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断片資料|失われた民俗学の周縁
かつて、“にくゑ”に関心を寄せた民俗学者は数名存在する。その筆頭が鶴来 忍と安志 観草である。
鶴来はその生涯の後半を山陰・九州を中心とした「祀られぬ神々」の調査に費やした。地道な聞き取りと残された言い伝えを丹念に拾い、かつて存在したはずの儀式や信仰体系を再構成しようと試みた。
一方、安志は“肉が湧く”という奇怪な伝承に執着し、それを地球外起源説へと飛躍させた。彼の主張は学界からは黙殺されたが、同時に、幾つかの伝承文書が彼の手によって世に出たのも事実である。
両者ともに晩年は失踪、あるいは所在不明となっている。




