表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/145

第1話-報告

「では、報告を始めます」


 久方ぶりに家に帰ると、まずは早速、レイアから報告会が行われた。


「まずはダンジョンについて」


 そう言えばそうだった。レイアをダンジョンマスターにしたんだった。


「まだ未知な部分は沢山ありますが、魔物を生み出すことは出来るようになりました」

「まだ周りに開放はしてないんだよね?」

「そうですね。まだ外に向けた出入口は作ってないので、誰かが入ってくることも無いです。

 まだ当分、ダンジョンを他者に開放する気は無いです」


 まだ作ったばっかだしね。使い方も微妙にわかってないっぽいから、そこに人を放り込むわけにもいかないよね。


「次は、他国についてです。こちらを見てください」


 レイアが出したのは複数の手紙だった。


「複数の他国から、ミレイさん宛に書簡が届いています」


 これ全部私宛かぁ……


 面倒くさいなぁ……


「そう面倒くさそうな顔をしないでください」

「レイアは確認した?」

「はい。確認しました」


 国王代理だしね。

 速報だったりしたら、見ないわけにはいかないから、人の手紙を勝手に見るのは普通じゃないかもだけど、今回の場合はその方が良い。


「気になるのあった?」

「まあ、何件かありましたね」

「説明して」

「はぁ……、自分で読んでくださいよ」

「時間もったいないでしょ」


 こんな沢山読んでたら、報告会が終わっちゃうよ。


「一つは、リリアーナを返せという手紙……えっと、これですね」

「リリアーナを返せ? 何処の国の王族だったんだっけ?」


 国名なんて覚えてない。その時に覚える価値があると思わなかったから、すっぽり抜け落ちるように忘れてる。


「グラティーナ王国です」

「ふぅん。ま、無視で良いんじゃない?」

「正直なことを言えば、武力行使されても不思議では無いです。それくらいのことが書かれてました」


 出来たばっかりだからって、簡単に潰せると思われてるのかなぁ。先にこっちから仕掛けるのもアリかもね。

 ただ、ぶっ殺せば終わるような簡単な話じゃないから難しいよね。


「他は?」

「二つ目はエルフの国からです」

「エルフ……心当たり無いけど、なんだろう」

「なんでも、精霊王を返せとか」


 そう言えば風の精霊王(シルフィーネ)って、エルフ達と関わりあったね。だから、ハイエルフがどうのとか言って、私に助けを求めてきたんだもんね。


「シルフィーネ」

「帰らないわよ。あの子にしたこと、結構ムカついてるんだから」

「あそ、それはどうでも良いよ。レイア、こっちが何もしないとどうするって?」

「こちらも、様々な手段を用いて攻撃……まあ、つまり、脅しですね」

「エルフ……ね。全員捕まえて奴隷商人に売りつける?」

「ちょっと、ミレイさん。王様らしからぬことを言うのは止めてください」

「高いんでしょ?」

「高いですが、大っぴらに売りつけると人族以外から睨まれます。止めた方が良いです」


 エルフ一体にかなりの値がつくのは知ってるから、向こうが仕掛けてきたら、捕まえて売り捌けば良いと思ったんだけど、レイアの反応的には止めた方が良さそうだね。

 確かに、今の段階で敵を作るのは止めた方が良いね。


「シルフィーネ、今からエルフの国に行って、この手紙の主を懲らしめてきて。君の鬱憤を叩き付けてしまっても構わないよ」

「え、良いの?」

「良いんじゃない?」

「じゃあ、行ってくるわ」


 シルフィーネが消えた。エルフの国は正直関わりたいと思わないから、風の精霊王サマに完全に丸投げしよう。


「次」

「早急に対応が求められるのはこの二つです。三つ目以降は自分で手紙を読んでください」

「えー……わかったよぅ」


 面倒くさーい。やらなきゃいけないのはわかるけど、面倒なモノは縦読みしても斜め読みしても面倒なんだよね。


「じゃあ、ダンジョンと他国以外で何かある?」

「今のところは特段困ってないですが、住民についてですね。身寄りのない子供達には第一区画と呼ばれる場所に住んでもらいます。管理が面倒なので」

「第一区画ってどの辺なの?」

「ここら辺です」


 地図を見ると、第一区画は私達の家に近い場所だとわかった。近いのにも意味があるんだろうね。


「他の区画は?」

「まだ第二区画を作った程度で、それ以上は特にといった感じです。あ、第一区画の子供達なのですが、観光業の案内に回そうと考えてます」

「観光業?」

「綺麗な湖があるじゃないですか。見に来たいと仰られる他国の貴族の方も多くてですね」

「子供に貴族の相手をさせて大丈夫?」

「身なりを綺麗にさせれば大丈夫でしょう。多少の行き違いがあっても、こちらの文化だと押し通せば大丈夫です」


 そりゃそうか。国によって文化が違うのは当たり前だし、皆が皆上手く対応出来なくても良いのか。


「今はリリアーナが子供達に立ち振る舞いを教えてる次第です」

「ふーん、なるほどね」


 元王族出身のリリアーナなら、そこら辺は上手くやれるだろう。綺麗な湖を放ったらかすのは勿体無いし、他国の貴族からそんな発言が聞けただけ儲けモノだね。


