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アクアブルードラゴン

次は蓮鬼目線で始まる予定です。


濃い霧の中を進んで丸2日。今だに霧を抜け出す事はない。


「ふむ…ビクトリアよ。本当に抜け出せるのか?」


舵を取りながらずっと前を見続けるビクトリアにジークが話しかける。


「大丈夫……コンパスはずっと前を向いている。このまま後1日、後1日何も起きなかったら霧を抜ける。

そうすれば、東の国はすぐそこだよ…」


そう言ういながらジークにビクトリアが笑顔を作った瞬間、船が揺れた。


「うわっ!」


蓮鬼は揺れの衝撃で船橋からデッキに滑り落ちた。


「何が起きた!」


ビクトリアが叫ぶ。

船首先から先をずっと眺めるミランダが叫んだ。


「前方より巨大な影があります‼︎」


「影…だと?」


「はい!巨大な影です!」


「船を止める!右側の錨を降ろせ!」


「了解‼︎」


すると左側の錨は音を立てながら海に沈んでいく。


「全員しがみつきな‼︎」


次の瞬間、凄まじい衝撃と共に船体が横に向いて止まった。


「大砲準備‼︎いつでも、撃てる準備をしときな‼︎」


「「「「はい!」」」」


弾薬を大砲に詰める音と準備をする音が鳴り響く。


数分間の沈黙があたりを包む。


蓮鬼はあまりの気持ち悪さに顔色を悪くしていた。


(ダメだ…吐きそう!)


すると次は巨大な波と一緒に奇妙な叫び声が響きわたる。


「オエッ!」


「今の声……クラーケン?」


その瞬間、巨大な影が船の真上を通過して行った。


「な!馬鹿な!」


それは船の数十倍はあるクラーケンが宙を舞って行ったのだった。


「落ちるぞ!」


その声と同時にクラーケンは海面に叩き落ちた。ピクリとも動かない姿を見た全員はこれをやった正体を一瞬で確信した。


「アクアブルードラゴンだな」


誰も口にしなかった事をジークは平然と答えた。


「あの巨大で強力な数十本の足が根こそぎ一部むしり取られている。しかも、3箇所も…

確実にアクアブルードラゴンの仕業だな…」


そうジークが言うのと同時に前方より巨大な恐竜が鳴くような叫び声が聞こえてきた。あまりの大きさに全員耳に手を当てる。

平然としているのはジークだけ、


「おっと…こっちに気づいたみたいだな…

ビクトリア!私が先に出る。ある程度まで近づいたら一気に奴に炎を浴びせる。

それと同時に援護射撃を頼む」


「分かった…ってえ?それは変身するのかい?」


「ふっ、当たり前だ…久しぶりに竜の姿でも運動がしたかった所だからな!」


そう言うとジークは空高く舞い上がり姿が見えなくなった。


数秒後、船の真上に巨大な炎の槍が5本できたのが見えた。その真ん中には巨大な竜の影があった。

巨大な竜の影がものすごいスピードで進んでいくとそれと同時に真っ赤な炎の槍もついていくように進んで行った。


と次の瞬間、凄まじい熱風と衝撃、荒波と先ほどの叫び声とジークの雄叫びがあたり一面を覆った。

船は引っくり返らんとばかりに大きく揺れる。


「オエッ!もう…無理…!」


地味にこんな時でも蓮鬼は平然と船酔いをし、大波に揺れる波めがけ吐いた。


「疲れた…オエッ!ハァ…ハァ…死ぬ〜‼︎」


その時、空飛ぶ一匹の竜の影から凄まじい炎を口から吐くのが見えた。

だが、皆が驚いたのはその竜すらちっちゃく見えるほど大きな3つの首を持つ影だった。


(何をしている‼︎援護射撃をしろ!)


心の中にジークの声が聞こえたビクトリアは我にかえると指示をだした。


「全弾!撃てー!」


「撃ち方始め!」


その声と同時に大音量の発射音が幾度も鳴り響く。

竜は今だに口から炎を吐き続けている。

砲弾があたり、爆発する大量の音とアクアブルードラゴンの苦しそうな叫び声がひたすら続いた。



ーーー



数十分の戦いののち、アクアブルードラゴンは苦しそうな声を上げながら海中に姿を消した。


「逃げたか……今回は見逃してやるか…」


ジークはそう言うと人間の姿に戻ると船に戻った。

船内はぐったりと倒れる船員とミランダに看護を受ける蓮鬼の姿があった。

船橋からは砲撃音がやんだ事を確認するように姫が顔を出していた。


(姫には3人がいるから大丈夫だな…

蓮鬼は……なぜあんな顔色が悪いんだ?)


そう思うとジークは横になる蓮鬼の元まで歩いて行った。


「お前は何をしているんだ?」


「波で酔った…」


「基礎練をしないから悪いのだ」


「そうだな…次からは気おつけ…」


そこまで、蓮鬼が言うった瞬間、

船が持ち上がった。


「うおおおお‼︎何だ?何だ?」


ジークはすぐに下を見ると目を見開いた。


「‼︎、まさかもう1匹?しかもデカイ!」


「馬鹿な!」


「グオオオォォォオン‼︎」


その時、船体の間に亀裂が入った。

蓮鬼とミランダはその衝撃により、船の外に放り出された。


「蓮鬼ー‼︎」


2人が海に落ちたのを見たジークは2人を助けるために飛び込もうとするがそれをギリギリでビクトリアが止めた。


「ダメだよ!あの2人を助けに行くことは私が許さない‼︎」


「離せ!ビクトリア‼︎今行けば間に合う!」


「ダメだよ!今あんたが行けば2人は助かってもこの船の全員が死ぬ‼︎

とにかく、今は耐えるんだ‼︎もしかしたらあの2人は助かるかもしれない‼︎」


「何だと?助かるかもしれない?」


「ああ、そうだよ‼︎」


「嘘ではないだろうな?」


「嘘つくくらいなら死を選ぶ!何よりうちの身内も落ちたんだ‼︎嘘をつく必要がないだろ!」


「むう……確かに…嘘だったらその体、いや魂まで八つ裂きにしてやるからな?」


「ああ、分かってるよ‼︎とにかく今はここから脱出する事だけを考えるよ‼︎」


「分かった」

(絶対に助ける…蓮鬼!)


ジークは心にそう決心するとビクトリアと共に脱出の糸口を見つけに行ったのだった。


今回はありがとうございました。

次回は明日の昼か夜に出しますので、是非読んで頂ければ幸いです。

そして、ブックマーク登録の方もよろしくお願いします!

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