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最強と呼ばれた女  作者: 木天蓼
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アリス13歳②

アリス13歳

ビルマ3歳


今日はお外で剣の素振りだ。

お父さんに作ってもらった木刀を振る。

たまにヒュン、といい音がなる。この音が上達の証らしい。

私はひたすら木刀を振ってヒュンヒュン音を鳴らす。


前に聞いた話だと、本当にすごい人は剣を振る音が聞こえないらしい。

ほんとかなーって思うけど、世の中には剣の使い手の最高峰である剣神とかって呼ばれる人がいて、その人は剣を振る音がしないらしい。


私もそこまで上手になりたいなぁ。


ふと横を見るとビルマがいた。

少し離れた位置で切り株に座っている。

私が素振りをする度にぱちぱちと手を鳴らしている。

かわいい。


私は100本くらい素振りした後に少し休憩した。

もちろんビルマの隣だ。

二人で並んで座り、水筒から水を飲む。


ふと、前方から歩いてくる私より少し大きい男の子が来た。


あー、最近私にちょっかいかけてくるんだよなー。

まぁ私が村のみんなの前でボコボコにしたのがいけないんだろうけど…


「なーに?ザックス、私は今休憩中なんだけど?」


ザックスは私が不機嫌そうな顔をすると少し焦った表情を浮かべた。


「い、いや、素振りしてるのが見えたからさ、よかったら一緒にどうかなって…」


ザックスは目線を合わせずに早口で言い切った。

若干顔を赤らめているので恥ずかしさもあるだろう。


私は立ち上がり、木刀を肩に担ぐ。懐から布を取り出しザックスに投げ渡す。

ザックスはそれを受け取ろうとして手を伸ばす。


アリスはザックスが布を取ろうとした瞬間に一気に間合いを詰め、ザックスの肩口に木刀を押し当てる。


ザックスは慌てた様子で手をバタバタ振るが、アリスはその手を掴み、足をかけて投げた。


地面に叩きつけられ、悶絶してる。


「…あんたがビルマを泣かせたのは知ってるんだからね?よく私の前に顔を出せたものね?」


「ちが、あれは誤解だって!!まさか、いないいないばーってしたら泣くとは思わないじゃないか!!」


「問答無用!!」


それから私はザックスを思う存分痛めつけた。投げて、木刀で肩叩いたり、すねを思いっきり蹴ったりした。わずか十分でザックスはボロボロになって帰っていった。


ビルマは、それを見て無邪気に笑っていた。


「ビルマ、あなたはあんな風に年下の女の子に負けるような男になっちゃダメよ?」


ビルマは、わかったのか、わかってないのか、ただ笑顔のままアリスに抱きついた。


(まぁ、だれが相手でもビルマを泣かす奴は容赦しないけどね)


アリスはビルマに見えない位置で悪い笑みを浮かべた。



その夜、家に帰ったら母親であるレイアに、ザックスをいじめた事で説教され、目が腫れぼったくなるほど泣くことになるのは、この時まだ知らなかった。




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