討伐成功
「ま、ま、まさか邪龍ドラゴラムを一人で倒す何て、あなた様はいったい何者なんですか?」
桜色の髪の美少女がペタっと腰から崩れ落ちながら言ってきた。
何者と言われても大した者でもなく、ついつい癖で、
「サラリーマンです」
と、答えてしまった。
桜色の髪の美少女が、ブルーの瞳を大きくしながら首をかしげる、
「サラリーマン?異国のドラゴン狩りの名前でしょうか?」
あ~やっぱり、あれ、ドラゴンなんだ。
「サラリーマンは私の国ではそんな戦士みたいな仕事はしませんよ、一般的な職業なんですが」
桜色の髪の美少女に歩み寄りながら答えた。
近くに行くとさらにその美しさに心が奪われる。
村の入り口の広場と位って良いのか開けた場所に、校長専用長話お立ち台があり、そこにこの美少女ただ一人、他には人影が見えない。
右横には家が一軒燃えているため、俺は手を前に突き出し、消防車の消火栓のイメージをして魔法で水を勢いよく出すと、火はゆっくり勢いをなくしおよそ30分で鎮火した。
その時間の間に、気丈に振る舞いながらも、ドラゴンの死で腰を抜かしていた桜色の髪の美少女は回復したようで立ち上がって俺のすぐ近くまで歩み寄ってきていた。
「お嬢さん大丈夫ですか?」
紳士的に対応しなくては。
「あ、はい、ありがとうございます。申し遅れました。私はミライア・サンと申します。サラリーマン様」
いや、だから、サラリーマンは名前ではないんだけどな。
そう、言おうと思うと、建物の影から現れた三人の男が現れた。
真ん中には初老の男性と脇には立派とは言えない槍を持ち革製と思われる胴を着けた中年男性二人。
「ま、まさか、ドラゴンを一人で倒されたか?王都のドラゴンキラー隊や近衛兵でも一個師団を必要とするのに」
一個師団と言う物がどれ程の戦力だがわからないが、そんなに大事なのだろうか?
「あの~、旅の途中で何もわからないのですが~、宿と食べ物が欲しいのですが、それとお金がないのでほどほどの仕事を下さい」
異世界に来てしまった以上はやはり働かないと食べてはいけないだろう。
ここは正直にお金が無いことを話して助けてもらおう。
「かぁっかかかかかか!仕事?お金?何を言っておられるかなこの御人は」
ん?俺おかしなこと言ったかな?と、首をかしげると、初老の男性は動かなくなったドラゴンの遺体を指差して、
「そこのドラゴンを売りになされば報酬はたんまりですぞ、申し遅れました、私はこの村の長を務めますテムスにございます、そうですな、ギルドに案内しましょう、案内させましょう、ミライア」
「は、はい、私で良かったら」
やっぱり異世界は美少女から物語が始まるのか、美少女に一緒に行くと何か物語に巻き込まれそうだけど御付きの中年には頼みたくはないし、ここはこのままテムスさんの言葉通りにしておこう。