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二話


 暇だったので書いちゃいました!。



 コップの中の水を全て飲み終えた俺は、クリスタからもう一杯水のおかわりをもらい、今度はゆっくりと水分を補給し始めた。


 それから俺は、さっきからずっと気になっていたことを尋ねることにした。


 「なあ、クリスタ。さっきから気になっていたんだが、ここって今はどの季節なんだ?」

 

 そう、俺がずっと気になっていたこととは今の季節のことだ。気温で大体どの季節か判断することもできなくはないが、今はまず先に異世界に来た時から俺が着ていた服装を説明することにしよう。黒の薄手の生地でできた長袖のシャツとズボンに、濃い灰色の薄手のフード付きコートだ。デザインは、俺の世界の現代での衣服とほとんど変わらないので、テルンが気を利かせてくれたのだろう。さて、これで何が気になっているのかと言うと、この世界に来てから気温の寒暖をほとんど感じないことだ。


 テルンが用意してくれたのだろう、衣服などには特に変わった様子はないと見ている。実際に、ここまで来るのにそれなりに汗をかいてきたので、この衣服に"特殊な能力"が付与されているなんてことはないと考えられる。


 つまりこの衣服などは、テルンがこちらの季節に合わせて送ってくれたのではないかということだ。


 まあ、あの神のことだから、特に何も考えず適当に選んだ可能性も大いにありうるだろうが。


 「今の気温から推測するかぎりでは、季節はおそらく夏だと思われます。ですが、ちょうど秋の季節への移り変わりの時期であると私は推測します」

 

 なるほど。ならば、この少しだけ涼しくてすごしやすい服装にも納得だ。どうやらテルンのやつも、ちゃんと考えてくれていたらしい。

 

 それよりもクリスタはやっぱりすごいな。自分の推測にほぼ間違いはないと、確信しているようだ。やはり自分の能力をちゃんと信じられる人はとても頼り甲斐があるな。


 「なるほどね。教えてくれてありがとう」

 「はい。どういたしまして。他にも聞きたいことがあれば、なんでもおっしゃってください」

 「そうだなー……あっ!そうだっ!これはついさっき聞こうと思ったんだけど、この世界の魔法について教えてくれないか?」

 「かしこまりました。僭越ながら、この世界の魔法について簡単に説明させていただきます。まず、この世界の魔法はイメージさえ掴めれば、理論上は大抵なんでも思うように魔法を発現させることが可能です。一見、魔法は万能なようにも思えますが、完璧にイメージを掴んだところで、その魔法を扱うための技量や素質が欠落していれば、その魔法を発現させることはまず不可能です。例えば先程、私が使ってみせた魔法ですが、水を出すだけの魔法ならば一般の方々などでも簡単に発現できますが、鉄でできたコップを作成したり氷を出したりする方の魔法は、熟練の魔法使いでも発現できる人は限られます。鉄の塊を出すだけでもかなり具体的なイメージを要求されますし、たとえ一般の方が魔法を発現させることができたとしても、基本魔法属性を発展させた鉄などの創造にはかなり複雑な魔法行使技術と多量の魔力が必要なので、一般の方では魔力量が足りず、一日に出せる鉄の量は小石一個分くらいが限界でしょう。人族よりも魔法行使技術や魔力量において長けているエルフ族は別ですが」


 ほう、つまり魔法はイメージが一番重要ではあるが、そのためにはちゃんとした修行も必要不可欠だとそういうことか。簡単そうな魔法なら俺も少し使ってみようかな。てかやっぱりエルフはいるんだな。他にも違う種族いるのかな?………美女エルフ…会いたいなぁ。そんな邪なことを考えていたからなのか……


 「ご主人様は……エルフ女性のメイドの方がお好みでしたか?」

 「ちょっっ!?えっ!?何!?いきなりどうしたの!?」


 まるで俺の心を読んだかのような突然の言葉に、俺は盛大に取り乱してしまった。そんな、動揺を隠しきれず狼狽えている俺にクリスタは、そのかわいい猫耳をへにょりと倒し、その綺麗な顔に小さな影を落とすのだった。言葉にも少し悲しみが感じられた。そんなクリスタの表情を見た俺はというとーーー


 うっ〜!!かわいいなおい!!!!……と、心の中で密かに悶えていた。おそらく嫉妬してくれているのだろうとはすぐにわかった。それはべつに、俺に恋をしているとかそういうことじゃないというのはわかっていた。彼女は俺が設定し、そしてテルンに作られた存在だ。それが、忠誠心が高いが故に嫉妬させてしまったのだろう。だかそれでも嬉しいものは嬉しい。こんなところでまで主を喜ばせるとはなんて優秀なメイドだろう。俺には鈍感系ハーレム主人公のような察しの悪さは常備されていないので、この可愛い生き物の可愛さを知り、それを感じることができる。それがこんなにも幸せなことなのだと知らない鈍感系主人公たちには、本当に同情を禁じ得ない。


 だが、このままうちの可愛いメイドをずっと悲しませたままにするのは、さすがに自分の良心が許せなかったのですぐに否定することにした。


 「そんなことないよ。俺がこうして君を選んだんだからさ」

 「そうでしょうか?」

 「ああ、そうだとも」


 "安心してくれ"とそう言う俺に、まだ若干表情に影が差しては入るものの、少しは安心してくれたのか、頭にある猫耳は先程までのように、ピンっ!と上を向いていた。


 



 



 


 

読んでくださりありがとうございます!。

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