サービス開始
『バーチャルリアリティ』。それは、近年確立された技術で、所謂VRと呼ばれていた物だ。そのVR技術を存分に活用したゲーム、VRゲームは様々なジャンルに富み、幼児や青少年以外にも、主婦や高齢者も楽しんでいる。
そんなVRゲームの中でもVRMMOは特に人気だ。魔法や剣を使ってモンスター達と戦い、広大な未知なる世界を冒険する。それこそが、VRMMOが人気である理由だ。
そして今、新たなVRMMOのサービスが始まろうとしている。そのVRMMOの名は『フリーダムマーセナリーライフ』。通称『FML』だ。
βテストではそのプレイスタイルの自由度の高さに参加していたテスター達は驚愕したと言う噂が流れ、多くのゲーマー達がそのサービス開始を待ちわびていたのだ。
そして、『フリーダムマーセナリーライフ』のサービス開始日。僕もVRギアを持っていた。僕の名前は遠藤光樹。美容院に行かないからか少し長くなった髪と、中性的な顔立ち、そして成長期に余り背が伸びなかった為に同年代の友人よりもかなり低い背丈。
その所為で、僕は良く女児に間違われる。過去には間違えて誘拐されたこともあった。
僕は17歳だが、学校に通わず、そして中卒での就職もしていなかった。していることといえば株。僕は祖父に教えて貰った独自の手法で生活費を稼いでいるのだ。
そんな僕はVRゲーム初心者であり、この『FML』が初めてのVRゲームとなる。
「これがVRゲーム・・・」
ワクワクとしながら前もって買っていた新品のVRギアをニコニコ顔で触りながらその時を今か今かと待つ。そして、
カチッ
時計の針がサービス開始の12時を指した。
その瞬間、光樹は早速とばかりにVRギアを被り、電源を入れ、起動させた。
そして、僕の視界は白い光に包まれた。