奴隷
ひとしきり泣いた後、もう大丈夫だというミラを抱きかかえベッドに運んだ。
破られてはだけている胸を恥ずかしそうに隠すのでタンスから新しいブラウスを出し渡した。
ベッド脇に椅子を運び腰を下ろした。
「ミラ、先ずは聞くけど自分でしたのかい?」
「はい」
下を向き布団で顔を隠そうとしながら返事をした。
「申し訳ありません、お金を全部使ってしまいました、だから私、死んでお詫びしようと」
バシン
平手打ちをしてしまった。
「ふざけんなよ、なんでそうなるんだよ」
赤く腫れた頬を抑えながら謝るミラ。
「ごめんなさい」
一度死を覚悟したことがあるものは生に執着するか、死に急ぐか両極端になると聞いたことがあったが、ミラは自分の命を軽く考えてしまうタイプのようであった。
「なにに使ったの?」
「はい、孤児院がつぶれてそこにいた子供たちが行くところがなくなると聞いたのでそれに使ってしまいました」
「孤児院?」「はい、私も父と母を戦争で失くしたときにお世話になっていました」
「そこがなくなるの?」
「はい、支援金が止められて」
「支援金?」
「ドラゴラムへの生贄を差し出す代わりに周辺の村々から支援金がありました、ですが、そのドラゴラムをクジ様がお倒しになってしまいましたので」
「ちょっと、そ、それって俺のせいじゃん」
「いえ、生贄を出さなくて済むようになったので助かった命も多くあります、ですが、閉鎖となると行き場を皆失くしてしまって、その、申し訳ありませんでした」
「わかったよ、わかったよ、許すから頼むから死ぬのだけはやめてくれよ、頼むよ」
「クジ様、私、一生かかってもお返ししますから」
「お金もいいよ、生きるって約束するなら良いよ」
「そんな、だったら私をクジ様の奴隷にしてください」
「奴隷?」
「はい、性奴隷でもなんでもしますから」
「いやいやいや、それはちょっと」
「お嫌いですか?」
「嫌いではないけど主従の関係でそういうのするのはちょっと、ごめん」
「そうですか。主従契約すれば生殺与奪の権利は主にゆだねられて私は自分で自分を傷つけられなくなります、だから足かせにはなるのですが」
「もしかして、また死のうと思っているの?」
「いや、今はそんな気は起きませんが、クジ様に私の生きる糧になっていだけないでしょうか?」
「生きる糧?」
「はい、私は生贄になると決まってから絶望を味わいました、しかし、そこに一筋の光が降ってきたのです」
「俺か?」
「はい」
「ごめん、その奴隷ってのがはっきり言ってわからないのだけどメリットとデメリットは?」
「メリットは裏切り行為が出来ないように魔法でできた首輪が私にかせられます、デメリットは私の維持費くらいでしょうか」
「奴隷の契約を結んで君の自我がなくなるとかはないんだね?」
「はい、ありません、それと主はいつでも解約ができます」
このまままた次をされたくはない、しばらく命を預かると思ってここは契約をするか。
「わかった、君をしばらく監視下に置くために契約しよう」
「はい、よろこんで」
ベッドから出て俺の前に跪くミラ。
「すみません、血を一滴いただけないでしょうか?」
「血?」
「はい、指をちょと斬っていただいて私にください」
と、言うので腰の小太刀を少しだけ抜き、左手の人差し指をちょっとだけ斬る。
すると、ミラが「失礼します」と、言って嘗め回した。
「我が命は主の物、我が体は主の物、我が心は主の物、我は神の前に誓う、主に服従するものなり、主の名はクジマサムネ、服従する我の名はミライア・サン」
俺とミラの周りに取り囲むように出現した魔法陣が一気に小さくなり、ミラの首に具現化した金属の首輪が装着それると同時に血を出していた俺の人差し指にも指輪が出現する。
そして魔法陣は消えた。
「これは?」
「はい、主従の証、契約の刻印になります」
ん~特段きついわけではないから良いのだけどどうも物理的には外れないらしい。
寝るときには装飾品外したいんだけどな。気にならなくなるのかな?
こうして異世界で奴隷一号が誕生した。
ん?
一号?ん?何号までできるんだ・・・・・・




