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ぶちょー、今度の人事異動は異世界ですって  作者: しゅーまつ


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庭に熊がいた

「ミーシャって魔法使えるの?」


「はい、と言っても少し火魔法が使えるくらいですけど」


「いくつくらいの時に使えるようになったの?」


「学校に入る少し前だったので、7歳だと思います。家事が私の仕事だったのですけど、かまどの火を点けるのがなかなか出来なかったんです。毎日、早く火が点け~火が点け~って思ってたら火魔法が使えるようになりました」


「なるほど。ミーシャは色々出来て優秀だね」


「とんでもないです。毎日サラさんとかに怒られてばっかりですよ」


「あいつ怖いからなぁ」


「そうですね、へへへ」


朝食前にたわいもない話で盛り上がる二人。



「あ、そろそろ朝ごはんですね。食堂へどうぞ」


「はーい」







「ジョン、学校の勉強の方はどうだ?もうすぐ1年目が終わるが」


長男に話しかけるアーノルド。


「文字は全部覚えたけど、計算が難しいんだよな。10までの足し算は大丈夫だけど、10超えたら指が足りないんだもん」


「そうか、その気持ちはわかるぞ」


・・・ジョンよ、それは指が足りんのではなく、脳が足らんのだ


それにアーノルドも計算苦手だったみたいだな。遺伝か?


「ベントは文字覚えたか?来年学校でも習うが、貴族の子は先に覚えておかないとバカにされるぞ」


「だ、大丈夫だよ・・・」


コイツ、あんな文字とはいえんようなやつ書いてたくせに、本当に書けるようになったのか? サラがキーッってなってるのが目に浮かぶわ。



「ゲイルはだいぶ話せるようになったなぁ。まさかこんなに早くからしゃべりだすとは驚いたぞ。この分だと文字を覚えるのも早そうだな」


「しゃべる しゃべる ゲイルしゃべる」


きゃっきゃっと笑いながら答えてやると二人とも喜ぶからな。ちょっとした親孝行だ。



チラっ


おぉー、怖ぇ。サラがめっちゃ睨んでる。ベントが文字覚えるの遅いのは俺のせいじゃないぞ。




「あなた達、そろそろ準備しなさい」


「はーい」



「ミーシャ、私も行くから後はお願いね。ゲイル、ゆっくり食べてていいわよ」


「いってらっちゃい」


「まぁ、ありがと!」




もうすぐ2歳になるので、家でも少しずつ話すようにしている。怪しまれないような言葉使いでだけど。


それでも初めは驚かれたけどね。




「ぼっちゃま、もうご馳走さまでいいですか?」


「うん、ごちとうたまでちた」


「プッ・・・、それでは今日は何をしましょうかね? お天気がいいから散歩にでもいきましょう」


・・・・

・・・・・



外に出る二人。


「おい、ミーシャ。笑うなよ」


「すみません、あんなわざとらしいしゃべり方がおかしくて」


「そりゃ、自分でもおかしいけどさぁ。まだ普通にしゃべるの早いだろ?」


「そうですねぇ、クスクス」


ったく、俺の方が恥ずかしいっての。



「なぁ、ミーシャ、ちょっと町の方に行ってみたいんだけど無理かな?」


「そうですねぇ、私だけだと何かあった時に守れませんし、ぼっちゃまもそんなに長く歩けませんよね? だいぶ重たくなったのでずっと抱っこするのも無理ですよ」


「そうだよなぁ。何かいい方法ないかなぁ。家と庭だけじゃ退屈なんだよ」


「そうですねぇ、旦那様も奥様もお忙しくて、ぼっちゃまといるのもご飯の時だけですもんね」


「そうだよ、もうすぐ2歳になるのにどこにも連れてってくれないんだよなぁ」




「よう!ミーシャ、ぼっちゃんと散歩か?」


力仕事担当のダンが話しかけてきた。

庭の手入れや荷物運んだりする大男だ。2m近くあるんじゃなかろうか。腕とかびっしり毛が生えてるし熊みたいだ。


「あ、ダンさん。今日はお休みですか?」


「おう、今日はする事ねぇから休みにしてもらった」



休み!?


こそっとミーシャに話しかける。

(なぁ、ダンが町まで連れてってくれないかな?)


(わかりました。ちょっと聞いてみます)



「実はぼっちゃまに町を見せてあげたいなと思ったんですけど、私だけじゃ危ないかなぁと思って」


「そりゃダメだ。町には悪いやつらもいるからな。領主様の息子を拐おうとする馬鹿が出るかもしれん」


「やっぱりそうですよねぇ。」


「なら、俺が付いていってやろう。ぼっちゃま退屈してるんだろ?」



おぉ、ダンいいやつじゃねーか。


それにミーシャ誘導が上手いな。

ダンの性格を読みきった誘導だ。



「え?いいんですか? せっかくの休みになのに」


「まぁ、ほらあれだ。酒とか買いにいこうかと思ってたからついでだ、ついで」


照れ臭そうに笑うダン。


ん?もしかしてミーシャに気があったりするのか?


ミーシャは俺のだ、お前にはやらんぞ。



「ミーシャ、奥様に町に行くことを伝えといてくれ。おれも出掛ける準備してくる」


「わかりました」


こそっ

(上手く行きましたね)

(さすがミーシャだ!)

(へへへっ)



町かぁ、ちょっと楽しみだなぁ。

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