自己再生
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ブラッドグリズリー
HP132/150
MP280/280
スキル
『剛力』
『自己再生』
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(やっぱりそこまで削れてないか・・・)
ブラッドグリズリーのHPを見て、僕は少しげんなりとする。
(けど、勝たせてもらうけど!)
軽く跳ね、後ろの木を足場に『跳躍』を発動させる。
そして、弾丸のようにブラッドグリズリーへ一直線に飛び、『蹴撃』を食らわす。
「ぐぎょっ!?」
今度の蹴りは勢いも速度もかなりある。しかし、それでもブラッドグリズリーは硬い。
だからこそ、更なるアイテムを使わせて貰う。
「はっ!!」
ブラッドグリズリーの攻撃をギリギリで見極め、避けながら色々な状態異常を惹き起こす魔法薬を打つける。打つける。
目に見えて弱っていくブラッドグリズリー。僕はその光景を見ながら勝利を確信しほくそ笑んだ。
そんな時だった。突然ブラッドグリズリーの体が淡く光ったかと思うと、傷が癒え、こちらを憤怒の形相で睨むブラッドグリズリーの二つの眼と目があった。
「何故?」と思わず首を傾げたが、HPの欄を見て、直ぐに分かった。
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ブラッドグリズリー
HP150/150
MP139/280
スキル
『剛力』
『自己再生』
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『自己再生』のスキルだ。しかし、MPの消費を見ると、そこまで連発はできないのだろう。
「ぐぎょお・・・」
少しずつ迫り来るブラッドグリズリー。それを見ながら僕はつぶやいた。
「良かった。念の為に準備しておいて」
「ぐぎょっ?」
僕の様子にブラッドグリズリーは「あれ?」とでも言うように首を傾げた。それを傍目に、僕はインベントリから更なる『毒酸魔法薬』や先程も使った各種状態異常の魔法薬を取り出した。
「まだまだストックはあるからね」
「ぐ、ぐぎょお?」
僕はにんまりと笑い、それらの魔法薬をブラッドグリズリーへ向けて投げ付けた。
パリンッパリンッパリンッパリンッ!
「ぐぎょおおおおおおおおっ!!!」
再び身体を蝕まれ、ブラッドグリズリーは叫ぶ。弱体化したブラッドグリズリーへは、僕も襲い掛かり、『蹴撃』や『杖術』を使い、HPを削る。
「ぐぎょおおおおっ!!」
また、ブラッドグリズリーを淡い光が包む。『自己再生』だ。
しかし、そんなもの気にせず、『跳躍』で跳ねて、ブラッドグリズリーの再生した顔に向けて再び『毒酸魔法薬』をぶっ掛け、失明の状態異常を惹き起こさせる。しかし、まだまだこれからなのだ。僕とブラッドグリズリーの戦いは。
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「ぐぎょおおおおおおおおっ!!!」
「はああああああああっ!!!」
既に魔法薬が尽き、ブラッドグリズリーも『自己再生』を行える程のMPも無くなった。
ここから先は互いの力と力のぶつかり合いだ。
「はあああああああっ!!!」
「ぐぎょおおおおおおおおっ!!!」
ブラッドグリズリーは少し欠けてしまった爪を、僕は既にボロボロとなり、砕けてしまった鉄の杖の代わりの樫の杖を用いて、最後の勝負を仕掛けた。
振り下ろされるブラッドグリズリーの剛爪。僕はその動きを何度も既に見ている。
「ふっ!」
ギリギリまで引きつけ、外らすように躱す。そして、杖を横腹に打ち付け、更に『蹴撃』で追い討ちをかける。
「ぐぎょおおおお・・・」
ブラッドグリズリーのHPが0になった。それと同時に、あの強敵がプリズムとなり消えていく。
僕は遂に勝ったのだ。あの強敵に。