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第3話-戦争/グラティーナ王国

「おかえりなさい」


 家に帰るとレイアに出迎えられた。

 レイアに任せてるとは言え、住民と関わる機会は必要かなって思って国内を散歩してきた。特に大きな変わりはなかったかな。強いて言えば、国の中に看板が増えたことだね。

 “第一区画はこちら”とか“道場はこちら”とか、そんな感じの看板が立っていた。住民の中には土地勘が無い者も居るから、街中に道案内の標識を作ってあげるのはとても良い事だと思う。

 やっぱり、王様は私じゃなくてレイアの方が良いと思うんだよね。レイアが嫌がるから無理なんだけどさ。


「ミレイさん、お話があります」

「そんな気はしたよ」


 態々玄関まで出迎えてくれた彼女に、何にも用が無いのにそんなことはしないだろうなって思ってた。偶に甘えたくて出迎えに来ることもあるけど、そんな雰囲気でも無かったからね。


「詳細はリビングに移動してからで」

「おっけ」


 玄関を上がってリビングのソファに腰を下ろした。私がやらなきゃいけないことも今日は特に無いから、後はのんびりグータラするだけの時間だと思ってた。それはレイアに見せられた手紙によって無くなってしまったんだけどね。


 レイアに見せられたのは、グラティーナ王国からの宣戦布告の手紙だった。あー、めんどくさ。


 王族を攫った罪を私達に被せて、それを言い訳にして、戦争をおっぱじめるつもりらしい。結構酷いことが手紙には書かれてた。

 何でも“麗しきリリアーナを攫った悪しき国”だとか、“盗人猛々しい”とか、“リリアーナがそこに居るなら、そこも我らの国土である”とか、ね。

 これがグラティーナ王国の王サマから冒険者ギルドを経由して私達に届けられたって言うんだから、もはや笑うことすら出来ない。


 ホント、ナメてんなあ。


「レイアはこの手紙、もちろん読んだんだよね?」

「あ、はい」

「そろそろ陽も暮れるけどさ、今から国王をぶっ殺してくれば良いかな? グラティーナ王国って何処にあるんだっけ?」

「グラティーナ王国は私達の国と隣接……までは行きませんが、北側の隣の国ですね。そんな簡単に王を倒せますか?」

「軽く様子見して、倒せそうなら倒して来ちゃった方が早い気がするんだよね。もちろん、流石に陵が戻ってくるのを待ちたいけど」


 私だけ単身で国に殴り込みはちょっと怖いよね。それでも何とかなりそうな気はするけど、万が一もあるからね。


「あー、もっと戦力を増やしたいな。ルビアとエリスに遣いって出せる?」


 軽く様子見って言ったけど前言撤回。ちゃんと潰しに行こう。完膚なきまでに徹底的に潰したい。


「承知致しました。サクラ、行って来れますか?」

「はーい、行ってきまーす」


 他国にアピールするって意味合いもある。私らに手を出したらどうなるのか、身をもって味わってもらいたい。

 確かに人手は少ないけどね、陵を始めとした一騎当千で戦場を走り回れる戦士が何人か居るんだ。軍隊を用意している程度で勝てるわけが無い。


「ただいま~」


 陵が帰ってきた。


「おかえり~、ちょっと来てくれる?」


 陵はジェネとキラを侍らせていた。侍らせてはないって? 傍付きにするって言ってたから、それはもう侍らせてるのと同義だと思うんだ。


「戦争、か」


 私の話を聞いて、陵は少し目を細めた。


「多勢に無勢だと俺はあんまり役に立たないぞ」

「今ね、ルビアとエリスに遣いを出した所だよ。特にルビアは巻き込みたいね」

「んまあ、そうだな」


 簡単に首を縦に振ってくれるとは思ってないけど、もし彼が色の良い返事をしてくれたら、より一層にあの戦力が敵に回る可能性が減る。あれは絶対に敵に回したくない。あの剣の腕だと、下手すると陵が殺される可能性すらあるから、そりゃあ、流石に私もルビアの扱いには慎重になるよ。

 エリスは広範囲の炎の魔法が使えるって聞いたから、軍隊を相手するのに丁度良いと思って誘ったんだ。まだ宣戦布告の手紙だけかもしれないから、もしかしたら、まだ編隊してない可能性もあるけど進軍してる光景が見えたらまとめて吹っ飛ばして貰うつもりだ。もちろん私も出来るけど、私は私で別の事をしてる可能性もあるから、人の手が多いに越したことはない。


