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第5話-ドワーフ

「ただいま」


 私達は神王国ヤマトに帰ってきた。


「今回の依頼の報酬はグラティーナ王国から払われ次第、君達に渡すね」


 ルビアとエリスにもう一度確認の意味を込めて伝える。


「ああ」

「わかった」

「じゃあ、今回の依頼はここまで。色々と助かったよ。ありがとね」


 神王国ヤマトの街中で、ルビアとエリスは私達から離れていった。


「よし、これから頑張ろっか」

「ああ……、まだ仕事が……」

「じゃあ、俺も道場に行くから」


 レイアは嫌だあぁと頭を抱えた。私もめちゃ眠いよ。だって今日寝てないもん……

 あと、シレッと陵に逃げられた。


「リリアーナが居ないっ……、ああ、仕事が……」


 銀髪の美少女はこの世に絶望しているように見えた。うん、仕事が増えるとシンドいよね。


 わかるわかる(わからない)。


「今日は私が手伝うからさ」

「……ミレイさん、眠らなくて大丈夫なんですか?」

「んー、寝落ちしたらごめん?」

「あー、はい」


 あー(察し)って言われた気分だよ。


「取り敢えず、家に帰ろうか」

「……はい」


 ダンジョンで盛り上がった地面の上に家はある。ダンジョン山って私達は呼んでる。

 そのダンジョン山はあまりにも急斜面だから、山の周りをぐるぐる回って登っていく坂が作られている。

 誰が作ったかって? ……私だよ。魔法でやった。


 いや、歩くのクソだるいね?


「オール明けのこの坂は辛いわ……」


 魔法を使って、てっぺんまで飛んだ。


「ず、ずるいですよ〜……」

「ほいっと」


 ズルしたらブーイングされたから、レイアもひょひょいと飛ばす。


「ちょっ!?」


 飛んできたレイアをお姫様抱っこでキャッチした。


「君が助けろって言ったんじゃん」

「……ありがとうございます。でも、急過ぎです」


 一言を断るのすら面倒くさかった。


「咲良は上手く仕事出来てると思う?」

「一通りは教えましたし、仕事は貯まってないと思いたいですね」

「あー、願望……ね」


 咲良は私の高校の同級生で、奴隷堕ちしてたのをレイアに頼んで買ってもらった。

 あの子馬鹿だから、レイアが普段やってるような仕事は出来ない気がするんだよね。


「私の仕事は出来たらで良いと言っておいたので、奴隷の管理だけはしっかりして欲しいと思ってます」

「あーね。最近の奴隷達の調子はどうなの?」

「んー、何とも言えないですね。どれくらい戦えるのかもわからないので……」

「だよね。安易に実戦ってわけにもいかないからね」

「そうなんですよね。折角買った奴隷が使えなくなったなんて目も当てられないので……」


 じゃあ、練習だけで事足りるのかと言われると、陵曰く実戦経験が無い奴の強さは実戦ではゼロ換算が良いって助言を貰ってしまってる以上、その強さに期待することは出来ない。

