扉
俺は、心の扉にぶつかったのだろうか?
土足で入ろうとしてしまったのか?
シュルリー王女の心の傷、扉。
閉ざしている、鍵をかけている心の扉。
風呂を上がって考えた。
シュルリー王女を俺の言葉で傷つけてしまったのか?
ソファーに座り考えてるとミラが夜飲む煎じ薬を持ってきた。
「シュルリー王女は仲間と言う言葉を嫌いなのです」
聞くときが来たようだ。
ミラとシュルリー王女の関係を過去を。
「何か知っているんだね?」
ミラは静かに頷いた。
開く鍵はミラにありそうだ。
そして、ミラも閉ざしている扉がありそうだ。
誰もが持っている闇は心の奥底に閉じ込め鍵をかけている。
それが邪魔をして自由には生きられない。
自分を演じなければならないときがある。
俺にもある。
前世の記憶の闇。
おかげでこの世界でも不調は続いている。
記憶を消してやり直したほうが良かったのでは、と、思うこともある。
しかし、、ミラとハイトンと言う仲間に支えられて落着き、良い暮らしをしている。
だったら、心の扉を閉ざしている、心の闇に捕らわれている人物が目の前に現れたなら、少しだけでも手は差し伸べてあげたい。
人の痛みなど、闇など計れるものではない、分け合おうなんて綺麗事の言葉になる。
知った所で何も出来ないことなんて、多々ある。
しかし、見て見ぬふり、関わろうともしない人間にはなりたくはない。
「ミラ、話せることだけで良いから話して、俺はシュルリー王女に冷たい対応してるけど嫌いな訳じゃないんだ、だから見て見ぬふりは出来ないんだよ」
そう、自然と言葉が出た。
ひっそりと静かに暮らしたいと願い引きこもっては来た、人と深く関わろうとしなかった俺。
しかし、ミラ、ハイトンのおかげで人の温もりを知った。
だからこそ出せた言葉なのかもしれない。




