クラン①
「久し振りに街に来たなぁ」
僕は呟きながら街をキョロキョロと見ていた。
イベント後に追いかけ回されたので、今はローブのフードを深く被り、設定でプレイヤーネームを非表示にしたのだ。
少し悪目立ちはしているが、前回のように他のプレイヤーに囲まれずに済んでいる。
「しかし、クランか・・・」
ちらりと街並みを見渡すと、様々な紋章が刺繍された旗が軒先にはためいている家が並んでいた。
『クランハウス』。新しくFMLに追加された要素の一つで、クラン結成後にあるイベントをクリアすると権利を得られらとかなんとか。
「クラン限定のイベントとかも今後あるらしいし、僕もどこかに入ったほうがいいのかな?」
と呟くが、人見知りで不登校な自分に、そんな知り合いやツテがあるわけでもないので、ぱっぱと用事を済ませようと、NPCの店へと向かうのだった。
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「ふー、まあまあな量を手に入れられて、良かったよ」
インベントリの片隅に浮かぶ『火薬×105』の文字に、僕は少しばかりの満足感を覚えていた。
・・・まあ、結構すぐに消費してしまいそうだけど。
と、街を歩いていると、道の隅でおろおろとしている赤髪の少女を見つけた。
迷子系のイベントかな?と思い、近寄ると、頭上に浮かんだのは青色のカーソル。プレイヤーだった。
「あのー・・・」
「あ、はい!」
恐る恐る声をかけると、向こうも驚いたように返事を返した。
「ここで一体どうしたんですか?」
「あ、はい。実は・・・」
赤髪の少女・・・プレイヤーネームは『フレア』と言うらしい。の話を聞くと、フレアは初回のディスクを手に入れていたけど、風邪を引いたせいで今日までプレイ出来なかったらしい。
他の友人達とのLV差も大きく、クランも既に作られているようで、始めたばかりの自分が「入れて!」とも言いづらいようで・・・。
「・・・それで、他のプレイヤーさんに戦い方とかを教えて貰おうとしたんですけど、ちょっと緊張しちゃって・・・」
そう言って落ち込むフレアちゃん。しかし、僕にもどうしようもなくて・・・。
「・・・って、そうだ!ここまで話を聞いてくれたのなら、私とパーティー組んでもらえませんか?」
「へ?僕と?」
そう言って詰め寄ってきたフレアに思わず聞き返してしまったのはおかしくない筈だ。なにせ、突然すぎたのだから。
「あー・・・。まあ、良いけど」
「ありがとうございます!それで、あなたの名前は・・・」
「『ルクス』だよ。よろしくね、フレア」
「はい!」
僕は名前を名乗りながら握手を求めた。フレアもすぐに意図を理解して、その手を取った。
こうして、僕とフレアだけの仮パーティーが結成されるのだった。




