いつもの友人たちじゃない!! ~折り紙の変~
普段はしっかり者の友人達の意外な素顔が見れて、楽しかったです。
注意書き
1.末尾に写真があります。画像の苦手な方はご注意ください。電波の悪い場所だと見れない可能性があります。
2.この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
※実際、色々情報を変えています。
以前の出来事です。
友人たちと食事をすることになりました。
2人は子ども連れです。
お子さんは就学前の子が3人。1人は女の子、2人は男の子。
食事の場所は個室で、食卓はお座敷という事も聞き出しました。
お子様たちと遊べるチャンス!
私は、自分が得意な折り紙を持参します。
持ち物確認。
折り紙 基本色80枚、金銀のみ20枚、千代紙48枚入り×人数分(柄の傾向はバラバラ)
全て100均で購入します。計550円。
刃先が丸く小さめのハサミ
鉛筆と消しゴム
セロテープ
ゴミ袋1枚
ポリ袋数枚
簡単な折り紙の本 (以前にBOOKOFFで110円で購入)
マジックや糊はレストランを汚す可能性があるので置いていきます。
久しぶりに会う友人と挨拶をかわし、お子さん3人にママの友達だと自己紹介をします。
食事中も熱心に話しかけ、お子さん達の警戒心を解きます。
「おばちゃん、いいもの持ってきたよ。ご飯を食べ終わったら遊ぼうね」
と意味深な事を言い、気を引きます。
ちなみに、食事前には絶対に折り紙は見せません。
食事に集中できなくなり、残してしまうからです。
お子さんたちが食事を完食し、友人達からオッケーが出たところで折紙タイムです。
大人2人には、ママ友同士で会話して貰い私はお子さんたちと遊びます。
まずは度肝を抜きます。
自宅で折紙は全て包装紙から出しておきました。
計244枚(総額550円)を一気に床にぶちまけます。
色とりどりの紙に、黄色い歓声が上がります。
「ねえねえ、これすきなのいいの? 」
「ぜんぶ? ぜんぶ? 」
ワクワクを隠しきれない言葉の数々に、私は鷹揚に頷きます。
※総額550円だから
折り紙の良いところは、汎用性が高い所です。
裏側に絵を描いても良し!
ビリビリにちぎって降らしても良し!
適当に切ったのをテープで繋げるのも良し!
保育園児ぐらいの子に喜んでもらえるのが切り紙。畳んだ折り紙の角を数か所切って貰います。
広げると、雪の結晶のような模様。
思わぬ柄が出来るのが楽しいらしく、時にはハサミが順番待ちになります。
ただし、工作系の遊びには大きなお子さんへの注意が必要です。
「何を作っているの? チューリップ? あっそこはもう少し角を揃えたほうが……」
大きなお子さん(友人)たちが自分の子どもの様子を見に来て、アドバイスをし始めてしまうのです。
最後まで言わせずに、介入します。
「そこの大きなおねえさん。折り紙は沢山あるから、小さい子のを取らないでね」
なろう界隈の皆さまなら、ご存じのはずです。
連載中に感想欄に過剰な批判やアドバイスが集まると、筆者がエタってしまう傾向があることを。
自分好みの作品が欲しければ、自分で創作すればいいのです。
オタクとして、母の愛はブロックさせていただきます。
私もハサミの使い方や順番待ちなどには注意を払いますが、基本はお子さんたちのやることに手も口も出さないようにします。
30分ほどすると、さすがにお子さんたちも飽きてきます。
気持ちを変えるために私は一枚ぐしゃぐしゃに丸め、お子さんに軽くぶつけます。
目の色が喜びに変わります。
「ボクも投げるよ~! 」
「オッケー! 受けて立つよ! 」
他の子もつられ、目の前の折り紙を丸めだします。
紙なのであたっても痛くはありません。
念のため、ぶつけていいのは洋服の場所だけに指定します。
雪合戦ならぬ紙合戦です。
男の子も女の子も楽しそうです。
しかし、なく子もいます。
先ほどの大きなお子さんたちです。
「あっあぅ、ああ! 」「ええええっ!? 」
言葉を無くし、鳴き声だけになった彼女らに私は優しく話しかけます。
「奥様方、わかりますよ。私たちの小さいころ(昭和)は11枚で100円でしたものね。金と銀なんて1枚ずつしか入ってなくて宝物でしたよね。千代紙なんて高くて滅多に買えず、勿体なくて使えませんでしたよね」
「「そうそう!! 」」
鳴き声に『ソウ』が加わりました。
私は続けます。
「あの折り紙、現在の価格だと全部で550円。就学前の子ども3人が外出先で2時間大人しく遊ぶおもちゃとして考えると、高い? 安い? 」
「「……安いです」」
ようやく人の言葉を思い出してくれた彼女たちに安堵し、お子さんたちの見守りに戻ります。
2時間弱経過。個室の使用時間も過ぎようとしています。
片付けタイムです。
紙もセロテープも全て燃えるゴミなので、簡単です。
「はーい、じゃあ全部この袋に入れてね」
ゴミ袋を指さします。
まだ遊びたいお子さんたちはためらいます。
小さなポリ袋を配り、私は魔法の言葉を使います。
「でもね、一番いい作品と残った折り紙はお土産に持って帰っていいよ」
折り紙は、100枚以上残っています。
お子さんたちの目の色が再び変わりました。
夢中で好きな柄や色の折り紙を袋に詰めだします。
そして気に入った作品を一つ選びます。意外と小さなお子さんたちは、それ以外をゴミ袋に入れるのに抵抗はないです。
しかし、思い切りの悪い子もいます。
大きなお子さん(友人)達です。
「まだ就学前の子どもが一つで我慢してるのに、親が三つも四つも持ち帰ったら示しがつかないでしょう! 」
大きなお子さん達は駄々をこねます。
「だって、せっかくだから」
「折り紙を折ったの、久しぶりだったし」
私は、説得を続けます。
「こっちは気を遣って、2人の自宅の物を増やさないようにしてるんだよ ! 」
相手もまだ粘ります。
「記念になるし」
諦めが悪いです。
私は片付けの裏技を説きます。
「思い出ならスマホで写真撮ればいいじゃん。なんのために文明は発達しているの! 」
それでも抵抗します。
「でも……やっぱり実物のほうが……」
「そうそう、思い出には実物が! 」
大きなお子さん達はしぶといです。
「百歩譲って、子どもと自分が作ったのは思い出という言い分を認める! けれど、私が見本に折ったものまで持って帰る必要はないでしょう!? 2人とも、後ろ手に隠したくす玉と花とその他は置いてけ~!! 」
くす玉?
簡単に作れる割に見栄えがするので、お子さん達と遊ぶ時によく作ります。
こちらも形がわかりやすく、短時間で作れるので便利な作品群です。
その後に友人達から、お子さんたちが折り紙遊びが好きになったと嬉しい報告をもらいました 。
再掲
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
 




