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前書き
「ふぅーっ……」
喫煙所。白い煙を吐きながら、長谷川はどかりとベンチに腰を落とした。入社六年目、そろそろ一人前の雰囲気を漂わせ始めた彼は、最近の仕事の忙しさについて考えた。
様々な仕事を任されて、一つ一つに必死に打ち込んできて今の自分が作られていると、肯定的に捉える反面、忙しすぎて休みが取れないうえ、毎日の様に続く残業から、まるで仕事をするために生まれてきたロボットのようだと、自虐も混じっている。
「ふぅーっ」
もう一度大きく白煙を吐き、タバコをもみ消した。胸のポケットにてをいれて箱を取り出し、もう一本吸おうかとして、箱がからになっている事に気づいた。
これは、そんなヘビースモーカーのお話。