お父さん
ちょうど射撃場からみんなが戻ってきた
「ぼっちゃん、ありゃいいな。心おきなくぶっぱなせるぜ!」
「坊主、ずいぶん的との距離が取ってあったの」
「魔法攻撃は遠距離から攻撃出来るのがメリットだからね、あれくらいの距離で100発100中で当てられるようにならないと効果半減でしょ?そうじゃなきゃ使い慣れた武器の方がいいじゃない!?」
「弓なら当てられるんだがな」
「弓も魔法も一緒だよ。的への集中力だから」
「くっそ!俺も早く撃てるようになりたいっ!アイナも撃てたのに。」
まだ魔力があまり回復していないアーノルドは見ているだけだったらしい。アイナはアーノルドの銃を使って水魔法をバンバン撃ってきてスッキリしていた
「ちょっと早いけど帰ろうか。ベントより先に父さん達は屋敷に戻った方がいいんじゃない?」
「そうだな、じゃ帰るとするか」
俺はそこでシルフィードの話をせずに屋敷の執務室ですることにした。
屋敷にはアーノルド達と別々に戻るので俺達は商会で他愛もない話をして時間を潰していた。
「しっかし俺達がミスリル銃で魔法を撃った時のアーノルド様の顔は面白かったなぁ」
「まったくじゃ、予想通りの反応で笑いがこらえられんかったわい」
カッカッカッカ、ガッハッハと笑い出す二人。良い歳こいた大人のすることじゃないよね。俺も面白かったけど。
「おやっさんから親方に森の資材の引き取りの件を言っておいてくれる?道の整備が出来てからになるけど。」
「かまわんぞ。ミゲルも助かるじゃろ。建築ラッシュが続いておるから材木はなんぼあってもいいからな」
「なぁ、ぼっちゃん。アーノルド様が撃った火魔法はすげぇ威力だったな。ぼっちゃんがあれを使えば果樹園の開墾なんてあっと言う間じゃないか?」
「俺も考えたんだけどね、火災の心配もあるし、せっかくの資材を燃やし尽くすのはダメだと思うんだ。使えないようなやつばかりだといいかもしんないけど」
「そりゃもったいないのはもったいないな。」
「それに人前であんな魔法を俺が撃ったらどうなると思う?」
「まずいな」
「そういうこと。地道に開墾していくしかないんだよ。幸い切り株を枯らす方法が分かったから、いくぶんかマシになると思うよ」
「ぼっちゃん、人前で切り株枯らすつもりか?」
あっ・・・・
「な、なんか考えるよ・・・」
森の切り株はいいけど、果樹園の切り株はどうするか振り出しに戻ってしまった。
そろそろアーノルド達が屋敷に戻ったころだろう。俺達も戻ろう。
いつもより早い帰宅をしたので厨房へ向かう。ブリックも休みだけど、どうせいるだろうし。
「あ、ゲイルちゃま!お帰りなさい」
あれ?ポポもいる。休ませてないのか?
「ぼっちゃん、お帰りなさい。ずいぶんと早かったですね」
「ブリック、ポポに休みあげてないのか?」
「いえ、今日は休みですよ。部屋に一人でいるのもなんなので、一緒にお菓子作ってたんですよ。」
そういうことか
「で、何作ってたんだ?」
「薄力粉と卵を混ぜて焼いてみたんです。これなら簡単ですし」
あー、パンケーキか。
「これはパンケーキってやつだ。軽食やおやつになるな。これをどうやって食べるつもりだったんだ?」
「ハチミツ付けて食べようかと」
「もうちょっと豪華にするか?」
俺は牛乳を加熱してレモン汁を加える。
「わ、なんかもらもらしてきましたよ」
「このもらもらしたやつを布の上に出して水分をとる。残った水分はまた使うからまた鍋に戻す。残った水分を再加熱してまたレモン汁投入。またもらもらが出てくるからそれも同じように布で水分をとる」
二つのもらもらをそれぞれボールに入れて、魔力水を少し加える。ハンドミキサーで滑らかになるまで混ぜて出来上がり。
「これを焼けたパンケーキに乗せて、好みでハチミツかけて食べてくれ」
「なんか美味しそうな匂いがしますぅ~」
あ、ミーシャが匂いに釣られてやって来た。
「ミーシャ、シルフィードも呼んで来てくれ、みんなで食べよう」
「わ、美味しいです。このクリームみたいなのなんですか?」
「これはチーズだよ。お菓子むけのね」
「ぼっちゃん、チーズってこんなに簡単に出来るんですか?」
「どっしりした旨味はないけど、お菓子にはちょうどいいだろ?これを生地に練り込んで焼いたらチーズケーキも出来るぞ」
「め、メモを取って来ますからレシピ教えて下さいっ!」
休みなのにブラック体質だな。
「あら、アナタ達何を食べてるのかしら?」
アイナも匂いに引き寄せられるようにやって来た。
「ミーシャ、悪いけど父さんも呼んできて。もう皆で食べよう」
それからブリックはひたすらパンケーキを焼き、チーズを作った。
「ゲイルちゃまってすごいです。こーんな美味しいものたくさん知ってて。ポポ、ゲイルちゃまのお嫁さんになりたいなー」
ぎょっとする皆
「そうだね、ポポがもっとおっきくなったらね。」
「ポポ、ゲイルちゃまより大きいもーん」
あ、そうだった。
パンケーキで結構お腹ふくれたな。
晩御飯どうするかなぁ。この時間まで戻ってきてないベントは外で食ってくるだろうし。俺達もそんなに食べられないだろう。
「父さん達、晩御飯どうするの?ブリックは休みだよ。」
「あぁ、そうだったな。ベントはセバスと外で食べてくるだろうから俺達もなんか食いにいくか」
「パンケーキ食べたからあんまりお腹空いてないよ」
「ん?そうか?」
アーノルドはまだまだ食べられそうだな。
「じゃ串焼きかなんか買ってくる?それなら皆食べたい量調節出来るし」
「そうだな、そうしよう。どれ、俺が買ってきてやろう。」
「父さんが串焼きの屋台なんかに行ったら大騒ぎになるよ。俺がダンとミーシャで行ってくるから。」
そんなことあるもんかとぶつぶつ言うアーノルド。自分で選びたかったのかもしれないな。屋台の醍醐味でもあるし。
「そんなに自分で行きたいなら一緒に行こうか。でも屋台の人がお金いらないといってもキチンと払いなよ。」
「そんなことは分かってる。おし、ミーシャ、ダンも呼べ。皆で行こう。ブリックとポポはどうする?」
「だ、旦那様と一緒にだなんて・・・」
オロオロするブリック。小屋とかで一緒に飯食ったりしてるのに買い物はまた違うのか?
「ポポ行きたーい!」
「よーし、じゃ一緒に行くぞ。ポポ、肩車してやろう」
アーノルドはポポをひょいと肩に乗せた
「わー!たかーい!それになんかお父さんみたいな匂いがするー!」
ポポよ、それは加齢臭だぞ
「シルフィード、ごめんね疲れてるのにまた出掛ける事になって」
「いえ、街の中をブラブラするのは楽しいです。村にはこんなのありませんので」
「そっか、ならいいんだけど」
「お父さんってあんな感じなんでしょうね。ポポちゃん嬉しそう」
ポポを肩車するアーノルドを見て少し羨ましそうなシルフィードだった




