表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強と呼ばれた女  作者: 木天蓼
1/7

アリス10歳

一人の女がいた。

女の前には無数の魔物がいた。

どれもこれもが人間が勝てるような相手では無い。

その魔物の奥に、人間のようなものがいた。

それは魔王と呼ばれていた。

その者の目が怪しく光る。


女は覚悟を決めた。

女の後ろには守るべきものがいるからだ。

一度だけ振り向いた。

震える男の子がいた。

女はニッコリと笑ってから再び正面を向いた。

走った、女は生きては帰れない死地に向かって行った。


女は思い出していた。

これまでの人生を。


最強と呼ばれた自分の半生を。


ーーーーーーーー


アリス10歳


今日弟が生まれた。

まるっとしていてお猿さんのような顔をしてた。

私がほっぺたを触ると指を掴んできた。

思ったよりしっかりと握ってきた。

この子が私の弟なんだと実感できた。


この子は私が守ってあげないといけない。


だって私が姉さんなんだから、弟守るのはとうぜんでしょ?


「よろしくね!ビルマ!」


愛しの弟は私の指を握ったままスヤスヤと眠っている。


「私が命をかけても守ってあげるよ!!」

この声は聞こえただろう。

だって私が言った途端に大声あげて泣いちゃったんだもん。


この後お母さんにメチャクチャ怒られた。


ーーーーーーーー

アリス10歳

ビルマ0歳


ビルマが生まれてから半年ぐらい経った。

最近は夜泣きがすごい。

ぐっすり寝てくれたかな?って思ったらすごく泣く。

ビルマは私と同じ部屋で寝ている。

お母さんと同じ部屋で寝ないのは、私の時に夜泣きがひどくてイライラして周りに当たり散らしていたかららしい。

そんなことをお父さんが言ってた。


ごめんね、お母さん。

だから私はビルマと一緒の部屋で寝ると言った。

お母さんは少し考え、許可してくれた。

お父さんはニコニコしながらアリスの好きにすればいいと言ってくれた。


今日も夜中の遅い時間に泣き出した。

私が抱っこして揺するとすぐ泣き止んだ。

ベッドに寝かしつけて、私が眠るとしばらくしてまた泣いた。

私はまた抱っこしてあげた。

それから先は同じことをずっと繰り返していた。

あまりにも泣きやまない時は歌ってあげた。

昔聞いた子守唄だ。

竜人という竜の血が流れている人間の集落で教わった歌だ。

これを歌うとすぐに眠ってくれる。

可愛い寝顔だ。

私はビルマのおでこにキスをしてまたベッドに寝かしつけた。

もうぐっすり寝ている。


「明日も一緒にいようね」

私はビルマの頭を撫でながら呟いた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