繋がり
一気に更新してしまってすみません
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バイト先へ向かう途中、陽子にメールを送って置いとくと、帰り際には返信が合った。
『困った時はお互い様ってね。』
うん、陽子らしい。
「凄く嬉しそうじゃない。」
メールの内容を見て、一人細く微笑んでいると。バイト先での先輩が声をかけてきた。
香坂 瑠美さん。
私の7つ上だとぼやいていたので24歳のはず。
服のチョイスがとてつもなく色っぽいのに、人柄はサバサバした姐御肌。
意外と面倒見が良く、皆から慕われている。
「あ、香坂さん。お疲れ様です。もう上がりですか?」
いつもより早いんですね、と言うと、小突かれた。
「なに話しそらしてるの。答えになってない。それと瑠美でいいって毎回言ってるでしょ。」
「別に友達からの返信を見てただけですよ。」
敢えて名前呼びの事はスルー。
「なになに?」
「あっ!」
いつの間にか桜の手にあった携帯電話は香坂さんの手の中にあった。
「ちょっと、香坂さん!」
「ああ、ごめんごめん。」
(うっ、何故だか憎めない。)
「それより、サクラちゃん。これに書かれているコイツって誰?」
液晶をこちらに向けながら尋ねてくる。
(それ、私のです。)
しかもちゃっかり先ほど私が見ていたメールの内容ではなく、その前に陽子から送られたメールが開かれていた。
ちなみに、そのメールは陽子が私を逃がすために送ってくれたもの。
「誰って‥‥同級生?」
「なんで疑問形。」
「仕方ないじゃないですか。今日知ったばかりなんですもん。」
「同級生、なのに?」
「学校でなんて見かけるの初めてです。
あっ!」
思わず口を手で覆う。
「へぇ。学校外でなら会った事がある訳ね。」
何やら事情聴取をされる私。
やっぱり香坂さんには敵わない、と改めて思い知らされた。
それを香坂さんに言うと。
「今さら?」と笑われた。
ほらっ、とあっさり返された携帯電話。
それを受け取り、帰る支度をする。
しかし、帰ろうとする間際、急に引き留められた。
振り返って見た香坂さんの顔は何時になく真剣で、思わず息を呑む。
「もしもね」
「もしも?」
「そいつにイジメられそうになったら、私に連絡なさい。」
「は?え?いつの間に。」
先ほど返された私の携帯電話には、香坂さんの連絡先が入っていた。
私はバイト先と陽子意外に連絡先を教えた事はないし。教えて貰おうともしなかった。
当然香坂さんの連絡先も知るわけないわけで。
「だってサクラちゃん、連絡先紙に書いても。いつまで起っても連絡してこないんだもの。あ、安心して。私はサクラちゃんの連絡先知らないから。これは一方的に連絡先教えただけ、だからね。」
どうやら香坂さんは、私がどうされると嫌なのかを心得ているようだ。
彼女とは長くもなく、短くもない付き合いだと自負してもいいくらいなのに。
つくづく不思議な人だ。
けど、香坂さんに連絡したが最後。相手は凄いことされそうな気がするので、香坂さんに連絡するのは最後の手段とさせてもらおう。
そんな失礼な事を考えながら私は帰宅したのだった。
6月2日の更新でした