2度目の魔王ライフへの道
「もし味方になれば、世界の半分をお前に___。」
「そんなはずないだろ!!我、クナギ・エクスがお前を倒す!!」
何度言ったか分からないこのくだり。
この世界には勇者が多すぎる。
毎日戦いに明け暮れていた。
だが、そんな日々も今日で終わるのだ。
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ははははは。
退職とは、なんて素晴らしい響きなのだろう。
魔王を務めて早10年。
ようやく、退職のときがやってきた。
たった今、魔王交代の式典を終えたところだ。
そもそも俺が魔王をやってたこと自体おかしいんだよ……
人間のような見た目、威厳のひとつも無い言動。
よくここまでやってこれたな…
感慨深い。
「榎生様!!」
「榎生様が最後に殺した勇者の持ち物にこんなものが。」
俺の側近、アグリスだ。見せられたものは…
「いやなんだこれは??」
じっくりと観察する。
四角……丸か??なんとも言えない形。
後ろについた弾力性があるもの。
サイズ感も完璧で…….。
いやそんなことはいい。
重要なのは用途だ。
武器?それとも防具??
「榎生様……もしかしてご存知ないのですか??」
煽り顔で言ってきた。腹立つなこいつ。
元魔王だぞ??
「これは今話題のVRゲームが遊べる機械ですよ!!」
ほえー。ぶいあーるげーむ??
「ぜひ遊んでください!いや、絶対遊びましょう!!榎生様どうせ暇ですよね!!」
そう言って無理くり手紙と一緒に渡された。
渡された手紙は説明書だった。
「ほー。頭に取り付けて……。」
数十分後___
ようやく、準備ができた。
起動して見えたものはタイトル表示。
『dreamlike experience』
夢のような体験、ね。
[こんにちは!名前を教えてください!]
随分急だな。
名前……普通に榎生でいいか。
[ありがとうございます!次は___]
[ありがとうございます!次は___]
[ありがとうございます!次は___]
………長い!!
何個入力したんだよ。
もう飽きてきたぞ。
はーやーくーしーろー。
[最後に職業を選んでください!]
・戦士 ・魔法使い
・武闘家 ・闘士
・僧侶 ・盗賊
・狩人 ・侍 etc……
あ。
連打した………
[ありがとうございます!全ての登録が完了しました!]
完了しちゃった……
これ、戻れないの??
[それでは、行ってらっしゃい!]
プチッ…そこで一旦意識が途切れた。
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【ステータス】
名前____榎生
Lv______00
職業____魔法使い
体力____100
筋力___5 魔力__25
守備___5 器用__10
俊敏___10 知力__20
運_____10
〘装備〙
・心もとないローブ ・木の杖
〘スキル〙
〘魔法〙
・火魔法
・水魔法