 人を殺す為の訓練と、人を殺す実戦ではわけが違って当たり前だから、陵の言葉には頷きを返すしかない。

 神王国ヤマトの戦力増強には、実戦を経験出来る装置が必要だね。

 ……と、なると、やっぱり武闘大会で使われていた技術を揃えるのはあり寄りのありに思える。


 揃える難易度がくっそ高いのが難点だけどね。


「ダンジョンとかって、練習用に使えたりしないかな?」


 魔物を倒すって行為だって実戦練習になるはずだ。


「嫌です。ダンジョンは時に災害を起こしたりもするんですよ?」

「へー、そうなんだ」

「大昔に国が滅んだ事もあるくらいです。なので、使い方がわかってない段階で投入するのは無理です。下手するとこの国が滅ぶかもしれませんし」


 私が思っている以上に、彼女はダンジョンを凶器として捉えてるみたいだね。

 まあでも、国が滅んだって記録があるなら、それくらい慎重になるのは当然かな。


「でも、そうやって慎重になり過ぎてたら先にも進めないよね?」

「他にやる事はあるので、そんなに急いで進める必要は無いです。でも、そうなりますね。気軽に取り掛かれないので、本当に時間がある時だけになっちゃいます」

「そうなるよね」


 他に仕事があったら、もしかしたら爆発させるかもしれないブツに触れるのは後回しにするよね。


「外で話すのもあれだし、そろそろ家に戻ろっか」

「そうですね。つい風が気持ち良くて」

「ねー」


 ダンジョン山のてっぺんは程良い風に吹かれていて、それでいて国を一望できるから見ていて飽きない。


 ここから国を眺めるのは私は好きだ。


 **


「レイア様、あと美玲、おかえり」

「おいこら咲良、お前立場分かってんのか?」

「ひーっ、怖い怖い、美玲様お許しを〜」

「……はあ、外ではやらないでよ?」


 玄関を開けると、リビングからパタパタとサクラさんが出てきた。流石ミレイさんの元学友だけあって、簡単にミレイさんと軽口を叩き合う。


「サクラさん、私が居ない間に変わった事はありましたか?」


 靴を脱いで家に上がる。


「ありました。私だと判断が付かないので、レイア様を待っていたんです」


 サクラさんがバッサリと手に負えないと意思表示をしたってことは、それなりに面倒くさい話なんだろう。


 あー、面倒くさい……


 ミレイさんがソファに腰掛けたから私も隣に腰掛けた。


「簡単に、どんな内容ですか?」

「ドワーフ?という種族の方々がいらっしゃいまして……」

「ドワーフっ!?」


 折角座ったのに驚きで立ち上がっちゃった。


 ドワーフとは物作りに特化した種族で、その性質上から人族に狙われる事も多く中々人族と関わりを持とうとしない。


 なんでそんな種族が態々こんな小国に……


 私に心当たりはない。ってことは……


 ミレイさんの顔を覗き込んでみた。只々興味無さそうな顔をしてた。この表情からして心当たりはなさそう。


「すぐに会いますっ! どちらに居ますか!?」

「は、はい、すぐに案内しますね」

「ミレイさんも来てくださいっ!!」

「えー……」

「えーじゃないっ!!」


 ドワーフと良好な関係が作れるなら、それだけでお金になるしこの国の戦力向上に繋がる。

 それくらいドワーフが作った物は質が良くて高級品扱いされる。商人の間でも一人囲えば将来は安泰だと言われるほどだ。


 帰ってきたばかりの家をすぐに後にした。



「こちらです」

「ありがとうございます」


 そこは第一区画の端っこの長屋だった。


 身寄りの無い子供達は第一区画の奥に居て、それ以外の人物が第一区画に足を踏み入れることはない。

 ドワーフ族は人目を気にするというから、こうやって他の種族に出会わない場所に誘導したのは良かった。


「こんにちは、この国の管理をしているレイアという者です。お話を伺うことは出来ますか?」


 長屋の扉をゴンゴンと叩いて、大きな声で、なるべく声が通るように告げた。


 室内でドタバタと音がして、やがて、玄関扉が開けられた。


「こんにちは」

「こ、こんにちは……?」

「初めまして、この国を管理しているレイアと言います」

「こ、こんな幼子が? 人族だよな……?」


 出迎えてくれたのはドワーフらしい髭を貯えている男だ。私の外見を何度も見て、驚いた表情を隠そうともしない。


「はい、人族ですよ」

