北斗七星神器とオリオン七星魔器
目を覚ますと、俺はミラの膝枕で寝ていた。
焚火のわきで。
「ここは?」
「御主人様、良かった、目を覚ました」
ミラの流れ出る涙が口にぽたりと落ちた。
しょっばい。
「休息です。流石にケンちゃん達もずっとは走れないので」
焚火を俺、ミラ、ハイトン、シュルリー王女が囲んでいる。
マタザの周りをウロウロしている気配を感じる、見張りなのだろう。
「政宗、あんたはバカなの?オリオン七星魔器で増幅された魔法を北斗七星神器と言え、そのままぶった切ろうなんてできるわけないじゃない」
シュルリー王女が脇に座りながら言った。
「オリオン七星魔器?」
「あきれた、あんた、何にも知らないで、その剣振るっているの?」
「はい」
「北斗七星神器は人の神が作った神器、それに対抗するために魔王が作った魔器がオリオン七星魔器、こんなの常識よ」
すまない、この天叢雲剣は閻魔ちゃんに持たされて何も知らないんだ。
と、言葉にしたかったが出せない、呪いみたいなものなのか?
「北斗七星神器は、
私が持つ、ファラオの杖
マタザが持つ、ロンギヌスの槍
お父様が持つ、エクスカリバーの剣
ハイレッド・ジェネラル・ドラゴンが持つ赤龍の薙刀
プルートー先生が持つ、神々の刻印の福音書
ミラが持つ、天使の指輪
そして、あなたの天の叢雲の剣よ」
え?ミラとハイトンも?
「その神器に対抗するため始まりの魔王が作ったのがオリオン七星魔器よ。
詳しくはわからないけど、あの魔人が持っていたのは間違いなくそれよ。
お互いに神と魔王、七神器と七魔器の存在によってパワーバランスが保たれていたの。
それが、人間はおろかなることに魔王の手下にそそのかせれて、ロンギヌスの槍で神を刺したのよ。
もちろん、神は死なないけど人間の裏切りに心を痛めた神はアマの洞窟に籠られてしまったのよ。
それからと言う物、神の支配権を魔王が侵略しだして戦いになったの。
丁度、寒冷期となり作物も不作になってきてね。
このくらいの事知っておきなさいよね」
閻魔ちゃん、なんていうものを俺に持たせてくれたんだ。
間違いなく、物語の語られる側、スローライフを送れないじゃん。
「ミラも?ハイトンも?」
「ミラはね、王家が管理していた天使の指輪の適正に合格したの。
魔術士官学校ではね、主席に適正テストが行われるのよ。
ハイトンは代々家で受け継いでるものでしょ?」
いつもの中性的な姿のハイトンが焚火の火の明かりに映し出されていた。
首を縦に振っている。
「天叢雲剣は行方不明になっていたのよ、それをあなたが持っていた。
しかも、適任者としてね」
う~、なんだろ。
困ったな。
「自分の得物のくらい知っておきなさいよね」
ごもっともです。