 玄関の扉がノックされた。陵が扉を開けると、ルビアの声が聞こえた。


「ルビアが来たよ」

「聞こえてる」

「俺に何の用だ?」


 リビングに顔を出した彼は、言外に"こんな時間に呼び出しやがって"って感じの表情をしてた。


「依頼」

「……なるほど」

「今からグラティーナ王国に強襲を仕掛けたいから、戦力として加わって欲しい。報酬は戦勝金の三分の一、どうかな?」


 くだらないご機嫌取りの序章は要らない。前置きはすっ飛ばして要件だけ伝える。


「元の戦勝金は幾らなんだ?」

「それは正直予想出来ない。出来ないんだけど、グラティーナ王国に払えるだけ払わせるつもりだよ」


 今回の強襲が国の外で止められるのか、街の中で止められるのか、それとも王の喉仏にナイフを突き付けられるかで報酬は変わってくる。


「なるほど。逆に言えば、幾ら額が増えてもくれるってことか」

「話が早くて助かるよ」

「失敗の可能性は?」

「ほぼ無いと思ってるよ。……ていうか、それは君次第でもあるからね?」

「それもそうか」


 扉がノックされた。次にやって来たのはエリスだった。彼女にも同じ割合で報酬を提示する。


「グラティーナ王国だったら私は構わない」


 その言葉は取れる額が予想出来ているからか、それとも、その国には情がないって意味なのか、私にはわからなかった。


「だが、わかってるとは思うが、国家転覆に近い事をしようと言うのだ、私のようなオリハルコンランクの冒険者が出て来た場合、ルビア殿やリョウ殿のように動く事は出来ないぞ?」


 エリスは依頼の最終確認と、自らの腕に対する双方の認識のすり合わせを求めてきた。


「それは大丈夫。そういう時は基本的に陵に対応してもらって、オブザーバーでルビアに対応してもらうから」


 何処ぞの英雄如きで止まる二人じゃない。頼もしい限りだね。


「あ、わかってるとは思うけど、略奪は禁止ね」

「するわけないだろう」

「興味無いな」


 エリスは少し怒ったように、ルビアは本当に興味が無さそうに言った。

 少数精鋭は戦争後の略奪が無いから、気を張る必要が無くて楽だよね。これが大軍だったら、どんなに神経をすり減らしたって抑えられない。


 ここが量より質が上回り易い世界で、本当に良かったなって思うよ。

 ルビアとエリスに三分の一ずつ、かなりの大金を渡すことになるけど、彼らには渡すだけの価値がある。それも勝ってからの話だから、まだ気分が早いけどね。


「二人は準備が必要?」

「鎧を着る時間だけくれ」

「俺はこの剣があれば良い」


 エリスは何処からか軽そうな胸当てと腕鎧と脚鎧を取り出して、素早く装備した。

 オリハルコンランクの冒険者には、レイアで言う所の空間魔法の代わりになる道具が必需品なのかもしれない。


「陵は大丈夫だよね?」

「まあ、だな」

「じゃあ早速、外に行こうか」


 私、陵、エリス、ルビアの四人で家の外に出た。


「シルフィーネ……は居ないんだった」


 エルフの国を好きにして良いから報復してきてって命令をしてから、帰ってきてないんだった。


「ん、どうしたのかしら?」


 にゅって、見知った精霊王の姿が現れた。


「うっひゃあ!? ……エルフの国だか里だかはどうしたの?」


 居ないと思ってたから、滅茶苦茶びっくりしてぴょんぴょんと飛び跳ねてしまった。


「王城を吹っ飛ばしてきたわ」

「やってる事がエグいね」

「それで、色々とあって帰ってきた所よ」

「なるほどね。じゃあ、早速で悪いんだけど、グラティーナ王国の王城の上に私達を運んで貰って良い?」

「急だし、とても局所的な目的地ね。何かするの?」

「戦争?」


 国と国の争いだから実質戦争だと思うけど、私達が少数精鋭過ぎて、どう見たってそうは見えないよね。


「この四人で戦うのね。……やり過ぎないようにしなさいよ」

「大丈夫大丈夫。多分だけど、王様を脅したら終わると思ってるから」


 国を上げて抵抗されたとしても、私達に負ける気は無いけどね。

 でも、通り道の途中で進軍してるグラティーナ王国軍が居たら、もちろん全てを倒してから王城に行くよ。

 王様を脅すだけだと、国全体を脅した事に繋がるかはわからないってことと、大外的に見てもあの国やべーなって思わせないと、また次また次ってイタチごっこになるだけだからね。

 周囲を威嚇するには昔はこんな事あったよって、明確な記憶や記録が必要なんだ。


「ミレイ、運ぶわよ」


 私達四人の足元が地上から離れた。そうして、地面を見下ろしながらグラティーナ王国に向かった。


 少し飛んでると、道すがらに多くの灯火が列になってるのが見えた。

 武器を携えて軽装鎧を着込んだ人達の顔が灯火に照らされる。しっかりとした鎧じゃないのは、私達の国が山頂にあって、歩き辛い場所を歩き続けないといけないからだと思う。


「シルフィーネ、その灯火の前で一旦下ろして」


 もしかしたら、この軍がグラティーナ王国じゃない可能性もあるし、一応所属の確認をしたいなって思った。


 軽くニ、三言交わして、グラティーナ王国だってわかった。


 じゃあ、この軍に退場してもらおうかな。


 太陽王モードの私の力を、右手に持った光線銃に集中させる。そのまま引鉄をひいた。眩いほどの光線が奔流を纏ってグラティーナ王国軍を貫いた。

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