森のくまさん!!
「ぐぎょおおおおおっ!」
「うわあああああっ!?」
森へと入った僕は今、大きな熊に追われています。
「ぐっぎょおおおおっ!!」
ドガッ!!
「ひでぶぅっ!!」
振り下ろされた熊の太い前脚はその大きな質量を持って足元を砕いた。その衝撃に煽られた僕は前のめりに倒れてしまった。
「ぐっぐっぐっぎょっ!」
独特すぎる鳴き声を上げながら、熊が迫ってきた。
僕は迫り来る熊を見ながら、「何故、こうなったんだろう」と逃避気味に考えるのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
それは森に入って暫くした頃、その時には既に三匹のプチラビットを倒していた。
「けどまさか一体目から『スキルオーブ』がドロップするなんて・・・」
僕はそう言いながら、インベントリに入った『蹴撃』スキルの『スキルオーブ』を見ていた。
『スキルオーブ』は、低確率で一部の魔物が落とすレアドロップで、その効果は『対応するスキルの習得』だ。
『スキルオーブ』を使えば、簡単に強くなれるのだ。
しかしなかなか手に入らないレアドロップが、まさかこんな序盤に手に入るなんて・・・。
「むふふ!早速使っちゃおう!」
僕はニヤニヤと愉悦に浸りながら、インベントリから『蹴撃のスキルオーブ』を取り出し、使用した。
>スキル『蹴撃』を習得しました。
「何だろう、もしかしてこれがビギナーズラックって奴!?」
少しばかり調子に乗って森の中にも関わらず、鼻歌を歌ってスキップすると、
目の前の茂みから大きな熊が現れた。
「・・・Oh」
「ぐっぎょおおおおおおおっ!!」
花咲く森の道〜♪クマさんに出会った〜♪
って、童謡じゃないんだけど!こんな事考えるなんて僕、動揺している!?どうしよう!と、取り敢えず・・・。
「は、ハロー・・・?」
片手を上げて、挨拶をした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ブラッドグリズリー
HP150/150
MP280/280
スキル
『剛力』
『自己再生』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「まさかの魔術師タイプ!?」
「ぐっぎょおおおおおおおっ!!」
「うひっ!?」
熊のステータスを見てしまい、絶望に叫ぶと、熊が雄叫びを上げた。
いや、これ本当にどうしよう!?死んだふり・・・は今更意味ないし、鈴・・・熊除けやそれは!!あっ!!リョー○ーパン・・・じゃなくて、猟友会に連絡・・・・・・いやここ、VRゲームの中ぁー!!
「取り敢えずは・・・逃げる!!」
すっ・・・と一歩下がると、僕は逃げ出した。
「逃げる事、脱兎の如し!疾き事、ぜか○しの如し!!」
木の根っこが絡み合い、足場の悪い森の中を必死になって駆ける僕。しかし、そんな抵抗も虚しく、呆気なく追いつかれて、冒頭に至るわけだ。
「えーっと・・・。同じ星に生きるもの同士、話し合いません・・・?」
尻餅をついた状態で、熊さんに話しかける。しかし、熊は所詮はプログラム。そんな僕の言葉も無視して情け容赦も無く、鋭い爪を僕の体に突き立てた。
そして、僕は初めての死亡を経験したのだった。