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アクアプラネット・後

結構長くなってしまったので、次でアクアプラネット編は終わらせます。

「じゃー行こうか?」


「そうだな…」


蓮鬼とミランダは手を繋ぎながら夜の賑やかな町を歩く。後ろには姫とジークとフェンリル、さらに変化したアレク達がついてきている。


「それで、どこに行ってるんだ?」


「いつも私がお世話になってるところだ…

安いのに結構美味しいとこなんだ…」


「へぇ〜、やっぱりそう言うとこもあるのか…ミランダは以外に知ってる事が多いな」


「以外とは失礼だな!以外とは!

まぁ、それなりにこことの付き合いも長いからな」


「ふーん…ひとついいか?」


「なんだ?」


「その口調、今日は禁止な?」


「どう言う事だ?」


「だから、もっといつも仲間と話してる時と同じように話してほしい、って事」


「なぜだ?」


「肩苦しいから!それと俺は彼氏だぞ?彼氏に心を開かない女がどこにいる?」


「う…確かに…なら、分かった」


「よし!ミランダ。じゃー今から行く店の料理が美味しかったらミランダの言う事を一回だけ叶えてあげよう!」


「なぜ…何で急に?」


「ちょっとしたゲームだよ。

それに今日1日楽しかったし、俺に出来るお礼はそれくらいしか出来ないからな!」


「了解した。なら、一番美味しい料理を作ってくれるように頼んでやる!」


「おっ!ミランダ、感じ変わったな、やる気がでた?ま、いいや、その調子その調子!

俺は元気なミランダが好きなんだから」


「う…好きなんて言うな…」


ミランダは小さな声で呟く。


「ん?なんか言うったか?」


「何も言うってなんかない!ほら!前向いて歩け!」


「うわっ!はいはい、分かりましたよ〜、歩けばいいんだろ?」


ミランダは蓮鬼の背中を押しながら歩いていくのだった。

こっそり笑顔を浮かべながら。


ーーー


「うは〜、これは凄いな…」


蓮鬼の目の前、そこには横幅が広い巨大な道が城まで続いていた。しかもただの道ではない。両脇には城まで続く色とりどりの屋台の店、そこに群がる大量の民衆達。

想像をはるかに超える質と量に蓮鬼は内心ワクワクしていた。


(ここまでの規模の屋台は初めてだな!

あー、早く行きたい!どんな物が売ってあるんだ?気になる‼︎)


そわそわしている蓮鬼は、ゆっくりと話をする3人にまどろっこしい気持ちを抱きながら歩いていった。


5分後、坂を下り道を歩く5人と1匹。

あまりの遅さにいい加減イライラしてきた蓮鬼はある事を心の中でひらめいた。


「全員、注目〜」


「「「「「ん?」」」」」


「これより、別行動に変わりまーす」


「「「「「ハァ?」」」」」


「俺とミランダ2人とそれ以外全員では 、勝手に決めて悪いけどそれじゃー2時間後にお店で集合な?じゃーなー!」


そう言うとミランダの手を掴むと全速力で走り去っていった蓮鬼だった。


残されたジークは呆れ、フェンリルは笑い、姫は驚き、アレク達は苦笑していた。


《あの馬鹿は本当に分かりやすいな…》


「そうだな…言うってくれたらすぐにでも、動いてやったのにな…」


そう言うとジークも苦笑いを作った。


「何の事ですか?」


人だけ分かってない姫に顔を見合わせた2人は笑顔を作ると姫に説明した。


《あの馬鹿は何故かは知らんがあの屋台の列を見てそわそわしていた》


「つまり、早く行きたくてどうしようもない気持ちがああ言う形で現れたのだろう」


「なるほど…なら蓮鬼様はお茶目な一面もあるんですね!」


「まぁ、そう言う事だな」


《そうだな…我らはゆっくりと回るか》


「そうしよう」


そう言うとジーク達は再びゆっくりと歩いていった。


ーーー


「よし!ついた!ミランダどの食べ物が一番美味いんだ?定番を教えてくれ!」


「わっ!分かったから、落ち着いて〜!」


「ん?ああ、すまない、初めて見たから興奮しちゃってさ…で?どれが美味いんだ?」


「はぁー、しょうがないな…一番の定番は海ぶどうを使ったアイスかな?いや、でも海ぶどうパンも美味しいな…悩むな…」


「ミランダはどっちが好きなんだ?」


「私?私はどっちかと言うとパンかな〜、

上にある甘い耳と中に入ってるあったかくて柔らかい海ぶどうがマッチしてとっても美味しいんだ!」


「なら、それにするか!

