欠落した俺の高校生活は同居人と色付く。

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