「ううむ。人は見た目では判断出来ぬと言うし……」


 髭を触ってドワーフの男は悩んでいた。


「少し、長屋の中でお話させて頂いてもよろしいですか?」

「あ、ああ、そうだな」


 私を先頭にミレイさん、サクラの順番で長屋の中に足を踏み入れた。

 長屋の中には沢山のドワーフ族と思われる者達が居た。一、二、三……十人くらい……かな。

 全員が床に直で寝ていた。これはあんまりよろしくない。でも、このドワーフ達の感じ、何処からか命からがら逃げてきたようにも見える。


 テーブルを一つ、椅子を三つ取り出して並べた。


「どうぞ、お掛けください」

「レイア様はもしかして、空間魔法を……」

「ええ、そうですよ」

「そ、そうですか……」


 ドワーフの男は煮え切らない態度のまま、私に促されたまま椅子に腰をかけた。

 テーブルを挟んでその向かい側に、私とミレイさんは腰を掛けた。


「まずは貴方のお名前をお伺いしても宜しいですか?」


 メモを取るために一枚の紙を取り出した。


「グー・スミスです」

「名前がグー、性がスミスでお間違いないですか?」

「はい」


 グー・スミス、と。こうやって対話の席に着くあたり、この場にいる他のドワーフ族よりは身分が上なのだろう。


「次に、どう言った理由から神王国ヤマトに来られたのですか?

 この国は辺境の辺境にあると言っても間違いありませんし、安易な気持ちで目指されることは無いのかなと」


 山の頂上に国がある。それだけで辺境認定されると思う。

 それ以上にヤマトに続く整備された道が存在しないってのもある。

 だから、この国に来る商人の中には、かつてミレイさんが強引に切り開いた道を遠回りしてでも使う人が居るくらいだ。


 あ、そうだ。ミレイさんに頼んで道を作ってもらおう。強引にでも良いから、森が切り開かれた道を増やさないと商人や色んな人の流入は望めない。

 今は玄人っぽい商人と冒険者くらいしか来ない。いつまでもこのままってわけにはいかない。


「元々住んでいた村が人族の襲撃で焼かれてしまいまして……」

「なるほど、それはお辛い話ですね」


 その人族達はドワーフ族に恨みがあったのか、それとも、ドワーフ族という個体の市場価値を求めていたのか。

 私がパッと思いつく襲撃の理由はそのくらいだ。当事者じゃないから、焼き討ちをした人族が本当は何を目的としたのかはわからない。


「移住先を求めて、ですね?」

「はい」


 住む場所が無くなったら、住める場所を探すのは当たり前だ。その移住先としてこの国が選択肢に入ったのだろう。


「よくこの国の事を知っていましたね?」

「精霊を言伝に、この国の事を知りました」


 そう言えばドワーフ族って、エルフと同じで精霊に近しい人達だった。

 エルフ族も同じなんだけど、ドワーフは精霊の声を道具を作るのに役立てるのに対して、エルフは精霊の声を生活に役立てるって感じかな。

 ドワーフ族、エルフ族は精霊との向き合い方、付き合い方が違う。


「そうなのですね。私は貴方達を受け入れる事は吝かではありません」

「ほ、本当ですかっ!?」


 精霊は嘘を吐かない。これは精霊を知る者の中では常識中の常識だ。ドワーフ族に告げられた精霊の言葉がいったいどの様なモノだったのか知り得ないけど、彼らにとって私達が良いと言えば良いのだろう。


「……ですが、働かない者はこの国に住む価値はありません。精霊がなんと言おうが、私はここから追い出します。それだけは肝に銘じるように」


 この国は働かない者を養う余裕はない。それがどんなに偉い人であってもだ。


「は、はいっ」

「ですが、自らの能力を発揮するのに足りない道具があれば気軽に仰ってください。ドワーフ族の住居に関しては後程ご連絡させて頂きます」


 物作りに必要な物を揃えて、ドワーフ族にはなるだけ永住して貰えるように頑張ろう。

 人族の国にドワーフ族が住み着くなんて、前例が無いくらいに珍しい話なんだから。


「ではまず、私達に用意して欲しい物を先にお伺いしてもよろしいですか?」


 ドワーフ族の住宅造りの始まりだ。

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学園モノはカクヨムにて→欠落した俺の高校生活は同居人と色付く。

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