どの屋台だ?海ぶどうパンがあるのは?」


「えーと…あれだ!あの黄色い屋台だ!」


「よし!行くぞ!」


「うん!」


そう言うと2人は沢山の人がいる道の中に入っていった。




「やば!これむっちゃ美味しい‼︎」


「でしょ!やっぱりわかる人には分かるよねー!」


そう言うとミランダは再びパンを口の中に頬張る。


「幸せ〜」


「モグモグ…そう言うえばミランダのは…色が濃いな…ゴックン、何で?」


「ん?私はね、プレーンじゃなくてザラメを使ったやつを頼んだんだー。

普通より甘くてたまにコリコリ言う食感が好きなんだー」


「何!ずるいぞ〜!一口くれ!」


「えー…しょうがないな」


そう言うとミランダは少し照れながら蓮鬼にパンを渡した。


「なら俺も」


そう言うと蓮鬼もパンをミランダに渡した。


「交換な!」


「交換…」

(キャー!これって噂に聞く間接キスってやつ?恥ずかしい‼︎でも…食べたい…)


ミランダはゆっくりと蓮鬼の方を見る。

蓮鬼は美味しい‼︎というわんばかりにどんどん食べている。

ミランダはゆっくりとそれを口に運ぶ。

そして、パンが口に入る瞬間、


「ごめん…ミランダ」


蓮鬼に謝られた。


「え?何が?」


「ミランダのぜんぶ食べちゃった」


「え?」


苦笑いでこっちを見てくる蓮鬼にミランダは蓮鬼の手を見る。そこには紙しか残ってなかった。


「うっそー!私のパン全部食べたの?蓮鬼一口だけって言うったのに!」


「だって美味しいかったからさ」


「うー!もう怒った!」


そう言うとミランダは蓮鬼が頼んだパンを一口で平らげた。


「これで…おあいこ!」


蓮鬼は少し呆然としながらミランダの顔を見た瞬間、


「ぷ、はっはっはっはっはっ!

何だよ、その顔!」


「‼︎。うるさい!こっち見るなー!」


「はい、はい、あっち向きます〜」


何て言ういながら沢山の店を回っては互いにおちょくったり笑顔を浮かべ、和気あいあいとこの2時間を楽しんだのだった。


「はっはっはっはっはっ!」


「ハァ、ハァ…あっはっはっは!お腹痛い!」


蓮鬼とミランダは2時間より20分ほど早く列から抜け出した。

2人は屋台の後ろにあった石垣に座って、さっき買ったカレーパン風のものを食べながらジーク達を待っていた。


「それにしても…ここは何で星があるんだ?」


「あれは星じゃなくて壁に張り付いたイソギンチャク。いつもはここが明るいから光を発してないけど夜になると光るみたい」


「ヘ〜、ミランダは物知りだな!意外に」


「だから、意外には入らないのー」


ミランダは蓮鬼の頬を突っつく。


「グヘ!何するだよー!悪い子にはお仕置きが必要だな!」


そう言うと蓮鬼はミランダのパンをとった。


「あっ!返してよー」


そこからは簡単なじゃれ合いが始まった。


「やだよ〜!ほらほら、とってみろ!」


「この〜!」


そう言うとミランダはパンめがけてジャンプした。


「おまっ!」


「やったー!え?」


次の瞬間、蓮鬼の上にミランダがのしかかった。


「キャ!」


「捕まえた」


(何この状況!恥ずかしすぎ!離れなきゃ!)


そう思った瞬間、蓮鬼が向きを変えた。


「ミランダ…」


(え!もしかしてこれは、告白‼︎そんな事ある?いや、もしかしてキス⁉︎やだ!私まだ一回もした事ないのに!でも…好きな人にされるならいいかな?)


「はい!」


目をつむりながら答えるミランダ、

が蓮鬼が一向に動かない事に気になり、ゆっくりと目を開けると蓮鬼の後ろに刃物を持った黒い影が見えた。

理解が追いつかず目を開いた瞬間、蓮鬼が動いた。

ミランダが目を閉じている間に蓮鬼は刃物を持った男の足を払い、体勢を崩した瞬間、蹴って石垣の下に落とした。


「ミランダ、ミランダ!起きて」


「え、あ、うん…そうだ!さっき刃物を持った黒い影が!」


「ああ、それならさっき落としたよ。ほら」


「え?」


ミランダはゆっくりと下を見ると伸びている顔を隠した男の姿があった。


(凄い!音も立てずに一瞬で倒すなんて…)


そう思っていると奥からパチパチと言うパチパチと手を叩く音が聞こえてきた。


「素晴らしい動きだ」


そう言うって出てきたのは超巨漢の大男と体格のいい2人の覆面男だった。

今回も読んで頂きありがとうございます。

次回は明日の昼か夕方に出すので是非読んで頂ければ幸いです。

そして、ブックマーク登録もお願いします!(^人^)

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