二人のオッサン
北の村代官改め、キタイバラキ村兼ヒタチ村代官・オッカー・ダスケー
南の村代官改め、ツチウラ村兼カシマ村代官・トウヤー・キッシー
ミト村とオオアライ村は家から近い為、代官を置くのは不適当、失礼らしく代官が不在、俺に失礼?やっぱりこの世界の価値観はわからない。
俺が任命すれば良いらしいが引きこもりの俺の知合いって、いなくない?
放置も出来ないので一応はミラに見には行ってもらっているが、今は雪が降る冬、村人も家に籠って内職作業らしく大した問題は発生してない。春になったら考えよう、明日で良いことは今日やらないのが今の俺の生き方。
オッカーとトウヤーはたまに家に報告に来るようになった。
大事な案件の報告。報連相?報告、連絡、相談。
決めた事を報告だから確かに俺は、さほど頭を使うわけでもない。
橋を架ける、病院を作る、学校を作る、と言った、お金のかさみそうな話の決裁、一度シュルリー王女が目を通して問題ないと、判断したのを俺が領主としてサインする、すげ~無駄。
しかし、高慢ちき娘、ちゃんと仕事出来るんだから驚いた。
まぁいい、俺が頭使うわけではないから。
問題は他にある。
家は転生から何も変わっていない狭い家、オッサン二人がリビングに一緒になるのは・・・匂う。
臭いってわけじゃないけど男性特有の汗と脂が混ざった体臭は嫌いだ。
自分の匂いですら臭いと思ってしまう俺なのだからなおさら、そしてその臭いは暗黒魔境のブラック会社を思い出す。
これが一番しんどい・・・辛い。
ハイトンを抱きしめて匂いを嗅いでリフレッシュ。
うん、ミラがなんか、うん、そんなに目細めて見ないで、眉間にシワ凄いよ。
「リビングに客通すの嫌なんだよね、なんか良い方法ないかな?」
「御主人様は領主、公爵様です、望めば税で城でも宮殿でも、作れますが」
広い贅沢な家を望むわけではない、ミラとハイトンと暮らすには十分な家、ちょっと寒いのが玉に傷だが、ハイトンが頑張って薪を割ってくれてガンガン燃やしてるから良い、ん~あいつ、自分の為にやってるのか?巨大爬虫類。
「ハイトンは前は城暮らし?」
「え?僕ですか、はい、最前線の要塞に暮らしてましたよ」
あれ?地雷踏んだっぽい、ケラケラしている笑顔が消えた、聞くと自分がブラック領域に入りかねないからやめよう。
「ミラは?」
「私は、孤児院ですから」
そうだった。失念してた、こっちも暗い過去・・・
ん?でも、ここは?
「あれ?この家は?」
「この家は、お父様の夏の避暑地の別荘だったんですよ、唯一残った思い出の形ですかね」
今は主の俺のもの・・・大切にして、折を見て返したい。
有形文化財に登録しますか?領主なら出来ますよね?
そのくらいのわがままは許して、ミラめっちゃ俺に尽くしてくれてるんだもん何か報いたいな。
考えるは、やはり新築かな?増築だと、この家に、ミラの思い出を土足で傷付けてる気がするし。
「俺の個人的な資産って今いくら?ギルド預金残高」
「はい、500億ライトワールゴールドはありますが」
「へ?」
「屁は出ません。500億ライトワールゴールドになります」
プシュー~~~~~~~~。




