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魔方陣

次の日の朝、起きるとすでにミラはいなくハイトンがお風呂を鼻歌を歌いながら洗っていた。


「おはよう」


「あ!おはようございます、今、朝食の準備しますね」


「自分でやるから良いよ、それよりミラは?」


従者として、主にやらせるわけには行かないとハイトンはお風呂洗いを途中にして台所にパタパタと駆けて行く。

朝食の準備をしながら、


「ミラちゃんは、昨夜言ってた魔法の先生のとこに行くと言って朝早く日が上る前に出ましたよ」


この二人は何時から起きているのだろう。

ハイトンがカリカリに焼いたラスクに樹液から作ったシロップをかけて、野菜をスティック状に切ったものと豆のポタージュスープを出してくれた。

元々は蜂蜜が使われていたが、あまり食が進まない俺にミラが気が付き、樹液から作ったシロップに変わった。

メープルシロップは大好きだ。両方好きな人にはわからないだろうが蜂蜜の微かに残る花の臭いがどうも好きにはなれない。

カリカリにドロドロしたシロップは相性が良く食が進むが最後に皿にシロップが残ってしまう。

そのシロップをもったいないので、お茶を皿に少し移してスプーンで溶かして飲む。

マナー的にはどうなのだろうかとは思うが、食べるのを見ているミラやハイトンは特に嫌な顔をしないので問題ないだろう。

ミラとハイトンの食事?一緒に食べないのかって?いや、別に主従の関係上俺が先とかは、やらないようにと命じてある。朝起きた順に食べている。俺、朝遅いし。

今日はミラがいなく二人っきりで嬉しいのか、やたら鼻歌混じりのハイトン。

結構、上手く奏でるので耳障りにはならない。

朝食を食べ終えると、俺は裏庭の椅子に座りボーっとするまさにスローライフ、うん、隠居生活みたいだな、ははは。一応、病気療養中なんだよ、俺が飲んでいるお茶は二人が飲むものとは別の煎じ薬に近いお茶だし。

お昼は、泉で冷したトマトと胡瓜と干し肉の細かくした物が乗っている冷やしパスタで干し肉の塩分が丁度良い。

ハイトンと対面して食べると、目が合うハイトンは、たまにむせっていた。ゆっくり食べなさい。

また、裏庭の椅子に座り微睡むと、太陽は低くなっている、うん、スローライフ、療養生活、隠居生活ってより終末生活みたいだな。

ハイトンが夕飯の仕度をしている頃、ミラが帰ってきた。


「ただいま、帰りました」


「おかえりなさい」


「御主人様、先生、バイト来てくれるそうです、なんか暇すぎて干からびかかってたみたいで、二つ返事でOK出ましたよ」


「へぇー、それは良かった、で、その先生は王都から通うの?王都そこそこ遠いんでしょ?」


「村から出ている定期馬車でだいたい、王都まで4時間かかりますよ、でも、先生なら大丈夫です。これがあるから」


そう言って、ミラは背中に丸めて担いでいた分厚い布状な物を広げた。大きさはだいたい、1×1メートルの正方形で模様が描かれていた。お祖母ちゃんの家にあったなぁ~と感想を洩らしてしまいそうになるような柄。まるで絨毯みたいだ。

それを台所から覗くハイトンはどことなく悲しげで複雑そうな目で見ていた。


「どうした?ハイトン」


「はい、それドラゴンの皮ですよね?」


はっ!と口を押さえるミラ。


「大丈夫です、気にしないで下さい、邪龍族の皮ですよね、きっと」


そう言って、ハイトンは夕飯の仕度を続けたが、このあと出てきた料理は不味かった。動揺したのね。


「ミラ、これは?」


「空間転移魔法の魔法陣です、空間転移魔法にはいくつか種類があって行った事ない場所には術者専用に描いた魔法陣を設置する方法もあるんですよ、まぁ~空間転移魔法は高等魔法なのでマスター出来る人は少ないですが」


「へぇー、なるほどなかなか便利だねこれ」


「はい、でも、これ高価なドラゴンの皮に描かないとならなくて」


「ドラゴンの皮じゃないと駄目なの?」


「はい、ドラゴンの持つ生命エネルギーを利用して魔法陣のパワーを増大させているので」


だから、マジックアイテムに使うから高値で買い取るわけか。


「んで、ここからその先生が転移して出てくるんだね?」


「はい、明後日の昼から来てもらい事になりましたから」


魔女かぁ~どんなんだろう、黒猫連れているねかな?箒はもっているのかな?少し楽しみだ。




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