「それくらいかな?」

「はい。大体は終わりですね」

「大体?」

「そろそろ、他国からの使者が沢山来る頃なので、出来ればミレイさんにはこの地に留まって欲しいんです」


 どっか行ったらダメって? 王様面倒くさいなぁ……


「私だけだとちょっと心細いと言いますか……なんというか……」


 レイアは少ししょんぼりしながら言った。その容姿でしょんぼりされたら、ただの可愛い美少女でしかない。仕方ないかぁ……


「色々と頑張ったご褒美に、頭を撫でてあげよう」

「なんですかそれ」


 呆れた顔をしながら、けれども、私の隣の椅子にちょこんと座った。こういう所がマジで可愛い。

 頭をゆっくり優しく撫でると年相応の顔になった。なんかちょっと猫みたいで、ゴロゴロゴロゴロと音が聞こえたようにも思えた。


「リリアーナも来る?」

「えっ、いや、私は……」


 羨ましそうな目をしてたから、軽く声を掛けてみたら、めっちゃ焦られた。そりゃそっか。リリアーナからしたら、私は上司の上司だからね。


「好きにして良いですよ」

「隣に椅子を持っておいで」

「……はい」


 私とレイアの言葉に逆らえず、リリアーナはレイアの反対に椅子を持ってきて腰をかけた。

 リリアーナの頭にも、レイアと同じように手を置いた。どちらも美少女で、完全に両手に花だね。


 暫くは自国でのんびりしようかな。

 陵が作りたいシステムの素材は、探しに行った所でそう簡単に見つかるもんじゃないしね。


「レイア、この国の資金面ってどうなってるの?」

「殆ど無いですが、この国の生活は資金を必要としないのが現状なので、そんなに困ってないんですよね。最悪は私のポケットマネーから出して、勝手に回収するので大丈夫です」

「今はそうなっちゃうよねー」


 レイアが持っている大金で、何とか色々と対応してる状態だけど、私達の国は基本的に無一文に近い。

 お金を落とす人も居ないし、お金が回る仕組みもない。完全に終わってると言えば終わってる。


「子供達の炊き出しって、冒険者も来てるんだっけ?」

「山菜狩りの護衛をしてくれた冒険者のみに、お譲りしてる形になります」

「あーね。じゃあ、それが食べたかったら他の冒険者からはお金を取ろうか」

「そう……ですね。トラブルになりそうですけど」

「まあ、そこは要相談かな」


 金銭の価値を付けると、トラブル事が増える可能性はある。子供達だけの炊き出しで、汚い大人が強引な手段を取らないとは限らない。でも、いつまでもこのままだと、いつまでも経ってもこの国は先に進まない。


「あ、レイア。これを国の財源に足して」

「……白金貨5枚、ですか」


 私が渡した麻袋には白金貨が入っていた。武闘大会の優勝賞金だ。もちろん陵には許可を取ってるよ。


「必要になったら使います」

「ん、そうして」


 私達にはそんな大金要らないからね。


「そう言えばこの国ってさ。何処かの国に攻められた時はどうするの? そもそも、攻められた事に気がつけるの?」


 戦争に対しての備えをしないと、結構やばい気がする。


「場所が場所ですから、そこまで焦って構える必要はありません。ですが、見張り台を作って、山下の方を監視はして貰ってます」

「魔物とか大丈夫?」

「そう言えば、魔物なんですけど、この国に出現したのを見たことが無いんですよね……」

「そんなことある? だって、ここは下に森が広がる山の頂上だよ?」


 国が出来る前はちょくちょく陵が魔物を狩ってたし、周辺に魔物が存在してないわけじゃない。

 もしかして、魔物避けの何かがあったりするのかな。私は心当たりがないけど、レイアも勝手にそんなことを出来るとは思わないから、となると、やっぱり私が知らないうちにやってる可能性はあるね。


「やっぱり不自然ですよね。それも踏まえての見張り台なのですが、人手はもちろん足りてません」

「だよねー。今日連れて来た人達の中から、そっちの仕事に回した方が良いかもね。武闘大会に出るくらいだから、腕に自信はあるだろうし」

「あー、それは考えてませんでした。明日提案してきます」


 魔物に襲われた時も、腕っ節か強いのか弱いのかで大分違うだろうしね。

 アマたんに聞いてみよう。もしかしたら、あの人が何かをしてるかもしれないから。


「必要な報告はこれくらい?」

「ですね」

「二人共お疲れ様、いつもありがとね」


 年端もいかない賢過ぎる美少女の頭を、髪を空くように指を通す。


 この子達にも、いつか、何かしてあげないとね。


 この世界がどうなのか知らないけど、沢山遊んで、恋をして、そんな私にとって当たり前なことを、彼女達は経験した事が無いんだよね。


 それだけは、忘れないでおこう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブクマ・ポイント評価お願いします!

小説家になろう 勝手にランキング

学園モノはカクヨムにて→欠落した俺の高校生活は同居人と色付く。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