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シューリーとミーラ

え?名前、間違っているんじゃろ?

大丈夫です。


マタザが宮殿の奥に入っていくと俺は宮殿職員に部屋に通された。


「デューク久慈様のお部屋ですので好きに使ってください」


知らなかった、宮殿には俺専用の部屋が作られていた。

中は他のケバケバしいくらいに派手な部屋とは違い、木目の板の壁でだからと言って、装飾がないわけではなく、木彫りで山、海、木々が彫られ落ち着きのあるとても良い雰囲気の部屋だった。

日本の欄間を思い出す、今では旅館くらいでしか見なくなった欄間。


「あの、この部屋は?」


「はい、シュルリー王女陛下が、久慈様のために改装を命じて作られた部屋でございます。

久慈様の好みに合うんじゃないかと、考えながら指示しておられましたよ」


13畳くらいの部屋に横にもなれる椅子が置いてあるのを見ると俺の体調を気にしていてくれているのは一目瞭然だった。

やっぱり、悪役令嬢気取りのチンチクリン娘は実は優しい。


「珍々客はここかい?失礼するよ」


と、マタザが入ってきた。

うん、なんかぶっ壊しだな。


「姫さんはね、会いたくないと部屋に閉じこもっているさ、何したの?」


そうか、やはり会いたくないか。

こういう時は誰とも会いたくないのはよくわかる。


「部屋の前まで行っても大丈夫ですか?」


「ん~、ま~ドアを無理に開けないなら良いかな?変な真似したら僕の棒でぐっさりだよ」


神殺しの槍のロンギヌスですよね?腰振りながら言うのやめて。


「ミラ、一緒に」


ハイトンは部屋に残ってもらい、と言うか、まだ馬車酔いから回復していないみたいで横にさせた。


マタザの案内で部屋の前の扉に案内された。

金でイチゴが装飾された部屋のドア。

どんだけイチゴ押し?栃木県出身か?

茨城県民なら干し芋の装飾か?メロンか?納豆か?鮟鱇か?

パンツもイチゴ柄なんだろ、ぐふぇぇぇぇぇ。

失礼しました。


「おい、ペチャパイ、いるか~」


ドアの前で大きな声で言ってみた。


「うっさいわね、私の胸はまだ成長中よ!」


中から声が聞こえた。


「ミラ、あとはわかるね?」


そう言うと、ミラは首を縦に動かした。


「シュルリー王女陛下、あの~、いや、シューリー聞いて」


「え?」


小さいながらも漏れ出てくる声。


「ごめんなさい、私、シューリーが王女だってみんなが知る前から知っていたの」


「え?」


「私が休んでいる間に何があったのかは知らないは、でもね、みんなが『王女陛下』と、呼んでいるのに私だけシューリーと、いつものようには呼べなかったは、そんな勇気なかったの、ごめなさい、でもね、私はずっと友達でいたかったの、それは本当よ」


「ミーラ」


と、声がすると同時にドアが少しだけ開いて覗くシュルリー王女。

うん、それ怖いから。


ドアはまるで心の扉の鍵を一つ開けたようだった。




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