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一話 

 

 未定とか言っといて結構はやく作っちゃいました笑笑。


 たくさんの人に読んでいただけると嬉しいです。



 青い光に包まれた俺たちは気がつくと、テルンの言っていた魔の森に到着していた。明るい木漏れ日がさす鬱蒼と生い茂る木々に囲まれた俺たちはまず最初に、互いの存在を確認した。それから俺は、初めて降り立った異世界の地に好奇心が抑えられず、チラチラと周囲の様子を窺っていた。すると…


 「ご主人様、これからどういたしましょうか?」

 「ん?そうだな、とりあえず今日の寝るところと食料の確保はしておきたいなぁ。クリスタからは何か意見ない?」

 「そうですね。周辺の状況を確認したところ、この辺りには比較的強力な魔物は少ないので、しばらくはここを拠点にするのが良いかと存じます。それから食料のことなのですが、今は周辺に生えている草やキノコ、それと近くに川が流れているのでそこで魚を獲ることも可能ですし、周辺にいる獣を狩ることも可能です。それともう一つ、私たちが今いる現在地は魔の森の南側なのですが、魔の森は周辺が全て山で囲われているので、近くの山からもっとたくさんの山菜やキノコをとってくることが可能です」


 クリスタは「以上です」と締め括ると、すべて俺の選択に任せるのか、すぐに応答待ち状態となってしまった。ふむどうするか……というか、クリスタがめちゃくちゃハイスペックすぎてヤバい。俺が周辺をキョロキョロしている間に、周辺の状況を一瞬で確認し、色々と案を考えてくれていたようだ。現在地を一瞬で判断するとかどんな手を使ったんだろうか?それに山なんてどこにも見えないのだが。いったいどこまでが、君にとっての周辺の状況確認なのかは気になるところではあるけど……


 まあ、とりあえずは……


 「そうだな。クリスタが安全って言うなら、しばらくはこの辺りを拠点にしようか。それから、食料のことはクリスタに任せるよ」

 「かしこまりました。それでは、ここは木々が多いので少し開けた場所に移動しましょう」

 「了解。先行は任せたよ」

 「かしこまりました。では、僭越ながら先行させていただきます」

 「うん。頼んだよ」


 そうして、俺たちは森の中を移動し始めた。移動を始めてから20分ほどが経過した。先行しているクリスタは、森を歩くにはさぞかし不便であろうメイド服に加えて、膝下までを完全に覆っている革のブーツを履いて移動しているが、全く疲れた様子を見せない。それと、スカートの下から覗く白く細い尻尾がゆらゆらと揺らされていてとてもかわいい。癒される。慣れない森での移動のせいか、俺の方はすでに疲れているのだが、さすがにまだ根を上げるのは男としてもさすがに少し恥ずかしいので気合を入れ直して歩き続ける。それからさらに10分後―――


 「ご主人様、そろそろ休憩にいたしましょうか?それとも私がおぶりましょうか?」

 「そうだね。そろそろ休憩にしようか。それと、休憩が終わった後の移動はおぶってほしいかな」


 即答した。気合を入れ直してわずか10分という短い時間でありながら、俺の体力はすでにもう限界だった。もともと帰宅部でありながら、昔から疲れるようなことをすることを避けて、体力を使うことをあまりしてこなかったので、俺の体力は小学校低学年レベルかそれ以下なのだ。


 そして、道中でもしょっちゅう俺のことを気にかけ、いち早く俺の体力の限界を見破ったらしいうちの万能メイドは、俺に対して気を遣い休憩時間を設けてくれただけでなく、おぶることまで提案してくれた。まさに天使だ。そして、これ以上ない母性を感じるまである。やはり何かに目覚めそうだ。今もそんな俺を、その細く綺麗な瞳で優しく見守ってくれている。そんな見つめられると照れるのだが。


 おぶってもらうかの提案には、迷うことなく甘えさせてもらった。男としてのプライド?はっ、少しでも楽ができる選択肢があるのならば、俺はそれを選ぶ男だ。それに、年上の美女メイドにおぶってもらうとか普通にご褒美だろ。あれ?それって俺だけか?俺だけか。まあ、それでも俺がこの選択を後悔することは一生ないだろう!


 そんなバカなことを考えていると、クリスタが木の幹に腰掛け休んでいる俺の視線に合わせて腰を下ろした。


 「ご主人様、お飲み物はお茶かお水どちらが良いですか?」

 「ん?……あーそうだなー……って、ん!?今なんて?」

 「お飲み物はお茶かお水どちらがよろしいですか?」

 「ちょっと待て待て待て!!どこからお茶なんて出るんだよ!おかしいだろ!?それどころか水もないしコップもってないんだけど!」

 「ご安心くださいませご主人様。すでに道中で、少しばかり薬草を採取してきましたので問題ありません。それと水とコップに関しては、魔法で簡単に生み出すことができるので、こちらも全く問題はございません」

 「え、そうなの?ならいいけど。ってか、いつのまにか薬草なんか採取してたんだね?全く気が付かなかったよ。それと、魔法で水とコップを生み出すって言うのは興味あるな。それよりも、水の問題は最初から解決してたんだね?とりあえず安心したよ」


 お茶に関しては、どうやら彼女が道中で薬草を採取していたようだ。いつの間に採取したのかは、まったく検討がつかないが。

 

 それと、やはり彼女は魔法が使えるようだ。後で、魔法を使ってもらった後に、少し魔法について聞いてみようか?。まあ、とりあえず今は……


 「そうだな。それじゃあ、冷たい水み頼む」

 「かしこまりました。すぐご用意いたします」


 そう言い、クリスタは掌を上に向けると、瞬く間にクリスタの掌の上に金属製の丈夫そうなコップが現れた。そして次に、空中に水が現れコップの中に注がれていく。ついでに少量の氷も入れられていた。


 その一連の現象に、俺の意識は完全に置いてけぼりにされていた。


 「……………」

 「ご主人様?」


 呆然とするそんな俺に、クリスタが少し心配そうに声をかけてくる。そんな顔もとても可愛らしくてずっと見ていたい気もするが、あまり心配かけすぎるのも良くないだろうと思い、まだ若干驚いている心を無理矢理押さえつける。


 「大丈夫だよ。初めて魔法を見たから、少し驚いただけさ」

 「そうでしたか。それでは早速。ご主人様、お水をどうぞ」

 

 問題ないことを伝えると、ホッと安堵したクリスタはそのままそっと俺に水の入ったコップを差し出してきたので、俺はそれを両手で受け取った。


 「ありがとうクリスタ。おいしくいただくよ」

 「はい、どういたしまして。どうぞゆっくりお召し上がりください」


 俺がそっとお礼をしたのに対しクリスタも、誰もが見惚れるような清楚で涼やかな微笑をこしらえ、そっと俺の謝意を受け取った。その時、ピクピクッと一瞬だけ動いた猫耳がかわいすぎて、数秒の間その白い猫耳から眼が離せなかった。俺はそのあと、氷の入ったキンキンに冷えた水を勢いよく喉に流し込んだ。


 「くぅっ!」


 異世界で初めて飲んだ水は、キンキンに冷えていたからなのか、それとも目の前にいる彼女のおかげか、今まで生きてきた中でも一番の美味しさだったように感じた。


 


 


 


 


 


 ここまで読んでくださってありがとうございます!



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